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ブラック・ウイング  作者: りうど
2/2

第一話 「忌み子」

「だ、れか…てんしさ、ま…たすけ、て」


悪魔に首根っこを捕まれ、身動きの取れない少年。


「天使様の姿は見えねえなア…お前はここで、死ぬ」


そして、人間界を襲う悪魔。


「その子を離しなさい」


それを阻止するべく、天界より降り立つ天使。


「チッ…毎度毎度いい所でしつけえなア…くそ天使共がア…」


全身黒い服に身を包み、左手には、悪魔特有の紋章が付いている。

赤い翼を持ち、地獄から人間界へとやってきては、征服しようと目論み、暴れて回る。


天使の姿を見ると、人を掴んでいた手を離した。


「しつこいのはあなた達よ、懲りないわね」


全身白い服に身を包み、右手には、天使特有の腕輪が付いている。

白い翼を持ち、天から人々を救うため、人間界へやってくる。


「お前らはア、どんな意味があって人間を護ってんだア?こいつらを護って意味があるのかア?」


「意味なんていらないわ。ただ、人間は護るべき存在。それだけ」


「だーかーらーア、なーんで人間を護るんだよオ?人間を助ける度に死んでる天使もいるんだろオ?人間から何か褒美でも出てるのかア???」


「天使には天使の大義がある。ただ殺すことを快楽にしてるあんたらとは、話してる暇はない」


「そうかア…じゃ、死ねや」


悪魔の、血に塗れた小刀と、天使の、白銀に輝く短剣がぶつかり合う。


…近年、天使と悪魔の争いは激化していた。


人間界の土地を征服しようとやってくる悪魔。その悪魔から人間を救う天使。


…人間界の人々は、もうすぐ、天地の戦争が起こることを予感していた。



ーーー


ーー



「何で、黙ってたんだよ」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「謝るだけじゃ分かんないだろ…!」


胸に泣きつく母を押しのける。母は、力なく伏せるだけだった。


「人間の姿に化けて、ずっと俺を騙してたんだろ!?器用なこと考えたな!!あんたも、父さんも!!実は禁忌を破った天使と悪魔の夫婦でしたあ!?あんたらが惹かれあったせいで生まれちまった俺は!!これからどうすればいいんだよ!!」


「少年、少し落ち着きたまえ…」


「落ち着けだ!?突然あんたら天使がやってきたと思えば父親を殺され!!殺された父親は悪魔の姿になって!!それだけで理解に苦しむのに母親は天使だったんだぞ!?」


「だからな、少年…脅しをかけられて…」


「脅し!?ふざけんな!!俺が生まれ育ったこの16年の間、脅されてる様子なんかなかったよ!!夫婦円満だったよ!!だから余計にムカつくんだ…!いつかバレる禁忌を犯しやがってニコニコ接してきてたんだもんな…!!」


怒りをぶつける。家が、静まりかえる。


「忌み子なんて嫌だ…他でもない…人間でいたかった」


悪魔を、天使を、自覚した体が、疼き始める。


左手には紋章が、右手には腕輪が、顕現し始めた。背中も、痒い。


「俺は…天使か?悪魔か?…教えてくれよ、なあ」


「…君は」


「…その腕を、翼を隠し、人間として生きていきなさい」


こうして、忌み子の俺は。


人間界に、一人、放り出された。

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