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玲子と美月のミッション

9月3日。宮内玲子と吉野美月は在籍する純正女学院中等部から帰宅すると家庭訪問の準備を始めた。14歳の女の子たちに与えられたミッションは家庭訪問。訪問先はリタイヤした魔法戦士や異世界のイベントに来てくれた子たちを対象に行う。メビソア公国は新国家なので魔法戦士の受け入れ体制が整っていない。2人は名古屋市在住だが、メビソア公国は名古屋にエージェントを常駐させる余力がない。なので玲子たちは貴重な戦力。2人には口うるさい上司がいないので気楽。準備といっても訪問先の女の子たちの情報に目を通すだけ。初めの訪問先は[カシス]。カシスは交戦国から付与された魔法戦士のコンビ名。28歳の津川花苗と26歳の津川悠子は美人姉妹。カシスはマルスと呼ばれる少年兵士たちと対戦したが、デビューした時期が梅雨入りなのが災いした。この時期にデビューした魔法戦士は全て名古屋の地獄の酷暑にやられて今なおリタイヤ中。花苗は16歳のヨアヒム。悠子は14歳のライエルと対戦した。彼らは仲のいい兄弟だが、女性に免疫がない。花苗たちの努力でヨアヒムたちは性の目覚めを促された。「彼らを開花させたのは私たちなんだからね」花苗は続けた。「でも名古屋の夏は異次元すぎるでしょ?私たちすぐ体調不良でダウンしちゃったのよ」あけっぴろげな花苗に対して悠子はおとなしい。「悠子さんは?ライエルとはうまくいったの?」「も、もちろんよ。復帰戦のお相手は彼らしか考えられないわ」本来ならばリタイヤした魔法戦士の対戦相手は復帰戦で変えられてしまうのが通例。でも玲子たちはあくまでも現場の声を重視した。悠子は人見知りが激しいが、実は魔法戦士の大半がそうなのだ。なので復帰戦は対戦相手を変えないでほしいという要望が実に多い。こうした切実な声がメビソア公国に届けられた。このあたり異世界は柔軟。彼らは美人母娘や姉妹の魔法戦士を1人残らず取り込みたい。だからこそ彼女たちの言い分にはちゃんと耳を傾けてくれる。悠子は涙を流して喜んだ。花苗も胸を撫でおろした。こうしたつなぎ役は極めて重要な役割を果たした。次の訪問先は[キュート]。すでに交戦国からコンビ名を付与されているが、いまだにデビューできていない。園田ほのかと松下亜紀は10歳の友人同士。2人がデビューできない理由は彼女たちに見合う対戦相手がいないからだ。魔法戦士は恥じらいを強くされることで魔法の力が増す。でも10歳児では恥じらいが強くないため、対戦相手にいとも簡単に食われてしまう。これでは誰も喜ばないし、異世界側も面白くない。こんな子たちが大歓迎の時代もあるにはあったが、今はコンプライアンスがうるさい時代。対戦相手の好き勝手が許されないのだ。「異世界側は意気地がないよね」ほのかは続けた。「私たちじゃあ物足りないのもわかるけどね」「異世界側にも大人の都合があるのよ」「大人の都合って?」「ま、まあ幼い子をイジメちゃダメよとか」「私たちマルスのお兄ちゃんたちと遊びたいだけなんだけどね」「か、彼らにもいろいろあるのよ」玲子たちは弁明に努めたが、そこまで把握していない。「あんまり幼すぎてもダメなのかな?」亜紀が尋ねた。「そ、そうね。魔法戦士は恥じらいが強くなるのが大前提だからね」「じゃあ私たちまだ早いのかな?」「かもしれないわね」「じゃあもうちょい待つわ」ほのかたちは納得した。下手に言い訳しない玲子たちに好感したようだ。2人は安堵した。玲子たちは必ずしもメビソア公国に精通しているわけではない。「玲子は?参戦しないの?」「わっ私たちはエージェントだからね」「美月は?参戦しないの?」「わ、私もエージェントだからね」2人は別に参戦に否定的ではない。ただ始まりがエージェントだったし、それなりにやりがいを感じ始めていた。でも性的な刺激に乏しいのも事実。「ねえ玲子、エージェントって楽しい?」「楽しいわよ。性的な刺激は乏しいけどね」「ねえ美月、エージェントって楽しい?」「意外と悪くないわよ。性的な刺激は乏しいけどね」ほのかたちは微妙な表情を浮かべた。お姉ちゃんたちふつうに美人なのに。どうして参戦しないのかしら?そんな心の声が聞こえてきそうだ。「お母さんたちは?参戦に反対しないの?」玲子が尋ねた。「それがね。意外と乗り気なのよ」「亜紀のお母さんは?」「私のお母さんも意外なほど乗り気なんだよね」ほのかたちのお母さんは28歳と若いし、夫とは別居中。なので性的に欲求不満だそうだ。特に最近は試着会へのお誘いが多い。試着会は魔法戦士の正規のコスチュームを試着できるイベントだが、メビソア公国はまだ1度も開催できていなかった。「なんでメビソア公国は試着会しないの?」「それがね、業者が名古屋の地獄の酷暑のせいでバタバタ倒れて入院中なのよ」「マジ!?」これは事実。異世界側は名古屋の地獄の酷暑を甘く見て痛い目に遭った。

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