014、混ざる意思
後半AI、前半と微修正筆者
紅孩公国のはずれ。
春奈、夏美、フォルタは静かに待機していた。
裂け目が現れる日は、今回で三度目。
朝の光の中、空気はいつもより張り詰めている。
春奈「今日は白雪様はいないんですね」
連狼「ああ。雪山の方で大きな裂け目の予兆があるそうだ」
くれは「あっちは白雪様とハウトで何とかするみたい」
春奈「分かりました」
吹雪「……そろそろ来るよ」
連狼「分かった。春奈たちは下がると良い」
春奈「はい」
三人が後方に下がると、ほどなくしてゆがみが裂け目へと変貌する。
光があたりをまばゆく照らし、全員が一瞬目を閉じる。
その時だった。
夏美が裂け目の前に突如移動した。
夏美「……混ざる」
場の空気が止まる。何が起きたのか、誰も即座に理解できない。
しかし、反応は早かった。吹雪が夏美の手を掴み、勢いよく引き倒す。
直後、錆びた剣が吹雪の脇腹をえぐった。
吹雪は苦悶の表情を浮かべ、わずかに歯を噛む。
くれは「吹雪!? 今そっちに――」
連狼「馬鹿者! よそ見をするな!」
剣の軌道はくれはの方へと向かう。
「――え?」
くれはは思考停止する。
本来これらの者は”修復師へ向かう”はずだ。にもかかわらずまるで意思があるようにこちらへ向かう。
硬直。時間がゆっくり流れる。
そして時が動き出す。
刹那、フォルタが前に飛び出した。
フォルタ「対”裂け目”用戦闘アルゴリズム展開。行動開始」
くれはに迫る錆びた剣を弾き、破砕するフォルタ。
春奈は目を見張った。対裂け目用戦闘アルゴリズム……そんなものを設定した覚えはない。
フォルタ「くれは、前方は私が守る。くれはは吹雪と夏美の避難を。春奈はサポートに」
春奈「え?」
くれは「え?」
連狼「いいから言うことを聞け! 今はそれが最善だ!」
春奈は咄嗟に理解し、フォルタの後方に陣取る。
心臓が高鳴る。だが恐怖を押し込め、できる限り冷静に行動する。
吹雪の脇腹の痛み、錆びた剣の残像、裂け目の光。
そのすべてが春奈の感覚を鋭敏にさせる。
彼女は一つひとつの変化を見逃さず、フォルタのサポートに徹する。
くれはも冷静さを取り戻し吹雪と夏美を起こし避難させる。
春奈からさらに後方、裂け目からそれなりの距離のところで構えを取る。
裂け目の光が弱まり、まばゆさが減る。
フォルタは春奈の横で、戦闘アルゴリズムを解除し、解析を停止する。
春奈は息を整え、夏美の手を握る。
夏美はいつもと同じ虚空を見ているように見えるが、その手の温かさは確かに春奈に伝わってくる。
春奈「……大丈夫、だよね?」
夏美は言葉を返さず、ただ小さく手を握り返す。
春奈は深く息をつく。
恐怖も、緊張も、すべては彼女を守るためのものだった。
そして、春奈は気づく。自分の中にある力と、仲間と共に立ち向かえる勇気――それが、今の自分の確かな支えだと。
裂け目に慣れたころが一番危険。いつでも予想外は起こる。
夏美は何が”混ざる”と思っていたのでしょうか? そして吹雪はそれを聞き即座に引き倒す。
吹雪はおそらく”混ざる”ことを知っている。だから夏美をいち早く引き倒したんでしょうね。




