朱里と春奈のお仕事
9月7日。朱里と春奈はメビソア公国にいた。今日はマルスの撮影。朱里はクルト。春奈はコーツを受け持つ。彼らは同じアニメ会社に勤務しており、クルトが原画。コーツが背景を担当する。撮影はクルトの部屋で行われた。マルスは同じマンションの違う階に住んでいた。2人が彼らを撮影するのは初めて。朱里たちはクルトたちには温かく迎えられた。「はじめまして朱里。僕はクルト。今日からよろしく」「よ、よろしくねクルト」「はじめまして春奈。僕はコーツ。今日からよろしく」「そうねコーツ。お逢いできて嬉しいわ」2人はまず日本語が通じるのに安堵した。確かにイントネーションは怪しいが、日常会話に不自由するレベルではない。4人はしばし雑談に花を咲かせた。「朱里はどうしてエージェントなんかしてるの?」「そうね。やっぱり生活があるからよ」「春奈は?」「私も同じね。やっぱり生活があるからよ」「リアルでは朱里くらいの子でもふつうに参戦してるのに?」「そ、そうね。でも娘の前でチア姿は恥ずかしいわ」「春奈だってまだピチピチしてるじゃないか?」「そ、そう?でも娘の前でチア姿は恥ずかしいわね」朱里たちはまんざらでもない。ひと回りも歳下の男の子に褒められて悪い気はしなかった。異世界側からすればあらかじめ対戦相手と顔合わせしておいた方がいいだろうという親心。でも2人はやっぱり三十路であるというコンプレックスが抜けきらない。もしかしたらマルスにおばさん扱いされちゃうかも。だとすれば玲子たちの手前だし、あまりにもキツすぎる。でも彼らに女の子扱いされ、朱里たちは安堵した。撮影に決まりはなく、マルス自体が撮れればいい。2人は写真をどうするかを聞かされていなかった。「ねえクルト、撮った写真はどうなるの?」「たぶん写真集でも出すんじゃないかな」「ねえコーツ、あなたはどう思う?」「そうだね。僕も写真集くらいしか思いつかないな」まだマルスに熱烈なファンはいないが、未来の大ファンのために写真集を出すのだろう。そんな結論に落ち着いた。朱里たちはまずクルトたちの私服姿を撮影した。18歳のマルスは体格に恵まれており、2人は彼らと対戦したらさぞかし足がすくむと感じた。かと言って何者をも寄せ付けない排他的なオーラはなく、むしろ田舎臭い野暮ったい若者たちがいるだけ。クルトたちからは初め固さが感じられたが、すぐリラックスムードに変わった。撮影はスムーズに進んだ。休憩に入るとマルスは彼女たちとの雑談に花を咲かせた。「朱里、年内に参戦してほしいね」「そ、そうね。年内なら都合つくかもね」「春奈もだよ?」「そ、そうね。さすがに年内なら都合つくかもね」朱里たちは素直に喜んだ。やっぱり歳下の男の子から真剣に求められたら嬉しい。「だからってあんまり私たちをイジメちゃダメよ」「大丈夫さ。慣れるまではゆるめてあげるよ」「ねえコーツ、あなたもよ」「もちろんさ。僕たちがちゃんと可愛がってあげるからね」休憩が終わるとクルトたちは白のセーラー姿に着替えた。まるで女の子みたいにきゃしゃに見える。いっそ彼らにミニスカートを履かせてみたいくらいだ。その要求は残念ながらやんわり断られ、実現しなかった。でも撮影が始まるとマルスは紅顔の美少年に映る。クルトたちは母親似のせいかまるで女の子が男装したかのようだ。朱里たちは無我夢中で撮影に没頭した。な、何かしら。私たち歳下の男の子がこんなにも大好きだなんて。でもやっぱり若い子と触れ合うのは最高。2人は年甲斐もなく恥じらいを覚えた。かと言って変な雰囲気にもならず、撮影は無事に終了した。でもこれからが長かった。すっかり打ち解けた4人はそのままデートに繰り出した。朱里はクルト。春奈はコーツと仲よく腕を組んで街を歩いた。小ぶりなふくらみに彼らの肘がちょいちょい当たるのが嬉しい。2人のデートは実に10年ぶり。朱里たちは頬が緩みっぱなし。名古屋は21時だが、こちらはまだ17時。リアルと異世界に時差があるためだ。異世界の方がリアルより4時間遅い。なので玲子たちは学校を休まずに異世界のイベントに参加しやすい。カラッとした空気が心地いい。4人は喫茶店に入ると雑談に花を咲かせた。「なあ朱里、ひとり娘が心配なのかい?」「もちろんよ」「玲子は弟のハビエルが可愛がってくれるさ」「なあ春奈、ひとり娘が心配なのかい?」「もちろんよ」「美月は弟のリメルが可愛がってくれるさ」朱里たちはクルトたちに口説かれまくって早くもよだれがあふれ出した。2人の右の手のひらにはもちろん彼らのイチモツが軽く握らされていた。あっ熱っ。こ、コレってこんなにも熱を発するんだ。テーブルの下からは彼らの右手が朱里たちのショーツの中へと侵入を開始した。「あんっ❤」「くふう❤」2人はクルトたちにされるがまま。朱里たちは何度も何度も達したが、まだまだ許してもらえそうもない。