新しい生活の始まり
リリアは、大きな期待を胸に村へと足を踏み入れた。祖母が暮らしていた家は村の外れにあるとだけ聞いていたため、途中で道を尋ねることにした。
「おや、リデアさんのお孫さんかい?」
道端にいた優しそうなおばあさんが話しかけてくれた。
「お家は、この道を右に曲がって、道なりに進んだ先だよ。近くに泉がある家だから、すぐにわかるよ。」
「ありがとうございます!」とリリアは丁寧にお辞儀をした。
するとおばあさんは目を細めて微笑んだ。
「あらあら、女の子だったのね。うちにも、年の近い孫娘がいるんだ。村の生活に慣れるまで、何か困ったことがあったら頼っておくれ。」
「そうなんですね!落ち着いたら、ぜひ改めてご挨拶に伺います。」
リリアは帽子を取ってもう一度お礼を言い、手を振っておばあさんの家を後にした。
教えられた通りに進むと、ひっそりと佇む古びた家が目に入った。石畳の小道を抜け、家の前に立つと、苔むした木造の壁や、屋根に絡まるツタが目を引いた。しかし、その古びた外観にもどこか温かみがあり、リリアは一目でこの家を気に入った。
「わあ、ツタに覆われてると思ったけど、よく見るとブドウが実ってる!果物の木もたくさんあるし……」
さらに家の周りを見渡すと、草に覆われた畑には、所々で野菜が芽吹いているのを見つけた。
「なんて素敵な場所なんだろう!」
新しい暮らしへの期待が一層高まり、リリアは胸を弾ませながら家の扉を開けた。