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依存少女(ファン)

作者: ナベノヂ
掲載日:2025/10/20

復活したい小説家の少年、

その少年の大ファンで依存する少女、

のほほんな恋愛。

「今週も書いてきたよ」

朝、僕は笑顔で『先生』に言う。

「…ありがとう」

ボソリ、と返される。

相変わらず、暗い表情。なんか知らないけど、唇を噛み締めている。

「よろしくね、先生」

「うん」

小さくペコリとする『先生』。

僕はこの『先生』には頭が上がらない。

同じ高校1年生、そして更に同級生の、少女。

僕がスランプから脱出して、小説家として復活するための『鍵』だ。




「よ、読んだ。読んだよ」

「えっ、もう読んだの!? 今日渡したのに」

「読んだよ」

「確か、30枚だったと思うんだけど。30枚、短編小説か。読める、のかな」

「読んだよ、読んだよ」

「そっか。まあ、朝渡して、今放課後だから。有り得るのかもね、うん」

「読んだよ」

「勉強した? 授業中に読まなかったよね」

「読んだよ」

壊れたのだろうか、この子は。さっきから「読んだよ」しか言ってないような。

「書いたよ」

今度は「書いたよ」ときた。

感想の、紙。いつも通り、紙に書いて感想を伝えてくれる。


…。


「的確な感想、ありがとうございます」

頭を僕は下げる。

そして、微笑んで、

「流石読書家だね。いや、本当に、先生はすごい」

コクコク、『先生』はうなずく。

そして、照れたのか、頬を赤く染める。

「じゃあ、また頼むね。先生」

「うん」

なぜか暗い顔をされたのが気になった。

罪悪感、みたいな。




「…」

『先生』の作品を何回も読み返す。

同級生で、少年の。

「幸せだ…」

ボソリ。

私は『先生』の大ファンだ。

優しい世界、優しいけど強い意志のある主人公やヒロイン。派手さはないけど、落ち着く作品。そして、生きる勇気ももらえる。

なぜか、今は書いていない。スランプ、らしい。読者の私には、よくわからない。

コメントは、なんとかしぼりきって出している。的確、らしいけど。

もう、作家として復活してもいいと思う。

けど、もう少し、もう少しだけ、

「依存したい」

大ファンの『先生』が『私のためだけ』に書いてくれる『手書き』の作品。


唯一私に話しかけてくれる人ってこともあって、まだ復活してほしくないって思ってしまう。


復活したら、終わってしまいそうな関係だから。


読んでいただき、ありがとうございました。


少年がヒミツを知ったらどうなるか、ワクワクしますね!

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