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ある星の黙示録

作者: 川里隼生

 私が住んでいた星はある日、寿命を迎えて爆発しました。私も含め、この星に住んでいた五百億の人々はみんな一瞬にして死んでしまいました。痛みを感じる暇もない大爆発でした。


 死後の世界で、私たちは神様に生前の善行と悪行を比較され、天国か地獄のどちらかへ送られることになりました。私の番になり、神様はこう仰いました。

「あなたは生前、黙々と勤労に勤しみ、動物と草木を大切にし、酒を決して口にせず、未来の子供たちのことを考えて生きていましたね。天国行きです。この階段を上がっていきなさい」


 階段の先は、地平線まで続く平原でした。春のような心地いい風が吹いていました。人は誰もいません。私だけです。私のあとからも、誰一人として階段を上がって来る者は現れませんでした。


 小高い丘に、地獄の風景を覗く穴がありました。みんな地獄に落ちていました。針山を登らされる者がいました。業火に身を焼かれる者がいました。他にも、あらゆる苦しみをみんなが受けていました。叫び声の中から、微かにこのような会話が聞こえてきました。


「なあんだ、みんな一緒か。なら、ここも賑やかになるね」

「ああ。それに地獄なら肉も野菜も開き直って食べられる」

「酒が飲めるなら、わしにとってはここのほうが天国じゃ」

「私は自分のために生きられた。満足できる人生だったわ」


 苦役と苦役の間の休憩だったのでしょうか。神様の慈悲によって与えられたその時間で、束の間ながら楽しそうな会話をしていました。みんな罪を犯していたようです。仕事を怠けたり、食べてはならない動物や草木を口にしたり、酒を飲んだり、今の自分のことだけを考えたり。天罰が下ったのです。天国の私には、蜘蛛の糸を降ろして助けてあげることもできません。




















































































































































































































 みんなと地獄へ落ちたかった。

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