第三話 闇との再会
にい、と、それは唇を吊り上げた。
「きつね」
そう、子はつぶやいた。
きつねきつねきつね。
楽しそうに、けらけらと嗤う。
「やっとみつけた」
「ぼくのおとうさんとおかあさんははしんじゃったのに」
「おまえはなんでいきてる」
「おれがふこうなのにおまえはなんでいきている」
「なんでわらってる」
――言葉が出ない
けらけら
けらけらけらけら
けらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけらけら
嗤う
嗤い声がこだまする。
なぜ、嗤ってる・・・?
なぜ、そんなに楽しそうに嗤っている?
――殺される、と思った。
「おま・・え。」
かろうじてしわがれた声を出した。
「ゆるせない」
表情が消えた。
「おまえがぼくのおとうさんにしたことと、おなじことをしてやる。」
ゆらりゆらりとこちらへ歩み寄る
歩み寄る?
・・・今の彼は飛んでいない。
彼は、僕を捜すために、望みを空に託した。
飛ばない、彼は・・・
今度は、何を望んだのだろうか?
見れば、彼の手の平は。
暗い闇の色へと化していた。
「絶望と後悔の狭間で苦しめ。罪深き狐よ。」
そう言って、
僕の胸を突いた。
嘘のようにすんなりと僕の胸に突き刺さる手の平。
――血が・・・吹き出る。
――意識が、遠のく。
――これが・・・僕の死?
――死ぬ・・・のか?
――いやだ。
――いやだ!
――だって・・・
――僕は、まだ何も分かっていないじゃないか・・・!