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多元宇宙の管理者  作者: 黒海苔
本編

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4/10

S1:未知なる世界へ

本編です。

ついに、この日が来た。


私がずっと楽しみにしていたゲーム、『Alvaria Incognita Online』の発売日だ。


異世界アルヴァリアを舞台にした新作フルダイブ型VRMMO。通称『AIオンライン』、大部分をAIが生成したという、前例のないゲームだ。


βテストは一切行われず、公式HPに掲載された情報以外、誰も詳細を知らない。未知に満ちた世界。それが私の心を掴んで離さなかった。


そして、このゲームには二つのプレイモードがある。


一つ目は「サブスク型」。従来のVRMMOと同じで、死んでも教会で復活できる。ただし、選べる種族は人間やエルフ、ドワーフなど人型種族に限られ、使えるスキルも最大10個までという制限がある。


二つ目は「買い切り型」。18歳未満は親の許可が必要で、死んだらキャラクターを買い直さなければならない。まさに一度きりの人生。その代わり、制限はほとんどない。魔物でもプレイでき、スキル数の制限もない。そして――子作りまでできるらしい。


私が選んだのは、もちろん買い切り型だ。


理由は単純。魔物になってみたかったから。


人間でプレイするのは、もう飽きた。現実で十分だ。せっかくゲームの世界に入るなら、全く違う存在になってみたい。龍になって空を飛んだり、スライムになって体を分裂させたり、蜘蛛になって糸を操ったり。


想像するだけでワクワクする。


時計を見ると、ちょうどサービス開始時刻になっていた。


専用のVR機器をセットする。これさえあれば、最大一ヶ月はログアウトせずにプレイできるらしい。さらに長時間プレイしたい人向けに「コールドスリープモード」なるものもあるが、後遺症のリスクがあるため、さすがにそこまではしない。


深呼吸して、ログインボタンを押した。


視界が真っ白になる。


目を開けると、そこは白一色の空間だった。


目の前には、淡い光をまとった小さな精霊が浮かんでいる。


「私はサポート精霊です。キャラクター作成をお手伝いします。まずは、名前とアバターを作成してください」


精霊の声は穏やかで、どこか機械的だった。


アバター、か。公式HPによれば、魔物でプレイする場合でも、公式イベントなどで人と交流する際にこのアバターが使われるらしい。だから、どんな種族を選んでも必要だという。


「名前は『サラ』で」


本名をそのまま使うことにした。別に隠す理由もない。


次にアバター作成画面が現れる。デフォルトでは、現実の私の姿が映し出されていた。


「アバターは……銀髪に、瞳は赤で」


髪の色と目の色だけ変更する。魔物でプレイするつもりだから、アバターはそこまで重要じゃない。それに、早くプレイしたい。細かいカスタマイズは後回しでいい。


「名前はサラ、アバターはこの外見でよろしいですか?」


挿絵(By みてみん)


「はい」


「承りました。次に、種族を選択してください」


目の前に、膨大な種族リストが表示された。


公式HPにはゴブリン、スライム、スケルトンなど、いくつかの魔物が例として挙げられていた。でも実際には、もっと多くの選択肢がある。


狼、馬、鹿などの動物。蜘蛛、蜂、蟻などの昆虫。さらにはワイバーンやバジリスクといった強力な魔物まで。


目移りする。どれも面白そうだ。


でも、迷っていても仕方ない。どんな種族になっても、きっと楽しめる。それに――運命に任せるのも、悪くない。


「種族は魔物の中から、ランダムでお願いします」


「ランダムですか? 一度決定すると、買い切り型では変更できませんが……よろしいですか?」


精霊が念を押してくる。


「はい。ランダムで」


私は迷わず答えた。何になるか分からない。それがいい。予想外の展開こそ、ゲームの醍醐味だ。


「承知しました。それでは最後に、初期スキルを選択してください」


またリストが表示される。戦闘系、魔法系、生産系、探索系……スキルの種類は膨大だ。

「初期スキルは、スポーン後に選びます」


何の種族になるか分からない以上、今スキルを選んでも意味がない。蜘蛛になったのに剣術スキルを選んでいたら無駄になる。種族固有スキルも別途もらえるらしいし、後で考えよう。


「わかりました。それでは――」


精霊が柔らかく微笑む。


「あなた様に、女神アイシア様の加護を」


精霊が手をかざすと、温かい光が私を包み込んだ。


公式設定によれば、プレイヤー全員はこの女神アイシアの加護を受けることで、異世界の言語を理解し、その世界で生きることができるという。


「それでは――未知なる世界アルヴァリアを、お楽しみください」


精霊の言葉と同時に、視界がまた真っ白になった。


次に目を開けたとき、私はもう人間ではなくなっているのだろう。


どんな姿になっているのか。どんな世界が待っているのか。


胸が高鳴る。


こうして、私の異世界生活が始まった。

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