突然の婚約
「婚約……ですか?」
俺は突然呼び出してきた父親からの婚約の話についていけずそのまま聞き返してしまった。
「そうだ。天、お前ももう16歳になるというのに浮いた話の一つもないのでな、勝手ではあるが婚約を組ませてもらった。もちろん好みの問題もあるだろうし他に好きな相手ができるかもしれんのでな、とりあえず期間は一年とする」
「そんな俺達本位な婚約を受け入れたところなんてあるんですか?」
「ああ、むしろその条件のほうがいいと言ってくれたところがあったよ」
俺は勝手に決めた父親達に苛立ちを覚えながらも、既に自分の力ではどうすることもできないということも理解していたのであきらめて話を進めた。
「それで、その相手というのは?」
「六道家の柚子さんという方でな、小説家をしている20歳の方だ」
「そうですか。それで、その柚子さん?という方とはどこかしらのタイミングで会うんですよね?いつですか?」
「それなんだが、実はもう来てもらっているんだ」
「は?」
父はそういうと奥へと消えた。そして再び現れた時に連れていたのは着物に身を包んだとてもきれいな女の人だった。
「初めまして、六道 柚子と申します。不束者ではございますが、どうぞよろしくお願い致します」
「あ、ああ。ご丁寧にどうも、俺は三島 天です。こちらこそよろしく」
これが俺、三島 天と婚約者である六道 柚子さんとの出会いである……
「婚約?」
私は母から呼び出されて言われた言葉に驚きをもって聞き返してしまいました。
「そうなの。まあ断ってもよかったんだけどね?相手が相手だったから受けちゃった」
「相手が相手ってどういうこと?」
「三島家っていえばわかる?」
「……もしかして、天君ですか!?」
「ご名答!だから二つ返事でOKしちゃったけど大丈夫だった?」
「大丈夫!」
「それと、三島家側から条件があってね。とりあえず一年間だけお願いしたいそうなの」
その一言に、私は首をかしげました。
「なんで1年なんですか?」
「実はね、天君って今までに女性経験が無いらしいの。だから、とりあえず1年で、柚子と天君が合うようならそのまま継続、もし合わないようならそこで終わりにするそうよ」
「そうなんですね……でも1年あるなら大丈夫です!……ところで、天君とはいつ顔合わせするんですか?」
「今日よ」
「はい?」
「今から三島家に行くの。だから準備してね」
「準備ですか?何をしたらいいでしょう」
「そうですね……そういえばこの前の文芸賞の式典の時にきた着物があるでしょう?あれを着ていけばいいのでは?」
「そうですね。そうします!」
こうして私は準備をして、三島家へと向かうのでした。そして……
「初めまして、六道 柚子と申します。不束者ではございますが、どうぞよろしくお願い致します」
「あ、ああ。ご丁寧にどうも、俺は三島 天です。こちらこそよろしく」
私、六道 柚子と三島 天君は出会ったのでした……
基本的に1日か2日に1話ずつ更新しようと思います!
皆様ぜひ評価や感想などいただけるととても嬉しいです!
よろしくお願いいたしますm(_ _)m