桜鉄工所の日常狂想曲
ジャンク・クレーターの端っこ、積み重なったスクラップの山に囲まれた一軒の工房。
看板は錆びた鉄板に赤い桜の落書きみたいなデザインで、どことなくコミカル。
その下に「桜鉄工所 ―散っても咲く―」と書いてあるけど、半分剥がれて「散って咲く」みたいになってる。
経営者はドクターレン、通称レンさん。
金髪ロングの優しいお姉さんタイプで、百合の花みたいな柔らかい笑顔がトレードマーク。
白いエプロン姿で工具を振り回すけど、なぜかいつも「投資よ♡」って言いながら予算を溶かす天才メカニック。
今日も工房内で、義体パーツをいじくり回してる。
「レンさん! また新しい工具買っちゃったんですか? これ、プラズマカッターの新型でしょ? 予算どこから出てるの!?」
銀髪ショートのハッカー少女、シズクが端末を叩きながらツッコミを入れる。
彼女の膝には、猫型ドローン「クゥちゃん」がゴロゴロ転がってる。
(クゥちゃんは工房のマスコットで、充電中は本物の猫みたいに喉を鳴らすけど、時々バグって「にゃんにゃん」連呼する困りもの)
「えへへ、だってサクラちゃんのブレードをアップグレードしたら、コロシアムで大活躍間違いなし! 投げ銭がじゃんじゃん入って、みんなでお寿司食べられるわよ♡」
レンがウインクしながら答える。
手元では、サクラの紅桜ブレードを磨いてるけど、なぜかピンクのリボンを付けようとしてる。
「寿司より先に、家賃払おうよ……」
シズクのジト目がレンを射抜く。
そこへ、黒髪ショートのサクラが奥から出てくる。
赤と黒のオッドアイがぼんやり光って、普段着のフリル満載サイバーファッションが可愛い。
でも今はメンテ中だから、人工皮膚一部剥がれて機械部分チラ見え。
「……レン。
また『可愛いから』って理由で予算使った?
前回はクゥちゃんの毛並みアップグレードで赤字だったよね」
サクラの声は静かだけど、どこか諦めモード。
レンはぴょんと飛びついて、サクラを抱きしめる。
「サクラちゃん可愛いんだもん! 見て見て、この新しい服! 桜柄のスカートで、戦う時も華やかよ? あ、クゥちゃんもお揃いのリボン付けちゃおう♡」
クゥちゃん「にゃーん?(バグ音)」
シズク「レンさん、それ予算外! もう借金取りが来てるよ!」
外から声。「おーい、桜鉄工所! 今月分払えー!」
レン「はーい、ちょっと待ってね~! サクラちゃんが勝ったら、トリプルで返すから!」
みんなの溜め息が重なる中、クゥちゃんが突然ジャンプして工具を倒す。
ガシャーン!
「クゥちゃん!」
工房は大混乱。
貧乏、借金、無計画――でもなぜか笑いが絶えない。
ここが桜鉄工所、今日も「散っても咲く」精神で営業中。




