尋問
食事中は特に襲われることも無く、無事、魚を食べ終えることができた。
魔物の姿をした魔物も眠ったままで、まだ起きそうにない。
「さーて......。この子はどうしようか......」
俺の隣にリリンが座り、地面に座り込む。
エルンに見張りを任せ、休むつもりなのだろう。
「あ、リリン。ありがとうな、見張っててくれて」
「別にいいよ。それより、この子をどうしようか......」
リリンは少しだけ考え、魔物の脳天にチョップをお見舞いした。
「いてっ......!」
魔物は、口をモゴモゴさせながら目を覚ます。
「い、痛い......! お、魔物になんてことを......ふべっ!」
話している魔物に、再びチョップをお見舞いするリリン。
モンスターだということは分かっているが、女の子の見た目のせいで罪悪感が湧いてきた。
「し、舌噛んだぁ......」
「さーて......。舌を噛んで目も覚めただろうだし、尋問でも始めようかな......。ちゃんと話さないと、試薬をどんどん飲ませていくからねー」
リリンは自分のカバンから複数の瓶を取り出し始める。
中には、薬と思われる液体が入っていた。
無色透明の薬から、虫が浮かんだ紫色の薬まで、様々な種類の薬を、魔物に見せつけるように並べた。
そんな薬を見た魔物は、一気に血相を変える。
「わ、分かった分かった! ちゃんと話すから!」
「それじゃ......。まず、あの村を襲ったのは君かい?」
「ち、違う! 私が来た時から、既に......!」
「どーれーにーしーよーうーかーなー......」
目の前に置かれた薬を、順々に指差すリリン。
「ほ、本当だって! 本当!」
「......じゃあさ、心当たりとかは無い? この辺の、どういう魔物が、あの村を襲ったとか......」
「知らないって!」
魔物がそう回答すると、リリンは一番端の薬瓶の蓋を開けた。
そして、中に入っている、茶色い液体を魔物の頭に、少しだけ垂らした。
「ちょ......! 臭い! 何これ!」
「芋虫、腐肉、狼の糞、その他色々の混合物。次はこれを口に......」
「指示された! 指示されて村を襲ったの! これでいいでしょ!? だから、もうそれを近づけないで!」
「ちなみに、指示したのは誰?」
「オーク族の山賊の頭だよ! あいつら、略奪を手伝ったら食事を分けてくれるって言ったのに、裏切って先に逃げて......! 仕方無いから、戻ってきた村人か通りかかった人でも襲おうかと思って......」
「そういえば、村人はどこに行ったんだ?」
逃げた村人が気になり、魔物に問いかける。
「知らないわよ! 村人を殺すことは指示されてなかったから、眼中に無かったし......」
「じゃあ、二本目を......」
リリンは別の薬瓶を手に取る。
「ま、待って! 北! バラバラに逃げていったけど、北方面に逃げてった人が多かったから、北に逃げたと思う! 北に洞窟があるから、そこに逃げたんじゃないの!?
「ふーん......」
リリンはそれを聞いて、立ち上がる。
「エルンちゃん!」
リリンは、少し離れた場所で見張りをしていたエルンに声を掛けた。
エルンは駆け足で、俺たちの元に戻ってきた。
「話は聞いてましたよ! 村人を助けに行きましょう!」
「え? 助けに行くの?」
「え? 助けに行かないんですか!?」
「だって、私たちには関係無いし......。今の尋問も、近辺にどういう奴が居るのか確認するためと、あとは、私を騙したことに対する仕返しをしたかっただけだし......」
「そんなぁ! 助けに行きましょうよ! ライトさんも、私に賛成ですよね!」
「え、えっと......」
唐突に俺の意見を求められたことに加え、リリンにジロリと睨まれ、焦ってしまう。
頭を回転させ、リリンが納得しそうな理由を考える。
「お、俺は助けに行きたいと思ってる。......もしかしたら、報酬が貰えるかもしれないし。それを宿代にすれば、野宿する回数を減らせるかもしれないし,.....」
「......強襲された村人が、金品を持って逃げてると思う?」
「それは......。か、確認してみないと分からないんじゃないか......?」
「ふーむ......」
考え込むリリン。
「......よし。それじゃあ、確認しに行ってみるか。エルンちゃんが居るなら、早く見つかりそうだし。じゃ、ライトくん。エルンちゃんに指示を出してあげて」
「分かりました。......エルン! 俺たちを抱えて、上空に飛んでくれ!」
「了解です!」
俺の周囲に魔法陣が現れ、エルンが俺たちを抱きかかえる。
そして、俺たちは真上に飛び上がった。
「......あれ、もしかして......。私はこのまま......?」
縛られた魔物を、縛り上げたまま残して。




