紅葉狩り
秋の夕暮れ。世界は紅色に染まる。モミジの紅色。イチョウの黄色。スギの褐色。その落ち葉からは風情を感じることができる。それは季節の味わい。「さて」論理博士は紅に染まったモミジの葉を顔の前にかざした。「なぜ紅葉した落ち葉はボロボロなのかな?」追求くんはあごに手を当て考えた。「うーん。夏の光合成で貯めた栄養素を木の幹に蓄えるのだから…あっ!分かりました。葉の中のカロテノイドがなくなったから!」論理博士は追求くんの頭をそっと撫でた。「その通り。日照時間が少なく、寒さが厳しい冬を凌ぐための犠牲だね。樹木ほど四季へ合理的に適応した生き物はない」追求くんはモミジの木を眺めた。「自分の手足のような葉を捨てて生き残る道を選ぶなんて、なんかカッコイイです」論理博士は小さく頷く。すると木枯らしが落ち葉を巻き上げ、その葉を追求くんに届けた。「論理博士。なぜ紅葉を見ることを紅葉狩りというのですか?」「ふむ。もう日が暮れる。それは宿題じゃな。ヒントは葉が残っていると冬を凌ぐ為の栄養素が分散すること。それと我々がここに来たことで山の風向きが変わったってことじゃな」「なるほど。あっ!」追求くんは黄色い笑みを浮かべた。