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拂拭塵埃(ふっしきじんあい)
「――――這箇は是、思念を払う神無鈴、
その響、人前に在っては、煩念を払拭し、神元に有っては、思悶を断罪す。
或時んば、則ち、龍と化して乾坤を呑却し、或時んば、則ち、宝鈴と作りて如意自在。
即今、天理を奉じて予が手裡に落在す。
恰も羽虫の蟷螂に挑むが如し。
然りといえども、思悩を滅するは、我の望みと違わず。
乞う響世の快調音、試みに化神を討せんことを――」
開口、鳴吼し邪気を払せよ
――――神楽鈴、荒涼
身是菩提樹 身は是、菩提樹
心為明鏡台 心は明鏡台の如し
時時勤拂拭 時時に勤めて払拭し
勿使惹塵埃 塵埃を惹かしむることなかれ
神秀 『六祖壇経』 より
意訳
「この体は、悟りを宿すの木であり、
心は、清い鏡のようなものである。
だからこそ、常に心の鏡を拭い、払って、
煩悩という、塵や埃を、決して付けぬようにしなければならない」