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最終回 再会

綾音は日記帳を落としてしまう。そんなはずはない。中学の頃毎日ここに来てプリムと会っていたのだから。庭でお茶会をしながら英語を教えてもらった。ダンスもした。日記に書かれた事が本当ならプリムはここにいるはずがない。

「何かしら?」

綾音は本の隙間から白い紙が落ちた。綾音は拾って裏返す。それは1枚のモノクロ写真だった。そこには4人の人物が写っている。スーツの中年男性、着物の女性、セーラ服姿の女学生、そして

「これプリムさん?!」

椅子に座った女学生の隣には洋装のプリムが立っていた。綾音が会っていた時と同じ姿で。女学生は黒髪を2つに縛ってリボンを付けている。


「大きくなって女学校に通うようになると貴女と同じような制服で毎日登校して行ったわ。わたくしのリボンを付けて。」



以前プリムが話していた事を思い出す。彼女がプリムが教えてたお嬢様なのか?写真の隅には撮影されただろう日付が書かれている。

昭和8年4月3日 綾音女学校入学と。


「昭和8年?!」


綾音は日記帳を拾うと再び見返す。

1925年。日記帳の最初の日付だ。プリムの話は100年近く前の出来事になる。


ギー


綾音の背後でドアが閉まる音がした。

「綾音ちゃん」

背後から自分の名前を呼ばれゆっくりと振り返る。

「プリムさん?!」

背後にはプリムが立っていた。中学の頃と変わらない姿で、いやドレスやショールは破け髪は乱れ目は白目を剥いている。綾音の知ってるプリムじゃない。

「綾音ちゃん、やっと戻って来てくれたのね。」

プリムは綾音の方へ近づいてくる。

「いや、来ないで!!」

綾音は持っていた日記帳をプリムに投げると全速力で部屋を出る。逃げなきゃ。急いで屋敷を出ようと階段を降りる。


「きゃっ!!」


綾音は足を踏み外し階段を真っ逆さまに転がり落ちていく。

「痛い!!」

起き上がろうとしても身体が動かない。

「綾音ちゃん」

階段の上から見下ろすプリムの姿を見ながら綾音は目を閉じる。





「お兄ちゃん、仕事行かなくていいの?」

2日後朱里は家のソファで横たわりながらTVを見てる兄に尋ねる。兄は建築の仕事をしていて今は長年放置されてたお屋敷の解体をしている。

「今日は休みだよ。昨日大変なことになっただろ?」

朱里の兄がいつものようにお屋敷に向かったら屋敷の中の階段の前に女性の遺体があったのだ。今日は警察が事件性がないか調べてるという。朱里の表情が一気に暗くなる。

「ごめん」

「大丈夫よ。」

遺体は朱里の中学時代の同級生だった。

「それにしてもんであんなところに行ったんだ?」

「分からない。中学の時も行ってたみたい。」 

朱里が中学の時帰りに彼女とすれ違った時があった。あのお屋敷に続く坂道から出てきて先生の家にお邪魔してたと言ってた。

「あのお屋敷ずっと空き家だろ?戦前に華族の一家が住んでたけど戦況が酷くて疎開してそれっきり誰も住んでないみたいだったけど。」

「綾音ちゃんは誰に会いに行ってたんだろう?」



                    FIN


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