廃れたお屋敷
綾音は東京で買ったワンピースに着替え化粧をして髪をシュシュで結ぶ。メイクして髪を茶髪に染めた自分をプリムは分かるだろうか?少し不安もあったが母校の中学までの道のりを思い出しながら歩いてみる。途中母校の前を通りかかったがあの頃とは何も変わっていない。綾音がかつて着ていた中学指定のジャージを着て歩いてる中学生がいた。これから部活に行くのだろう。
お屋敷に続く坂道はすぐに見つかった。中学の頃と同じように坂道を上がって行くとお屋敷が見えた。
インターフォンを鳴らすが壊れているのか音が出ない。
「Prim!! Prim!!」
昔と同じようにプリムの名前を呼びながらドアを叩くが返答がない。
「外出してるのかな?」
綾音は試しにドアノブを回す。そしたらドアが開いた。
「Prim, I 'm coming in.」
綾音は屋敷の中に入る。リビングに向かうがプリムの姿はない。そればかりかソファや棚はほこり塗れだ。
階段を上がり2階へと上がる。
「プリムさん!!」
今度は日本語で名前を呼ぶしかし返事がない。庭園かと思いふと窓の外を見る。
昔レッスンしたテラステーブルが見える。長く生えた草がテーブルを囲み色とりどりに咲いていた薔薇は1つも咲いていない。
ドサッ!!
その時奥の部屋から何かが落ちる音がした。
「プリムさん!!」
綾音は廊下の一番奥の部屋に入る。そこはレースのカーテンや天蓋付きのベッド、ドレッサーが置いてある。女の子の部屋だったのか?しかし天蓋やレースは破けドレッサーの鏡にはヒビが入っている。プリムの姿はない。その代わり本棚にたくさんの本が散らばっていた。本が落ちた音だろう。少女の友に「Little Princess」や「Anne of GreenGable」と書かれた洋書が落ちている。その中でDiaryと書かれた本を見つけた。プリムが書いた日記だろうか。綾音はベットの上に腰かけ日記を開く。
「1925年6月10日
今日は私のお屋敷にお姉さんがやって来た。プリムさんと言って金髪の縦ロールで白いブラウスに紫のワンピースを来た先生だ。少女雑誌の挿し絵に載ってるお人形みたいに綺麗なお姉さんだ。プリムさんはロシアの貴族だけれど革命軍とか言う悪い人達にお家を取られて日本に来たとお父様は言っていた。プリムさんは私達と暮らす事になった。お姉さんができたみたいで嬉しい。プリムさんと仲良くなれたらいいな。」
日記はプリムではなく彼女が家庭教師をしていた令嬢の物だった。




