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ありふれない日常伝  作者: 影の大宇宙
オタクの悩み
4/20

実はオタク研究部(仮)で正式な部ではないです


 翌日。

 いつものメンバーで部室に集まる中で開幕の一言を告げる。


「苦難の末に俺達手で結成したオタク研究部だが! 実は、正式な部活では無かったのです!」


 手を握る力をたぎらせ熱血系でありそうな感動的な場面のようなノリで熱く真実を語る。

 それに対しみんなの反応はこうだ!


『知ってた』

「な、ななな、なんですとぉー⁉️」

「それは困りましたわね」


 まず立花と水瀬が他所(よそ)ごとをしながら素っ気なく答える。

 葵は、テーブルをダッと叩き立ち上がり大袈裟に驚く。

 桜華院さんは、紅茶を優雅に一口飲んで落ち着いている。


「アイツが欲しがるリアクションをわざわざやる必要はないわよ」

「葵は真面目だねー。今の話だって二回目なのにまるで初めて聞いたかのような反応するとか。

 あたしからしたら結成から早ひと月たってなんでまたそれ言うって感じだね」


 立花が呆れたとため息をこぼし、水瀬は葵の対応に感心して頷く。


「美冬先輩が褒めてくださるとは! 僕、次からもっと気合い入れてリアクションしますね」


 葵がふん!と喝を入れ両手ヒラを握る。

 その様子に「(褒めたつもりはなんだわけな)」と乾いた笑み。

「(木嶋のことになると豹変する性格が難点よね)」


 立花は額に手を当て悩む。

 二人は、どこか諦めました。 と、いいだけな感じだが。



「(そのリアクションを待ってたんだ‼️)」



 木嶋は、必死に叫び出しそうになるのを堪えると桜華院さんが事の経緯を語る。


「美冬さん話に補足しますと、オタク研究部の申請はされましたが学校側の都合で保留にされ今はボランティア部(仮)に所属しているのが現在の状況であっていますでしょうか?」


 そう尋ねるてくる桜華院さん。まるでこちらの事情を悟ったかのように見える! 浮かれていた木嶋にとって「(この人はもしや心が読めるのでは!)」とドキドキである。

 そう感じて仕舞うほど肝を冷える瞬間である。

 ただ。桜華院さんのお陰で説明が省けたのは事実なので今回の話題について語る。


「桜華院先輩の言う通り、今はまだ仮の部活であるため、正式な部として認定される実績作りについて話していきたい」


 本日のテーマを述べると全員はそれぞれの悩んでいる仕草を見せ思索を巡らし「それなら」と立花が切り出す。


「オタクの定義が割と大雑把よね。なんでも好きを突き詰めれば当てハマるカテゴリでふわっとした感じではあるわ」

「その気持ち分かるよ。特殊な趣味を総じて『オタク』と呼ばれるのが一般的でゲームやアニメやら漫画・コスプレ・グッズ収集とかで他者より詳しい所だけが痛い目で見られるもんね」


 立花の言い分に頷く水瀬が「でさ」と続く。


「対して知識が無くても回りからちょっと知ってるだけでオタクだって言われて蔑まれたら時はムカっとくるよね!」

「美冬先輩の気持ちよ〜くわかりますよ! オタクを馬鹿にするる相手は今まで一度もアニメやゲーム、漫画に触れて来たことが無いわけないのに人の落し入れるのは腹が立ちましたよ」


 水瀬が過去の出来事を思い出し拳を自らの手のひらに殴り「うんうん」と葵も同調し話題がそれ出す。


「小学生の頃にからかってきたエリート気取りの豆児(まめじ)に【オタクを舐めるなぁ!】って怒鳴ったあたしにビビッとちびっていた時はスカッとしたよー」

「流石です美冬先輩。拓也先輩の次に惚れ惚れします」


 晴れやか顔の水瀬を葵は見て目を輝かせる。


「まぁ〜、そんな訳であたしからしたら甲乙(こうおつ)をつけがたいって言うのかな? どうも意見が上手く出せないから、春香先輩なら何か思いついてます?」


「わたくしですか? うーん。••••••そうですね」

 桜華院さんが少し考え込んでのち「はっ」と何か閃く。


「わたくしから少し余談ですが、皆様とこうしてお会いしたのは、オタクと言う一つのジャンルで纏まっていますが、わたくし達の趣味は、似ている部分もあれは違う所もあって、それぞれの趣味の良い部分をアピールしていけばいいと思いますわ」


 桜華院さんからの妙案に「「なるほど」」と木嶋・葵は頷き「例えば」と木嶋の方に視線を向ける。


「拓也さんが今も執筆なさっている作品で賞を取るのも学校側にとっても良い実績になるかと」

「それ、良いですね。春香先輩の意見に僕も賛成です。 

 この学校にある文化系部活で写真部とか華道部などは、コンテストで賞を取ったり展覧会で成果を示していると聞いたことがあります」


 葵の賛同に「それは難しいと思うよ」と水瀬が話に入り込む。


「あたし達が趣味で実績を作るとしたら、ゲームの大会に参加して優勝! とかだけど、格ゲーの大会は、テレビで紹介されて人気だけどあたしは、あまり腕に自信はないから遠慮するかな。

 日夏や春香先輩。それと葵だったらゲームの実力はあったりする?」


「そうね。普段やってるリズムアクションゲーム関係は得意だけども大会に参加出来る実力があるかと言われたら微妙」


「わたくしもオンライン対戦の個人戦やチーム戦でも目まぐるしい活躍は今の所出来てませんわね」


「僕の場合は、すみませんが、ジャンル的に大会とかは無く、趣味で絵を描いていますが漫画を書いたりイラストを投稿する自信は出ませんね」


『うーん。困ったな【困りましたね】』


 一同、口を揃えて話し合った結果、特質過ぎる能力も無く自信もないと、幸先が見えないまま時間が過ぎる。

 そんな中、水瀬がこれだと何か閃いた顔を見せる。


「なら、いっそのこと部室にさゲームの機材とか用意してさ、みんな特訓しょうよ!

 それだったらあたしも頑張れそう」

 

「それは、素晴らしいアイディアですわね、美冬さん。

 早速、わたくしが今から用意できるか問い合わせみますわ」


 パッと晴れやかな明るい笑みで乗り気な桜華院さんがスマホに取り出し

「今から取り寄せたい品がありますの」


 桜華院さん上機嫌に誰かに語りかける。


「ちょ!待ってくださいよ。じ、冗談ですよ、じょうだん! スマホ置いてくださいよ〜

「ちょっと美冬! 先輩は魔に受けやすいんだから気をつけなさいよ」

 立花、水瀬が切羽詰まって止めに入る。


「な? 葵、わざわざ二人で止めにかかることか? 先輩なら分かっていて悪ノリしてる所だろ、これって」


 三人のやり取りに入らず傍観者になる。


「先輩。それ、本気で言ってるですか」 


 葵が「朴念仁って現実にいるんですね」と木嶋にも聞こえるような小言が耳に入る。

 失敬な、空気が読める男と言って欲しいぞ。

 なぜあそこまで取り乱しているかはよくわからないだが。このやり取りもきっと冗談なのにな。

 不貞腐れる最中、止めにかかる二人。


「今から持って来させたら不味いですよ。絶対にバレますって!」


「日夏の言う通りよ。部室に行く階段は一つでしかもここは教室棟の四階。

 一度も見つからずに来れたらMGシリーズのステルスミッションレベルの難易度なので無理ゲーっすお嬢」


 必死に説得する二人に桜華院さんは微笑む。

 

「それについてご安心を。わたくしも今すぐにご用意するつもりはいたしませんわ。

 人気のない時間帯に入れば何も問題ありませんもの。

 なので、わたくしに掛かれば朝飯前•••••いえ、お夜食前ですわ」


「それ、一番女子にとってダメな時間帯な奴! 春香先輩いけませんよ、催眠時間は大事! 夜更かしはお肌の天敵ですよ! あたしが許しません! 


 そう真剣な表情で語る。水瀬よここが正念場だぞ。


「それでも実行するというなら•••••」と桜華院さんの前に立つ。


「あたしに太らない方法を是非、教えてからでお願いします!

 

 ダイエットの秘訣を知るべくごますりする水瀬に温和な表情で頷く。


(うけたまわ)りましたわ、美冬さん。わたくしの秘伝レシピのデータは機材を取り寄せた後に送信いたしますので暫しお待ちくださいませ」


「おおー! 助かります春香先輩! これで深夜のお菓子も気にせず食べれますよ!

 いやー、なんでも言って見るもんだね」


 頭をなで感心する水瀬に半眼で睨む。

「ちょっとしっかりしないさいよ美冬!」


 発破をかける立花。


「ずいわよ。私だって、スタイルが良くなる秘訣したい! けど、今はその話じゃあ無いでしょ!」


「••••••は! そ、そうだった。 春香先輩止める展開だったね。 忘れかけてたよ」


 立花の呼びかけに水瀬は、ハッと我に帰る。

 まるで桜華院さんの誘惑の魔法を解いたかのような反応は、いかなまものか。


「取り寄せについて待ってください春香先輩」


 今度はちゃんと真面目な雰囲気を出す。


「部室に機材が用意できてとしても、あたし達は、まだ非公認の部活。

 いくら私物はある程度持ち込めると言っても先生が生徒にバレて自分達だけエコ贔屓されてやがるとか言われる気がします」

 

 水瀬の問いかけに立花も頷く。


「ここで春香先輩の力を借りるのはいけないと思うので、さっきの提案は、無かったことでしてください」


 立花と水瀬の説得に「そうですわね」と桜華院さんは、納得しスマホをしまう。 

 それを見た立花、水瀬は『ふぅー、良かった』と安堵の息をはく。


「わたくしは、ただ、皆様のお役に立てる機会と知ってつい思い切って事をしたくなりましたが、それでご迷惑をおかけすれば本末転倒でしたわね」


 桜華院さんが「お騒がせいたしました」と謝り「軽率な発言言ったあたしの方が悪いんで気にしないでくださいよ」

 水瀬がフォローに入り、話は終わる。

 だが、『き、気不味い』といいだけな全員は、しばらく沈黙に入る。

 迂闊なことを言えばこじれるのではと言う雰囲気が醸し出し、

「アンタ、何かいいアイディア出しなさいよ」 

 ご機嫌斜めな立花が話題を振り、「お、俺か!」と木嶋は、ビクッと背が伸び全員の視線が集まり額に手を当て悩む。

 もし、この場に主人公たる人格者ならばみんなをアッと驚かせる打開策を提案するのがフィクションで良くある展開なのだ。

 けど。現実は、甘く無く「すまん。俺も良い案が思い浮かばない」と不甲斐なさを悔やむ。


『••••••••••••』


 木嶋ならなんとかしてくれると期待していたのか気不味いそうに視線を逸らす。

「今日は、この辺して終わろう」

 閉幕の一言に全員は頷き帰りの支度を各々のペースで始め出す。

 残念な事にこの日は、普段賑やかなオタ研にとって塩らしい回になる。

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