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海野 瑞希①

瑞希視点です。

 私の名前は海野うみの 瑞希みずき

夫の潮太郎と息子の大洋の3人で暮らしているごく普通の専業主婦。

潮太郎とは両親のお見合いで知り合い……すぐ意気投合して結婚した。

大洋もひとり息子ということもあり、精一杯の愛情を注いできた。

金銭的に裕福でもないし、特別目立つことはないもないけれど……私達は幸せに暮らしていた。

これからも変わらない毎日が過ぎ去っていく……そう思っていた私の運命がゆっくりと変化していった。


--------------------------------------


 運命が変わる前兆を感じ始めていたのは、大洋が高校2年になったばかりの頃……。


「大洋! いつまでお風呂に入っているの!? いい加減にしなさい!」


『わかった! もう少ししたら出るからさ』


 大洋はほぼ毎日……2時間もの入浴が日課になっていた。

いくらきれい好きだとしても、長湯なんかして脱水症状等の体調不良を起こせば大変だ。

そう思って何度も注意喚起してみたものの……長湯の癖は治らなかった。

でもその要因はわかっている……スマホだ。

大洋は入浴の際、必ず風呂場にスマホを持ち込む。

今の子からしてみれば珍しいことではないらしいけど……そのスマホがある限り、風呂場でも暇を持て余すことはない。

私は潮太郎にこのことを相談し……一計を案じた。


「大洋、スマホを出しなさい」


「なっなんでだよ……」


「スマホをお風呂に入っている間、母さんが預かります」


「そっそんな……」


「再三注意したのに長湯をやめないあなたが悪いんでしょう?」


「大洋、母さんはお前のことを思って言っているんだ。 風呂の間くらいいいだろう?」


「……」


 潮太郎のフォローもあり、大洋はしぶしぶスマホを私に預けてくれた。

本音を言えばしばらく取り上げたいところだけど、スマホは生活の必需品……それはできない。

でもそれならせめて……お風呂の間だけでも大洋の手元から離しておきたい。

そう思って私は、心を鬼にしてスマホを預かると言う現代人には少々酷な手段を選んだ。

最初はどうなるかと思っていたけど……効果はあった。

実際それから、大洋は一切長湯をしなくなり……一般的な入浴時間で風呂から上がるようになった。

やはり大洋を風呂場に縛り付けていたのはスマホだったみたい……。

そう安堵していると、私の中に大きな疑問が浮かび上がった。


”大洋は風呂場にスマホを持ち込んで、長時間何をしていたの?”


 普通に考えればゲームや動画視聴だろうけど……風呂場に2時間も籠ってすること?

その答えが知りたくてたまらなかった私は……大洋からスマホを預かっている間、その中身を確認することにした。

スマホのナンバーは母親として当然把握しているから、ロックを解除することは簡単だった。

勝手にスマホの中身を見るなんてプライバシーの侵害だろうって?

バカを言わないで……私は大洋の母親よ?

親は子供の全てを管理する責任があるの……。

もしも大洋がスマホで良からぬ仲間と連絡を取り合っていたら?

たびたびニュースで聞く闇バイトに手を出していたら?

スマホには危険な因子がたくさん含まれている……。

親として、子供を心配するのは当然でしょう?


「中身は……」


 スマホの中にはいくつかのゲームアプリや大洋が推しているアイドルグループのファンクラブサイト等……至って健全なものばかりだった……。

私の思い違いかと安堵したのも束の間……何気なく開いた画像フォルダを見て私は言葉を失った。

そこには女性の過激な写真……俗に言うエロ画像が大量に保存されていた。

そして瞬時に察することができた。

大洋が風呂場に長時間籠っていた訳……いわゆる自己処理という奴でしょう……。

風呂場なら痕跡は洗い流せるし……潮太郎や私がいきなり入ってくる可能性も自室より低い。

客観的な立場で言えば、17歳の男子高校生なんだから普通だろう……なんて思うかもしれないだろうけど……母親としての立場からすればただただおぞましかった。

これまで清く正しく育てていた我が子が……まだ17歳の子供が……女性の裸を糧にして自らの性欲を処理するなんて……そんな汚らわしい行為、親として認められるわけがない。

しかも……驚くべきことはそれだけじゃない。


「ここに写っているのって……たしか大洋が推している……」


 画像フォルダにある裸の女性の顔をよく見ると、大洋が推しているアイドルの子だった。

それも保存されている画像全てだ……。

お金ほしさに撮影したものなのか……違法な加工で作った画像なのか……それは正直、どうだっていい。

問題なのは……大洋がこのアイドルを性の対象として明確に意識していること。

無差別に女を物色するのも問題だけど……1人の女に固執するというのも恐ろしいもの。

一方的な好意が原因となってストーカー犯罪に発展してしまうケースは今も昔も変わらずよく聞く。

可愛い我が子が犯罪者になるかもしれないなんて……母親として見過ごせるわけがない!

でも潮太郎ならきっと……年頃なんだから仕方ないとか、大げさに考えすぎだとか言って……私を押さえつけようとするでしょうね。

あの人も大洋と同じ男……こういった性事情には寛容的になるかもしれない。

そうでなくとも、あの人は何かと大洋に甘い所があるだから……彼には相談するだけ無駄ねきっと……。

かといって友人や両親に相談する勇気もない。

だから私が……なんとかしないと……。


「とにかく大洋と話し合わないと……」


--------------------------------------


 私は翌日……学校から帰宅した大洋を問い詰めることにした。

しらを切らせないように、画像の一部を私のスマホに証拠として送っておいた。


「これはどういうこと? どうしてこんないかがわしい画像があなたのスマホにあるの?」


「そっそれは……」


「長湯していたのも、この画像でその……処理していたからなの?」


「……」


 大洋は私の問いかけに沈黙した。

沈黙するということは肯定しているも同然……。

やっぱり大洋はこの画像で自己処理をしていたんだ……。

そう確信できてしまった瞬間……私の心は怒りと悲しみでぐちゃぐちゃになってしまった。

私達の教育のどこが間違っていたの?

学校の教師たちはこの子に何を教えてきたの?

どうして大洋は私達に隠れてこそこそとこんな恥知らずな真似をしたの?

わからない……。

世間一般的に言えば……性別問わず、性欲があるのは普通のことでしょう……。

こっそり自分で処理することも……何もおかしなことではないのでしょう……。

でもね?

いくら多感な年頃だからって……人目を忍んで我が子がこんな真似をしていたと知れば、親なら誰でも傷つくでしょう?

いつまでも清く正しい子であり続けると信じていたのに……。

えっ?


「大洋! 私もお父さんも、あなたは立派な大人になると信じて今まで育ててきたのよ!?

それなのに……こんな、信頼を踏みにじるような真似をして、なんとも思わないの!?」


「……」


「いい? 女の裸を糧にして性欲を満たすなんて性犯罪と同じ、盛りのついたケダモノがやる最低な行為よ?

このままじゃ、大洋はいずれ本当に性犯罪を犯してしまうかもしれないわ。

そうなってからでは遅いのよ? わかる?」


「……」


「もう2度とこんな真似はしないでちょうだい。

こういうことは、大人になってから時間を掛けて知る方が良いのよ」


 そうよ……。

そもそも性行為は、夫婦が子供を作るために行う神聖な儀式のこと。

それをただ性欲を満たすためだけに行うなんて、愚かしいにもほどがある。

世の中、清く正しい人間が正義なんだから……。


「これは大洋のために言っているの!

母さんにもう2度とこんな汚らわしいことはやらないと誓えるのなら、今回のことは忘れます」


 私はひとしきり言い終えると、大洋の返答を待った。

そして数分後、黙ったままでいた大洋がようやく口を開いた。


「……いんだ」


「えっ?」


「俺にはもう……どうにもならないんだ」


 絞り出すような声で大洋が私にそう言ってきた。


「確かに俺……ずっと風呂場で処理していたよ。

やらないと気持ちが高ぶって落ち着かないからさ……どうしても我慢できなくなったんだ。

でも最近は……自分で処理しても満たされなくなってきたんだ……何度処理しても、全然体が満足してくれない」


「だったら勉強とかスポーツとかに力を注いでみたらどうかしら?

そうすれば、気がまぎれて……自然と収まるかもしれないわ。

それがイヤならゲームでも推し活でもいいから……」


 親としては学生の本分に専念しろと言いたいところだけど、こんな汚らわしい真似をするくらいなら……健全な分、ゲームや推し活の方がマシよ。


「俺だってそれくらいのことは考えたよ……。

でも何にどれだけ熱中しても……ふとした拍子に何かムラムラしたものが沸き上がってくるんだ」


 大洋の気持ちを一言で表すなら……欲求不満ね。

そんな経験のない私には理解できない言葉だけど……これに当てはまる大洋にとっては、精神がおかしくなるくらいきついものらしい。


「ここ数日は特にひどいんだ……。

学校の同級生の女の子と廊下ですれ違えば、胸とかお尻を無性に触りたくなるし……町できれいな女性を見かけるたびに下半身が痛いくらい盛り上がってくるし……もう女なら誰でもいいって感じになってしまっているんだ」


 私は全身に悪寒を感じた。

だって今の大洋の思考は、典型的な性犯罪者の思考だ。

無差別に女性に襲い掛かりたいなんてただのケダモノじゃない。

もはや犯罪に手を染めていない現状が不思議なくらいだ。

もう大洋は性犯罪者の1歩手前にまで来てしまっている。


「もうどうすればいいのかわからないんだ」



 泣き出す大洋の顔を見ながら私は必死に考えた……。

大洋の意思とは無関係に、大洋の体は雌の体を求めている。

その高揚を静めるには、やはり性行為するしか方法がない。

でもその相手はどうやって用意するの?

息子が女性を抱きたがっているから抱かせてあげてなんて……どんなお人よしでも受け入れるわけがない。

金で簡単に股を開くような汚い女はいくらでもいるだろうけど……大事な息子のハジメテをそんな女に取られたくない。

かといって……大洋には彼女も好きな女の子もいない。

そうなってくると……残された可能性はただ1つ。


「じゃあ……母さんが相手をするわ」


「えっ?」


「母さんが……大洋の苦しみを取り除いてあげるから」


 私は大洋を真っ当な道に戻すために、自分自身を性のはけ口として提供した。

はっきり言って、無謀だと思っていた。

私と大洋は歳がかなり離れているし……それ以前に私達は血の繋がった親子。

いくらなんでも実の母親を性の対象に取れるわけがない。

そう思っていた……。


「母さん……俺を助けて……」


 甘えるような声を上げ、大洋は私の胸に飛び込んできた。

それはつまり……私を抱くことに賛同したということ。


「わかった……じゃあ2人で、お風呂に行きましょう」


「うん……」


 私は大洋をリードするように風呂場へと歩いた。

親子で性交なんてあり得ない……なんて常識、今はどうでもいい。

全ては大洋を犯罪者にしないため……大洋の将来のため……。

そして、家族の幸せのため……。

私は母親として、当然のことをするの。

次話も瑞希視点です。

大洋と関係を持ってから……潮太郎にバレるまで。

できれば、離婚されて潮太郎に出ていかれる所まで書き切りたいと思います。

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インパクトがありすぎるあらすじに引かれて拝読しました。 このお母さん、スマホを勝手に覗く、性的なものを汚らわしいと思う……その点から、当初は息子さんがやばいのだと思ってましたがお母さんもやばいと言うか…
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