海野 大洋①
大洋視点です。
省けるだけ省こうと思ったのですが、なんか予想以上に長くなりました。
俺の名前は海野 大洋。
勉学も運動も平凡な普通の高校生だ。
父の潮太郎は普通の会社員で、母の瑞希は普通の専業主婦。
特段目立つところもない至って平凡な家柄だ。
そんな俺には心から推しているアイドルがいる。
名前はアオカちゃん……アイドルグループ〈ドルフィンガールズ〉の1人だ。
彼女が外見においても内面においても、グループにおいて群を抜いている。
俺が初めて彼女を知ったのは中学2年の頃……。
当時話題を呼んでいたアニメ映画の試写会で、声優を務めていたアオカちゃんが舞台あいさつに来ていたのが……俺達の最初の出会いだった。
「……」
彼女を一目見た瞬間……俺は今まで感じたことのない激しい鼓動を感じた……。
胸が締め付けられるような痛みに似た感覚……ひどく乱れる呼吸……。
その時はわからなかった……この気持ちがなんなのか……。
でもすぐにわかった……俺はアオカちゃんに一目ぼれしたんだって。
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それから俺はアオカちゃんのファンとして、彼女を応援するようになった。
ドルフィンガールズのライブがあると聞けばどこにでも駆けつけ……関連商品はバイト代や小遣いが許す限り購入し……動画配信も欠かさず視聴していた。
これらの行動をひとまとめに言えば……”金を貢ぐ”だろう。
自由に使える金のほとんどを貢いでいるため、アオカちゃん関連以外に仕える金は微々たるもの。
だけど俺は、現状を後悔したことは一切ない……。
俺にとってアオカちゃんが全て……。
彼女を支えることこそ……俺の生きがいなんだ!!
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アオカちゃんの推し活を始めてから3年が経ち、俺は高校3年生となった。
俺のアオカちゃんへの想いは全く色あせていない。
ただ……俺は体に起きた”とある変化”に悩まされていた。
「はぁ……はぁ……アオカちゃん……」
高校に入学してから間もなくの頃……純粋にアイドルとしてアオカちゃんを崇拝していた俺の想いは……
日に日に女性らしい成長を見せてくるアオカちゃんに対する性欲へと変貌するようになっていった。
最初は露出の多い衣装や水着を身に纏ったアオカちゃんの画像を糧にして、本能的に性欲を満たすようになっていた……。
さらには、とあるライブでの抽選でアオカちゃんから直接もらったタオル……それを下半身に当てると、アオカちゃんに慰めてもらっているような感覚になって実に心地よい。
「おっ! これなんかいいじゃないか……」
だが時が流れていくにつれて、画像の刺激に物足りなさを感じるようになり、俺は違法サイトで販売されていたアオカちゃんのエロ画像を購入するようになった。
もちろん全てAIで作られたニセ画像だ。
今の時代……素材があれば、AIに学習させて自由に写真や画像を作ることができる。
なんならアオカちゃんの卑猥な声やショート動画までも生成されて売られているくらいだ……。
恐ろしい時代と思う反面……簡単にアイドルを性欲の糧にできる便利な時代だと感謝もしていた。
俺はその画像を糧に、俺は痕跡を洗い流すことができる風呂場を主な場にして性を満たす毎日を送り続けていた。
仕方ないこととはいえ、親にこんなことを知られるのは素直に恥ずかしいからさ。
……?
こんなニセ画像や動画で性を満たすなんて根暗?……陰湿?
ハハ!! 何を言っているんだ?
これは純粋な愛だ!
事実……俺はアオカちゃん以外の女には目もくれていない!
それはなぜか?……それはアオカちゃんを一途に想っているからだ。
俺と同年代の男は可愛くてスタイルの良い女の子を無差別に異性として見る……ようは女ならなんでもいい軽薄な連中だ……でも俺は違う!
俺はアオカちゃんをただの性欲の対象だなんて思っていない。
俺にとってアオカちゃんはこの世で最も清く尊い存在なんだ……。
この愛を理解できない愚か者なんぞに、何を言われようと……何も思わないね。
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「はぁ……はぁ……クソッ!!」
ところがある時を境に……俺の体は現状で満足できないようになっていった。
アオカちゃんを想う心は変わらないが……自分で満たすことに飽きを感じるようになっていた。
どれだけ過激な画像を手に入れようが……専用の道具を買って使用しようが……体が満たされることはなかった。
俺の体は……生身の女を欲しているんだ。
生身の女の体にこの欲をぶつけたいと思うほど、貪欲になってしまっていたんだ。
だけど……それは俺にとってかなりハードルの高い欲求だった。
俺はどちらかといえば内気で引きこもり気味な方だ……。
そんな俺に彼女なんて今も昔も存在しないし、そもそも彼女なんてイケメンでもない限り……そう簡単には作れない。
かといって……未成年の俺には風俗に通うことなんてできないし、行為目的のマッチングアプリなんてものも使う度胸はない。
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「これはどういうこと? どうしてこんないかがわしい画像があなたのスマホにあるの?」
満たされない自分の欲望に悩む毎日を過ごしていたある日……帰宅した俺を母さんが問い詰めてきた。
少し前から俺の長湯癖(実際は自己処理だが……)を直そうと、入浴している間だけ……母さんが俺のスマホをを取り上げるようになっていた。
母さんは俺のスマホを取り上げている間に、中身を確認したんだろう……。
家族間とはいえ……プライバシーの侵害に当たる行為だとは思うけど……俺はそんなことはどうでもいいくらいに動揺していた。
母さんが何か色々言っていた気がするけど……正直、耳に入らなかった。
「もう2度とこんな真似はしないでちょうだい」
母さんにそう言われたものの……はっきり言って無理だった。
だって……溜まってしまうものは処理しないと頭がどうかなってしまう……とは言っても処理できていないのが現状だ。
欲が溜まる一方……自分ではどうしようもできない。
「俺にももう……どうにもならないんだ」
俺は藁にもすがるような思いで、自分の本心を偽りなく母さんに伝えた。
何がどうなるかなんて考えていなかったけど……気持ちが抑えきれなかったんだ。
すると母さんから……想像を超えた言葉が返ってきた。
「じゃあ……母さんが相手をするわ」
「えっ?」
「母さんが……大洋の苦しみを取り除いてあげるから」
俺の欲を処理するため……母さんが体を提供してくれると言ってきた。
そんなことは考えたこともなかった。
母さんと体を重ねるなんて……。
普通に考えたらそんなことはできないだろう……。
だけど、溜まりに溜まった性欲が俺の脳を支配している今、俺には常識や体裁なんてどうでもよかった。
ただただこの欲望を女にぶつけたい……そんな獣じみた衝動だけが、今の俺の全てだった。
血が繋がっているし……かなり年も離れているけれど……母さんはそこそこ美人の部類に入る。
ほとんど無差別に女を求めている状態とはいえ、女としては母さんは申し分ないと思う。
「母さん……俺を助けて……」
俺達はその日の内に、風呂場で体を重ねた。
いや……体を重ねたと言うよりも、俺が母さんの体を貪ったと言った方が正しいのかもしれない。
ともかく……俺は母さんのおかげで溜まっていた性欲を処理することができた。
今までの自己処理がバカバカしくなるくらい……スッキリとした解放感を得ることができた。
とは言っても、俺の体が1回の処理で満足することはなく……定期的に母さんに相手をしてもらうようになった。
母さんは俺のことを気遣って、文句も言わずに体を提供してくれた。
親子だからか……体の相性はかなり良く、俺は母さんの体に夢中になった。
何度も何度も母さんに性を吐き出し……そのたびに言葉には言い表せない快楽に包まれ……そしてまたすぐ沸き上がる性を再び母さんに吐き出す……これを繰り返すことが俺にとって最高だった。
こんなことに付き合ってもらっている母さんには心から感謝している。
でも言っておくが……俺にとって、母さんはあくまで母さんだ。
俺の心には常にアオカちゃんがいることは今も変わらない。
母さんと体を重ねている時だって……アオカちゃんを想って性を発散させている。
アオカちゃんを妄想して……母さんを抱くことで……アオカちゃんと疑似的に体を重ねているような感覚になれる。
体を提供してくれる母さんにこんなことを言うのは申し訳ないけれど……はっきり言って母さんには体しか求めていない。
言うならば……アオカちゃんの代用品だ。
あと、言うまでもなく……父さんには俺達のことを話してはいない。
そりゃそうだろ?
いくら仕方ないこととはいえ……母親と体を重ね続けているなんて恥ずかしくて言えないに決まっている。
母さんはどうか知らないけれど……話していないようだから安心している。
まあ俺がきちんと独立して家を出られたら……風俗とかで性を発散させようと思う。
それまでの間だけの関係だ……父さんにバレることはないだろう。
そう……思っていた。
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「お前達……これはどういうことだ? 説明しろ」
ところがある日……いつものように風呂場で母さんと致していた時……怒りを露わにした父さんが乱入してきた。
しかも父さんは、裸の俺達に録画状態のスマホを向けるという常識を逸脱したあり得ない行動まで取っていた。
いくらこの現状を見て動揺しているからって……こんな非常識なこと、許されないだろう!?
「おっおい父さん、それ盗撮じゃないか! 何を考えてるんだよ!?」
そう訴えてはみたが……父さんはひるみもせず、ただただ現状の説明だけを求めてきた。
俺と母さんはもはや父さんに従うしか選択肢はなかった。
「お前は瑞希を……母さんを女として見ているのか?」
俺達が一通り説明をし終えると、父さんがそんなことを尋ねてきた。
どういう意図でそんなことを言ってきたのかわからないが……嘘を言っても父さんを怒らせるだけだから、俺は素直に答えることにした。
「そうでなかったら……こんなことできないじゃないか……」
そりゃそうだ……。
母さんを異性として見ることができたからこそ……今まで性欲を発散することができたんだ。
心はアオカちゃんにあるが……俺は母さんの体を女として見ている。
「俺達……家族じゃないか。 これからも3人で仲良くやっていこうよ」
俺と母さんは家族の情に訴え、父さんの説得を試みた。
父さんはきっとわかってくれる……なんてって、父さんは心から家族を愛しているんだからな!
「離婚しよう……親権はお前に渡す」
そう信じていたのに……父さんは冷淡な声音で母さんに離婚を突き付けてきたのだった。
次話も大洋視点です。
潮太郎と瑞希の視点と足並みを揃えたら、すぐに話を進めたいと思います。