【制御】の謎
言い合いをしている間、俺は少し考え事をしていた。
「......あれ? どうしたんですか?」
エルンが俺が考えていることに気が付き、リリンとの言い合いをやめる。
「なぁエルン。今までの俺の指示って、自分の意志で動いたりしてるのか?」
「えっ? 私自身は全く自分で動いていませんが......。ライトさんの指示ではないんですか?」
「実は、俺は特に細かい指示を念じてる訳じゃないんだ......」
そう、俺は指示はしているが、具体的な指示はしていないのだ。
「となると、大雑把に指示をすると、都合よく動いていることになるけど......」
「......魔法とはいえ、そんな都合のいい魔法があるのかね......」
リリンは考えながら、エルンを見つめる。
「ど、どうしたんですか?」
「考えられる仮説とすれば、エルンの魔法を活かした都合よく制御する強力な魔力くらいだけど......」
「......まぁいいじゃないですか! 今考えても仕方ないですし、きっとそのうちわかりますよ!」
俺とリリンが考え込んでいる状況を、エルンが打ち破る。
エルンの言う通り、この世界すら知らない俺と魔法の専門家ではないリリンが考えても仕方がないのかもしれない。
冒険を続けていれば魔法に詳しい人物にも出会えそうであるし、今は考えるのをやめることにした。
「......そうだな。今は女神を探すことに集中するか」
「よーし! それじゃ、先ほどの黒煙が上がっていた場所へ向かいましょう!」
エルンは俺とリリンの体を掴む。
「ちょ、ちょっと待て! またさっきみたいに襲われたら大変だし、一旦歩いて行かないか?」
「私も賛成。この辺にまだガーゴイルがいたら危険だし」
「そうですね......。わかりました!」
エルンは俺たちの体から手を放す。
「それじゃあ今度こそ行きましょう!」
エルンは先ほど黒煙が見えた方向へ走り出す。
「ちょ、ちょっと待てよー!」
走り出したエルンを呼び止めつつ、俺とリリンは歩き出した。
それからしばらく歩くと、何かが燃えた後のような臭いが漂ってきた。
まるで、火災現場の周辺のような、そんな臭いだ。
「あ、あれは......!」
しばらく歩き続けると、焦げた建物が見えてきた。
建物は全て焼き払われており、人は一人もいない。
「ひどいね......」
リリンが呟く。
そして、村の建物へと近づいて行った。
その時、後方の草むらがガサガサと揺れた。




