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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38


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001、交わる場所を求めて

AI作成、セリフ筆者

冷たい朝の光が、ウォル国立ジェルデウォン学院の石造りの塔に反射していた。

街路を覆う薄霧は、魔力を帯びた空気のざわめきをかすかに揺らし、微かに紫色の粒子が舞っているのが見えた。春奈は夏美を押す車椅子の手をぎゅっと握りしめながら、遠くそびえる学院を見つめた。


「夏美、見えたよ。あれがこの国最大の学院、ウォル国立ジェルデウォン学院だ」


小さな声で囁くと、夏美は微動だにせず眠っていた。

その脆弱な体は、まるで世界の不確かさの象徴のようで、春奈の胸に切ない感覚が流れた。


フォルタが手にした閲覧許可証をかざす。

「春奈、図書室の閲覧許可証をもらってきました」

春奈はうなずく。

「ありがとう、フォルタ。よし、調べていこう」


石畳に反響する車輪の音。学院の入り口をくぐると、重厚な扉の向こうには、古い書物の香りと静寂が広がっていた。空気には微かな魔力の余韻が漂い、息を吸い込むと舌先にほのかな甘みが感じられた。


春奈はフォルタに一つひとつ指示を出す。

「フォルタ、これを覚えて」

「はい、春奈。データスキャン、内容をストレージに保存、完了」

「次は、これだな」

「お任せください」


膨大な情報の流れに、春奈の目は光を帯びる。裂け目の記録、修復師の活動報告、過去の魔術災害…。

すべてが、まだ形の定まらぬ未来の種のように彼女の手の中で揺れていた。

手を動かすたび、世界の片隅で芽吹こうとしている可能性を掴む感覚があった。


「よし、大体覚えたな」

「はい、春奈」

「キーワードはやはり『裂け目』か……」


宿に着くと、ククリがにこやかに鍵を手渡した。

「いらっしゃい! 春奈さんだね? ほら、これが部屋の鍵だ」

春奈は微笑みを返すと、夏美をベッドに寝かせた。

フォルタは静かに布団を掛け、眠る妹の肩にそっと手を置く。

その指先の温もりが、小さな安心感を夏美に伝えているのがわかる。


「夏美、今日はここで休むよ」

その寝息を確認してから、春奈はフォルタと向き合った。


「次の目的地は、『紅孩公国』だ。この地では最近、制度が大きく変わったらしい」

フォルタは小さく頷く。

「分析完了。その地では6カ月前に地域限定の修復師・縫界衛士制度が導入されました。修復師は紅連狼、縫界衛士は愛染くれは、愛染吹雪です」


春奈は窓の外の霧に視線を落とす。まだ見ぬ裂け目、まだ出会わぬ守護者たち。

胸の奥で小さな希望が、静かに息を吹き返すのがわかる。

体は疲れているはずなのに、心だけは微かに高鳴っていた。

未知の未来への期待、守るべき存在を抱える責任感、それらが静かに混ざり合っていた。


「じゃあ、確認もできたし、私たちも寝るとしよう。おやすみ、フォルタ」

「おやすみなさい、春奈」


夜は深く、学院の塔を淡い月光が撫でていた。

霧の向こうに、まだ形を持たぬ裂け目が潜むように、世界は息を潜めていた。


時は過ぎたある日の春奈と夏美とフォルタ。

車椅子を押してでも旅を共にするその姿は、一見すると”狂気の沙汰”。

でもフォルタにとってそれは”ただの日常”の延長線。

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