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銀の解析

Chrome Rank分析会議

工房のテーブルに、ホログラムスクリーンが3枚浮かぶ。

シズクが中央に座り、銀色のショートヘアを耳にかけて、指を高速で動かしている。

膝の上ではクゥちゃんが丸まって寝息を立て、時折「にゃ……」と小さなバグ音を漏らす。

レンはコーヒー(合成だけど)を淹れ、サクラは静かに壁に寄りかかって聞いている。

「Chrome Rank初戦、基本1vs1で確定したよ。

投げ銭による環境変化はIronの2倍以上。

リングはランダム生成だけど、観客の好みで『廃墟』『霧の迷宮』『高層崩落』あたりが濃厚」

シズクの声は冷静だが、端末のスクロール速度は速い。

Chrome Rankのデータベースを漁り、相手候補を絞り込んでいく。

「問題は相手。

Iron Rankの頃みたいにHeavy一辺倒じゃなくなってる。

Chromeだと、クラス混合チームが増えてるから、相性読みが命」

ホログラムに、ライバルチームのリストが投影される。

シズクが一つずつ指で叩いて解説。

「まず、Iron Reaverの残党チーム『Reaver Syndicate』。

Heavy中心だけど、Chrome昇格でGunnerを1人加えてきた。

リーパーみたいに正面突破型。

サクラのHybridは機動性で勝てるけど、投げ銭で追加装甲供給されたら詰むかも」

次に画面が切り替わる。

「次、『Neon Phantom』。

BladerとNetのコンビ。

Bladerは残像多用でサクラと被るけど、Netが電磁妨害入れてくる。

桜吹雪エフェクトが乱れやすい。

相性:最悪」

レンがコーヒーを置きながら口を挟む。

「でも、投げ銭で環境変化を『霧』に誘導すれば、妨害を逆手に取れるかも?

シズクちゃん、妨害耐性アップの調整、間に合う?」

シズクは頷きながら、次のチームを出す。

「一番ヤバいのは……『アイアン・レギオン』。

Chrome Rankの常連。

主力はヴェラ・アイアン本人じゃないけど、下級生でもHeavy×2、Gunner×1の鉄壁布陣。

チームロゴのクローム鷲が、リングに投影されるだけで投げ銭が跳ね上がる。

噂だと、Chrome初戦で『桜鉄工所』を指名してくる可能性が高い」

サクラのオッドアイが、わずかに細まる。

「……アイアン・レギオン。

前回のIron Rankで見た、あの溶融文字のロゴ」

シズクがデータを拡大する。


挿絵(By みてみん)


ヴェラ・アイアンのプロフィール写真。

銀灰色のロングヘア、冷たい青い義眼。

クラス:Heavy+Hybridの独自融合型。

通称「Iron Queen」。

勝利数:Chrome Rankで28勝。

エコー・ロス進行度は低いが、感情を完全に切り捨てた戦い方。

「ヴェラ本人が来るかはわからないけど、下級生でも『レギオン・ドローン』って小型支援機を3機展開してくる。

サクラの単独戦闘スタイルだと、囲まれたら逃げ場がない。

……正直、1vs1でもチーム戦みたいになるよ」

シズクが端末を叩く手を止める。

クゥちゃんが目を覚まし、「にゃんにゃん?」と首を傾げる。

「だから、作戦を固めよう。

基本は1vs1だけど、投げ銭の流れを味方につける。

サクラの『散る桜』演出を最大化して、観客を熱狂させる。

投げ銭が多ければ、環境変化を『桜の嵐』モードに偏らせる提案を出せる」

レンが優しく微笑む。

「シズクちゃん、頼もしいね。

私の方で、紅桜ブレードのナノ粒子密度を20%アップさせたよ。

散る花びらがもっと鮮やかになるはず」

サクラはゆっくり立ち上がり、紅桜ブレードを手に取る。

刃身に赤い刻印が、静かに脈打つ。

「……ありがとう。

散っても、また咲く。

Chrome Rank……登ってみせる」

シズクが小さく息を吐く。

銀髪が揺れ、画面の光が頰を照らす。

「私も、ちゃんとサポートする。

ハッキングで投げ銭の流れを少し……操作してみるよ。

合法ギリギリだけど」

工房に、桜のLEDが舞う。

クゥちゃんが飛び跳ねて、テーブルの上で「にゃーん!」と応援。

Chrome Rankの初戦は、もうすぐ。

銀のハッカーが見据える先には、虚空の階梯が、さらに険しく続いていた。



挿絵(By みてみん)

ヴェラ・アイアン(Vera Iron)

通称: Iron Queen(鉄の女王)

所属: アイアン・レギオン(リーダー)

ランク: Neon Rank(Void Rank昇格目前)

勝利数: Chrome Rank時代28勝、Neon Rank移行後15勝以上(総計50勝超え)

クラス: Heavy-Hybrid(独自融合型)

年齢: 推定28歳(エコー・ロス進行により実年齢不明瞭)

外見:

銀灰色のロングヘア、ストレートで腰まで届く。

冷たい青い義眼(左目)。右目は人間のままの深い青。

身長178cm。

義体はクローム基調の流線型重装甲。肩から背中にかけて赤い回路が血管のように走り、滴る溶融金属のようなエフェクトが常時発生。

普段着は黒のロングコートに赤いライン入り。戦闘時はフルアーマー展開で「溶融の女王」の異名通り、装甲が赤熱化する。

ロゴ: クロームの鷲が赤い回路で縁取られ、滴る溶融文字で「Iron Legion」。

戦闘スタイル:

主武装: 「Iron Dominion」――両腕に変形する巨大クロームブレードとプラズマキャノン。

特殊能力: 「Meltdown Field」――周囲に赤い溶融フィールドを展開。敵の装甲を徐々に溶かし、動きを鈍らせる。

レギオン・ドローン(小型支援機)3機を常時展開。ドローンはハッキング耐性が高く、敵の動きを予測・封鎖。

弱点らしい弱点はないが、エコー・ロス進行度が中程度のため、長時間戦闘で感情が完全に消える「Void Shift」が稀に発生(味方すら見境なく攻撃)。

投げ銭反応: 極めて高い。彼女の試合は「溶融の儀式」と呼ばれ、観客が熱狂的にコインを投じるため、環境変化が常に彼女有利に傾く。

背景・性格:

元はアーク・ヘヴンの下級企業技術者。ナノ・カタストロフ後の混乱で家族を失い、下層に落ちる。

アイアン・レギオンをゼロから築き上げ、Chrome Rankを制覇した「下層の成り上がり」の象徴。

性格は冷徹。言葉は少なく、笑みは常に皮肉めいている。

「人間性は弱さの源」と公言し、エコー・ロスを積極的に受け入れている節がある。

ただし、部下(レギオン下級戦士)への忠誠は厚く、裏切り者は即座に「溶融」処分。

桜鉄工所に対しては「散る花びらなど、鉄の前ではただの灰」と評している(公式インタビューより)。

噂: Void Rank到達を目前に控え、最後の「人間らしい感情」をリング上で完全に捨てるつもりだという。




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