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日記

綾音は次のページをめくる。


1925年6月12日

プリムさんは私の先生になってくれると言った。プリムさん、じゃなくてプリム先生は私に英語を教えてくれた。普通に本を読むだけじゃ面白くないからと言ってお庭のテラスでお茶とお菓子を出してくれた。私がアリスのティパーティみたいと言うとプリム先生は微笑んで貴族のレディはこうしてお茶を飲むのよと教えてくれた。


1928年3月10日

プリム先生はダンスを教えてくれた。女の子は大きくなったらお姫様になるの、舞踏会に出て王子様とダンスを踊るのよと教えてくれた。プリム先生は本当のお姫様みたいだった。私も大きくなったらプリム先生みたいに上手に踊れるようになるかな?



 頁をめくる度に令嬢のプリムとの日々が書かれていた。

1933年4月3日

 今日から私は女学生になる。セーラー服を着て憧れの青蘭女学校に登校する。プリム先生は入学おめでとうと言って私の髪に白いリボンを結んでくれた。プリム先生からの入学祝いだ。



1938年3月20日

今日は女学校の卒業式。制服姿の私をプリム先生は抱き締めてくれた。卒業おめでとう、立派なレディに成長しましたねと。



1938年6月10日

私は父の会社の上役の息子と結婚した。白いウェディングドレスを着て教会で式を挙げた。プリム先生は私に白いパールのネックレスをプレゼントしてくれた。

 プリム先生は私の事をジュンブライドと呼んだ。6月に結婚式をした花嫁は幸せになると教えてくれた。 



1939年7月14日

 我が家に新しい家族が増えた。私の長女。プリム先生はアンユのような可愛い娘と言ってくれた。アンユとはロシア語で天使というと教えて下さった。私はアンユから一文字抜いて「あん」と名付ける事にした。



1942年10月12日

プリム先生があんに絵本を読んで下さった。私が女学校時代好きだった話の1つLittle Princessだ。プリム先生は美しい発音で英語で音読して下さる。しかしその日の夕方事態は一変した。

 憲兵が家に来た。英語の本を読み聞かせしている者がいると通報があったと。プリム先生は自分が家庭教師でありあんに英語を教えてると説明する。憲兵は厳しい口調で言った。英語は敵国の言葉だ、それを話すのは非国民だと。

 憲兵はあんが持っていた本を取り上げようとしたがプリム先生が奪い返そうとした。プリム先生は憲兵と揉み合いになり下駄箱入れに倒れかかった。その時下駄箱入れの上に飾ってあった壺がプリム先生の頭上を直撃した。プリム先生は帰らぬ人となってしまった。

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