二種類あるコトバ
見上げる余裕もなく
時間は刻々と進んでゆく
8日前
キミの住所を聞いた
聞いたというより
みんなでいるときに
キミがみんなに向かって告げたこと
留学先の住所は
あたりまえのように横文字が並び
その文字からは
住む場所がどんなところで
周りがどんな風景で
自然に囲まれているのか
にぎやかな街が近くにあって
生活するのに不便ではないのか
ホームステイ先の人たちはみんな優しくて
こころ癒してくれる人たちなのか
まったく想像ができないでいた
できないでいるから
キミの笑顔を余計に求めてしまう自分がいる
5日前
見送りの時間と場所を知らされた
行くのは当然だよ、と言いたいけど
恥しいから
返事は、わざと先延ばしにした
3日前
キミに向けた言葉を考えていた
二人きりになる機会がある場合と
みんなの前で話すしかない場合とを
二種類の言葉
月並みに最後は
「頑張れよ・・・」か
だけど、
一番初めに
誰よりも先に
頑張れよ、と
声には出せないだろうな
1日前
キミを見送る時間まであとどれくらいか
ずっと数えていた
眠れない時間まで
当日、
みんなに囲まれたキミは
笑顔いっぱいで
僕は本当は、
「さみしくはないのかな・・・」
そんなことを思うくらいに
家に帰る途中
ふいに見上げた空
僕の頑張れよ、は
結局のところ
こころの中にしまったままで
キミには届かないまま
また会えるときに
お帰り、元気にしてた?
そんな月並みの言葉でいいのだろうか
それをちゃんと言えるようにしないと
いけない
また会えるときまで
あと何ヵ月後・・
キレイに輝く星を見ながら
相変わらずの僕は
成長してないな、と
ため息ひとつ、ついた