依存少女(ファン)
復活したい小説家の少年、
その少年の大ファンで依存する少女、
のほほんな恋愛。
「今週も書いてきたよ」
朝、僕は笑顔で『先生』に言う。
「…ありがとう」
ボソリ、と返される。
相変わらず、暗い表情。なんか知らないけど、唇を噛み締めている。
「よろしくね、先生」
「うん」
小さくペコリとする『先生』。
僕はこの『先生』には頭が上がらない。
同じ高校1年生、そして更に同級生の、少女。
僕がスランプから脱出して、小説家として復活するための『鍵』だ。
「よ、読んだ。読んだよ」
「えっ、もう読んだの!? 今日渡したのに」
「読んだよ」
「確か、30枚だったと思うんだけど。30枚、短編小説か。読める、のかな」
「読んだよ、読んだよ」
「そっか。まあ、朝渡して、今放課後だから。有り得るのかもね、うん」
「読んだよ」
「勉強した? 授業中に読まなかったよね」
「読んだよ」
壊れたのだろうか、この子は。さっきから「読んだよ」しか言ってないような。
「書いたよ」
今度は「書いたよ」ときた。
感想の、紙。いつも通り、紙に書いて感想を伝えてくれる。
…。
「的確な感想、ありがとうございます」
頭を僕は下げる。
そして、微笑んで、
「流石読書家だね。いや、本当に、先生はすごい」
コクコク、『先生』はうなずく。
そして、照れたのか、頬を赤く染める。
「じゃあ、また頼むね。先生」
「うん」
なぜか暗い顔をされたのが気になった。
罪悪感、みたいな。
「…」
『先生』の作品を何回も読み返す。
同級生で、少年の。
「幸せだ…」
ボソリ。
私は『先生』の大ファンだ。
優しい世界、優しいけど強い意志のある主人公やヒロイン。派手さはないけど、落ち着く作品。そして、生きる勇気ももらえる。
なぜか、今は書いていない。スランプ、らしい。読者の私には、よくわからない。
コメントは、なんとかしぼりきって出している。的確、らしいけど。
もう、作家として復活してもいいと思う。
けど、もう少し、もう少しだけ、
「依存したい」
大ファンの『先生』が『私のためだけ』に書いてくれる『手書き』の作品。
唯一私に話しかけてくれる人ってこともあって、まだ復活してほしくないって思ってしまう。
復活したら、終わってしまいそうな関係だから。
読んでいただき、ありがとうございました。
少年がヒミツを知ったらどうなるか、ワクワクしますね!




