梅雨のゆくえ
「論理博士!現在の日本は梅雨と呼ばれる気象のようです」追究くんは濡れた髪をトレーの前で震わせながら言った。「ほう。新しい発見だね。それはどんな気象なんだい?」論理博士は笑みを浮かべ、クリップボードに紙を挟み、鉛筆を握った。「はい。僕の観測では通算51時間43分雨が降り続き、雲は論理博士の髭と同じ灰色。降水量はえーっと……1秒間に86滴です」追究くんはトレーを見ながら答えた。「それは凄い。追究くんはこの気象状況をどう思う?」論理博士は鉛筆を追究くんに向けた。「この雨は異常です。このままでは川が氾濫して、田畑は水没、さらに山崩れやーー」「素晴らしい推測だね追究くん。さて、雨雲はどうやってできるんだっけ?」論理博士はタオルを渡しながら尋ねる。「はい。海や川の水が上昇気流によって空高く運ばれ、それが気温の低下で氷や水滴になったものが雲です。あれ? でもおかしいです……雨が降り続くということは上昇気流が常に発生しているってこと?」「さぁ、追究くん。出掛けるよ。今から気団の勉強をしよう」追究くんは「はい」っと部屋の扉を開けた。そして扉に付いている分度器を見た。「今日は74°ですね」「まぁまぁ、か」