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おっぱい×戦隊シリーズ  作者: 帝国城摂政
劇場版・超乳戦隊ギガレンジャー
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劇場版・超乳戦隊ギガレンジャー(中編)

 黒川亜美はそのまま、空を飛んで逃げて行くアメダマペロリンを追って一生懸命走り続けていた。

 アメダマペロリンは後ろから追ってくる黒川亜美を見て、ほんの少し疑問符を浮かべたような顔を浮かべたかと思うと、そのまま地面を降りて行く。


「……? どうかしたのー? わたしにようじー?」


「…………」


 黙り込んだ亜美を、さらに近寄るアメダマペロリン。

 そして匂いを嗅いだかと思うと、「いいにおいー」ととっても嬉しそうな顔で顔を近付けるアメダマペロリン。


「うん? なんだかあまいにおいがしてるねー。

 おねえさん、たべていい?」


「それよりも……聞きたい事があります」


「んー? なになに?

 あぁ、あまいかおりがひろがって……」


 グー、っとお腹を鳴らしてよだれを流すアメダマペロリン。

 それを見て、亜美はお菓子を差し出す。


「くれるの!? おねえさん、やさしいね!」


「上げる代わりに、私をお菓子にしないと約そ……」


「うんうん! するする!」


 そうやって嬉しそうに差し出されたキャンディーを頬張るアメダマペロリンの姿を見て、決心が鈍る。


『君のご両親を殺したのは、甘味童龍アメダマペロリンと言う幹部だ』


 アンザン教授は私にそう教えてくれた。


 今でこそ幼い子供のような龍人のこの少女は、相手の特性を奪うと言うとんでもない能力の持ち主であり、それを使ってアダルトモードなる179cmのNカップと言う美女になった時があるらしい。

 その時の彼女はとっても美しく、同時に男も女も魅了する妖艶な香りを漂わせていたらしい。


『さぁ、皆さん。私にその力の全てを捧げなさい!

 ペロペロペロペロ!』


 そう言って、アダルトな悩殺ボディとなった彼女は男はそのたゆんたゆんと揺れる胸の谷間の中に腕を突っ込ませ、女はそのナイスな乳房の中に頭を入れて、あらゆる人の力を奪って行った凶悪な幹部。

 アンザン教授のお弟子さんのデカパイ博士が氷漬けにして封印したらしいが、


(まさかこんな所で敵に会うとは……)


 私はそう思いながら、手に持ったナイフを強く握りしめる。

 彼女のせいで、多くの人間が死に、私の両親も消された。

 アンザン教授は復讐はしない方が良いって言ってらしたけど、止められそうにもない。


「――――ころすの?」


「……!?」


 私がナイフを強く握りしめていると、彼女、アメダマペロリンがこちらを、私の持つナイフをしっかりと見ていた。


(まずいっ! 消される!)


 そう思った私だけど、当のアメダマペロリンの反応はと言うと、


「そっか。しかたないよね」


 と言って、あっさりと手を上に挙げて降伏のポーズを作る。


「……何のつもりですか?」


「だって、ころすんでしょ?

 なら、ころされやすいようにしてあげないと」


「ば、バカじゃないですか! 死ぬかも知れないんですよ!

 私はあなたのせいで、両親を……!」


 感情を強く揺らしながらそう言うと、


「……ごめんね」


 しおらしく謝るアメダマペロリン。


「わたしね、タイラさまのかんぶだったから。

 タイラさまがよろこぶかおがみたかった。

 けどね、タイラさまはよろこんでくれなかった。


 ひとのからだをとりこむわたしを、ほんとうのいみでうけいれてくれなかった。

 いつうらぎるかってわかんないって。だから、わたしはネームネームをやめたの。

 てきのこうげきでふういんされた、ふりをして」


「そんなのって……! 都合が良すぎるよ!」


「うん。でもね……」


 彼女はそう言ってにっこりとこちらを見る。



「あめだまくれたから! ごはんのおんはかえさないと!」



 その言葉に、亜美は理解した。



 そうか。彼女は別に悪い人ではない。ただただ、子供なんだ。

 善悪の区別なんて出来てなくて、ただ自分を作った貧乳神官タイラに喜んで欲しくて――――。

 でも、喜ばれなかった。それで、お菓子をくれた私だったら殺されても良いって?


「虫が良すぎるよ!

 だったら返してよ! 私のお父さんと、お母さん!」


「それは……」


 言い淀むアメダマペロリンの前に、「スクリのためでしょう」とそう言って現れる女性。

 その女性は、眼鏡をかけた出来るスーツ姿の女性。圧迫教官ツメンセだった。





「アメダマペロリン。探しましたでしょう」


「……ツメンセさん」


 そう言いながら、震えながら亜美の後ろへと隠れるアメダマペロリン。

 その様子が本当に震えている事から、亜美は尋常じゃない何かを感じる。


「か、彼女に何をしたんですか!」


「あなたは……」


 そう言って、ペラペラと持っているファイルを捲るツメンセ。

 そして何かのページを見つけたかと思うと、「そうでしたか」と納得したような顔をする。


「あなたは……アメダマペロリンの時の作戦の被害者、黒川亜美さん、でしょう。

 自分の両親の仇を助けるなんて、何と言う因果でしょう」


「――――答えて! 彼女に何したの!」


 うっとりしたような顔のツメンセに、そう強く言う亜美。

 それに対して、うっとりしたような顔のツメンセは、まるで好きな時間を邪魔されたかのように怒る。


「――――うるさいでしょう、人間」


 その瞳は、本当に実験対象物を見るかのような冷めた瞳だった。

 「ひっ!?」っと、強張るような亜美に対して、アメダマペロリンは何を思ったのか、懐からちょっと大きめのチョコレートクッキーを取り出す。


「――――スナックへんしん!」


 そう言ってチョコレートクッキーを食べた彼女。その姿がいきなり変わり始める。

 あんなに長かった髪が普通のロングヘアーに見えるほどに背丈がスラッと伸びる。

 伸びたかと思うと、ぷりぷりとした本当に可愛らしいお尻がボンッと大きく膨れて、そこから大きな龍の尻尾が現れる。

 そしてその背中から大きな龍の翼が現れると、頭の角が大きくなる。

 Aカップくらいだった小さな胸が、大きく膨れ上がって私の両親を襲ったような大きな胸へと変わる。

 一瞬にして、髪が長い小さな幼女が、私の両親を殺したアダルトな大人の女性になった。


「ツメンセ! 殺す!」


 そう言って、彼女は背中の翼を大きく羽ばたかせ、そのままツメンセへと向かって行く。


「……変わっていませんでしょう、ペロリン」


  と、そう言うとツメンセがファイルに挟んであった1本のシャープペンシルを持ったかと思うと、さらさらとファイルに何かを書き込んでいく。


「――――重くなるでしょう」


 そう言うと共に、アメダマペロリンの身体が急に重みを増し、そして地面へと叩きつけられていた。


「さて、ペロリン。あなたの力を今からいただきますでしょ……」


 そう言ってツメンセが言い切ろうとしたその瞬間、ツメンセがまた険しい顔になったかと思うと、またしてもさらさらとペンで文字を書いていく。


「――――吹き荒れるでしょう」


 そう言うと共に、彼女の周りに突風が吹き荒れ、そして飛んできた弓矢が突風によって弾かれる。


「――――ブルーアロー……。ギガレンジャー……」


 そしてそう言って不満そうなツメンセの前に4人の女性が現れる。


「赤い(ハート)は、炎のように燃える愛情の印! ギガレッド!」

「青い(ハート)は、海のように広い慈愛の心! ギガブルー!」

「黄色い(ハート)は、雷のように激しい元気の塊! ギガイエロー!」


「緑の(ハート)は、森のように安らぐ癒しの心! ギガグリーン!」


「「「「4人のハートを合わせて、女の子の心と胸を守る美少女戦士!

 超乳戦隊、ギガレンジャー! ただいま、乳場(にゅうじょう)!」」」」


 ギガレッド、ギガブルー、ギガイエローはツメンセに好き勝手させないように得物を持ち、そしてギガグリーンは亜美とアメダマペロリンを保護する。


「――――舞台も役者も整った所でしょう。では、アメダマペロリン。

 あなたが何故スクリを恐れているかを言いましょう。

 それは黒川亜美の両親を殺すのを計画したのが、スクリだからでしょう」


 その言葉に亜美がドキリとする。同時にアメダマペロリンも気まずそうな顔をする。


「黒川亜美の身体にはパイエネルギーと呼ばれる、不思議な能力がある。それは特殊なおっぱいエネルギー。

 それに目を付けたスクリは、アメダマペロリンに催眠装置を付けて、村を――――」


「止めて!」


 と、アメダマペロリンがそう言う。

 亜美は悲しげな顔をして、アメダマペロリンに話を聞く。


「……ペロリンさん、さっきのは本当?」


「…………」


「ねぇ、答えてよ!

 今のが本当だったらペロリンさん、何も悪くないじゃん!」


「…………」


 無言と言う沈黙が、全てを物語っていた。


「アメダマペロリン。今すぐネームネームへと帰っていただくでしょう。

 その力は我々にとって非常に有益なのでしょう。

 ――――後は任せるでしょう、桃胸太郎軍団」


 そう言って消えたツメンセの後ろから、3人の女性が現れる。


 一番左に居る女性は全身石の犬の着ぐるみを着た愛らしい女性。

 その瞳は死んだ魚のようであり、その手は紫色の毒々しい毒が付いている。


 真ん中に居る女性は全身鳥の羽だらけの大人っぽい女性。背中からはキジの翼が生えており、その両手はハサミになっている。


 一番右に居る女性は茶色いシャーロックホームズが着ているような服を着た美しい女性。その瞳には片眼鏡を付けており、お尻からは猿の尻尾を生やしている。


「ツメンセ様が作りし犬の身体。毒々しく、犬に蹴られて石になれ。

 ――――シーボ・ドクドックの伊司(いし)!」


「スクリ様が作った雉の身体。口からハッタリ、腕でキッタリ。

 ――――シーボ・インチキジの波佐見(はさみ)!」


「メントアセス様が作られる猿の身体。見た目は猿、頭脳はルーペ。

 ――――シーボ・サルーペの香美(かみ)!」


「「「3人揃って桃胸太郎軍団!」」」


 そう言って盛大に決めポーズを取る3体のシーボモンスター。

 しかし、その時にはギガイエローは敵陣へと向かって行った。そんな決めポーズには目もくれず、グリーンは亜美とアメダマペロリンに逃げるように言う。

 イエローはもう地面を蹴って、桃胸太郎軍団へと向かっていた。


「先手ウィナー!」


 そう言いながら、イエローリボンを放つギガイエロー。

 しかし、その前に波佐見が現れる。


「うわーってキー! 大ピンチってキー!

 ……なーんちゃって、キー」


 そう言いながら、両腕のハサミで普通にイエローリボンを斬る波佐見。

 斬られたリボンを見て、「オー! マイ、ゴッド!」とイエローが落胆する。

 そのイエローの影に取り出したハサミを置く波佐見。


「ワッツ!? う、動けない!」


「フフフ! やってキー、伊司さん!」


 動けないイエロー。

 動こうともがく度に、その胸がたゆんたゆんとなんとか動こうと揺れ動く。

 そんなイエローの元に伊司が迫る。


「あれは……!? あの時の影縛り!? まずいっ!」


「イエロー! 今、助けるよ!」


 そう言って、グリーンが地面を蹴って跳び、続いてレッドも後を追う。

 そして伊司を各々の武器で殴る。その際、レッドとグリーンの胸が一瞬、上に揺れたかと思うと、すぐさま下へと落ちた。

 揺れた際に現れたギガエネルギーも武器に伝わったはず。しかし、


「「なっ!?」」


 2人は驚いた。なにせ、伊司が鋼鉄化した身体で2人の武器を受け止めていたからだ。


「……犬を舐めない方が良いワン。

 まぁ、こちらからは舐めるがワン」


 そう言って、手から紫色の毒々しい煙を放つ伊司。

 レッドとグリーン、それにイエローはその毒を受ける。


「……助けないと!」


 そう言って、ブルーが弓を構え、そして少し回転を加えながら放つ。

 放たれる際に胸が揺れて、そして大きな風が毒の霧と影に刺さったハサミを吹き飛ばす。


「3人とも戻ってきて!」


「「「了解!」」」


 戻ってくる3人。


「よし、これで――――」


 3人が戻ってこれてブルーが安堵した頃、ブルーの頬を沿うようにして弓矢が飛んでくる。振り返るとそれは先程ブルーが放った弓矢だった。


「一度見たなら、あの程度の技、すぐにコピー出来るウキ」


 そう言って、香美が前に出る。


「秘儀、猿真似。さぁ、どんどん行くウキよ」


 香美はその辺にあった木の棒を手に取ると、それがブルーの弓矢へと変わり、そしてそれが何十本に変わる。


「猿真似、ウオッチアロー!」


 そう言って、香美が弓矢を放つ。

 放つとそれは複数本の弓矢となって、4人を襲う。


「ウキキキキ! 桃胸太郎軍団が強い! 真実はいつも1つウキ!

 ――――さぁ、伊司。止めウキ」


「……分かったワン」


 そう言って伊司が天に手を向けると、伊司の頭上に紫色の毒々しい球が現れる。


「……毒を喰らわば皿まで砲、発射準備完了だワン!」


「ウキキキ! 止めを付けるウキ」


 そう言って香美が先程弓矢で傷つけたギガレンジャーの姿を確認すると、そこにはギガレンジャー4人がそれぞれ武器を構えていた。

 そして4人で自分の乳房を、これでもかと言うくらい思いっきり揺らす。


「「「「ハ――――――――!」」」」


 高まるエネルギー。

 そして、4人はそれぞれの武器から遠距離攻撃を、しかも相手を仕留めるくらいの強さを持つ技を発動するため力を溜める。


「う、ウキー!? ま、まずいってウキ!

 い、伊司! 早く撃つウキ!」


「了解だワン!」


 そう言って、毒の塊を放つ伊司。

 それはギガレンジャーへと向かって行く。


「「「「必殺! ギガレンジャー! レジェンドウェポンアターック!」」」」


 それに対して、4人は強いエネルギーの乗った一撃を放つ。それは毒の塊を容易く貫く。


「す、凄まじいウキ! 1万……2万……ダメウキ!?

 ルーペが壊れて計測不能ウキ!」


「ワンダフォーな一撃だワン……」


 そしてそのエネルギー波は、伊司と香美を貫く。

 そして2人の身体から煙がチュポチュポと出て来る。


「……こ、こんなに早くやられるとはウキ。

 ……も、もっと出たかったぜ、ハッ○リ」


「なんのたーめに、現れるのか! 分からないワン!」


 そして2体のシーボモンスターは爆死する。ギガレッド、ギガブルー、ギガイエローの3人は喜びの声をあげる。しかし、ギガグリーンは喜べなかった。


「まだグリーンじゃない……。波佐見が居なかった」





 その頃、亜美とアメダマペロリンはギガレンジャーの戦いの邪魔にならないようにと、逃げていた。

 いや、正確に言えば亜美がアメダマペロリンを連れて逃げていると言う感じである。

 既にアメダマペロリンはアダルトな大人な女性の姿から、子供らしい姿へと戻っていた。



「なんで教えてくれなかったの。自分がやったんじゃないって……」


「……せんのうされていたとはいっても、ころしたのはわたしだよ?

 それにあなたのりょうしんからたのまれていたの。むすめをたのむって」


 スクリは亜美の力に目を付け、その力の源を知りたがっていた。

 その力を薬品に出来れば、タイラが喜ぶと考えたからだ。

 そして亜美の両親にその力があるのかと思い、アメダマペロリンにお菓子にするよう頼んだが、その頃のアメダマペロリンはギガプロトからの言葉に悩んでいた。

 「それがあなたの本当にしたい事なのか!」って。


「わたしたちはただのしぼうのかたまり。シーボというかいぶつから、タイラさまのおもいをはんえいしてうまれたばけもの。

 けれども、わたしはほかの3にんとちがって、それでいいのかとなやんでいたの。

 だから、ギガプロトのことばにはんのうしてしまった。

 あとは、スクリにせんのうそうちをうけて、あなたのりょうしんを……」



「――――もう良いよ」



 そう言って、亜美はアメダマペロリンを抱きしめる。


「……ペロリン?」


「アメダマペロリンは悪くないよ。悪いとしたらタイラとスクリ。

 あの人達が私の両親を殺したんだよ。悪人はあの人達で、アメダマペロリンは良い子だよ」


「で、でもわたしは、あなたのりょうしんを!」


「――――最初はね。あなたを殺したいほど憎んでいた。けど……」


 美味しそうにお菓子を頬張る姿や、お菓子を食べている時の幸せそうな顔。

 そして私に対する暗い態度。

 彼女はただ、力を持った子供なのだ。仇でもなんでもない。


「もう二度とその力を悪い事に使わないで。アメダマペロリン」


「わかってるの! おかしをくれたおんじんのためにも!」


「うん、じゃあ約束ね」


「う、うん! やくそくするの! おかしのなにかけて!」


「ふふ、何それ……」


 そう言って指切りをしようとした、アメダマペロリンと亜美。



 ――――ザクリ。



 そんな2人の仲を無理矢理裂くような、何かを斬った音。

 そしてアメダマペロリンの身体からは大きなハサミが突き刺さっていた。


「な、なに……」


「ダメってキー。その力はもっと有効に使わないといけないってキー。

 あなたの持つ【奪乳】の力はもっと色々と使い道があるキー」


 そう言いながら両腕がハサミの怪人、シーボ・インチキジの波佐見はその腕のハサミをアメダマペロリンから抜き取る。

 そのハサミの先には、光る小さな玉が握られていた。


「これが幹部のみに使われる、幹部の証であるコア細胞か、ってキー。

 この中に【奪乳】の力があって、これを食べれば私も幹部モンスターに……。

 ――――おっと、その前にってキー」


 そう言いながら、波佐見は懐から妙な黒い薬を取り出す。


「『アメダマペロリンの力を奪ったら、この薬と一緒に口に入れろ』、とキー。

 スクリ様の命令は絶対だからなキー。まぁ、私が同クラスの幹部になれば、命令も絶対遵守じゃなくなるけどってキー」


 そう言って、波佐見は光る小さな玉と黒い薬を口に入れる。

 すると、波佐見の身体から妙な黒い煙が立ち込める。


「お、おぉ! 凄いってキー! 全身から力が溢れるってピー!

 こ、これで私も……ア、アレ!? カ、身体ガナンダカ可笑シイ!」


 そして波佐見が飲んだ薬から、光と共にホログラムのメントアセスが現れる。


『……インチキジの波佐見。これを見ていると言う事は、無事に任務を成功させたようなの。

 これであなたもスクリのモンスターから、幹部モンスターになったなの。

 でも、その薬は私とスクリの2人で作った、メカ化薬品なの』


「め、メカ化薬品!? ソレハドウイウ事ナノ、ピー!」


『……アメダマペロリンの力は欲しいなの。でも、同時に裏切らないようにするために、メカにしたなの。

 もうすぐスクリがお前の身体の上のコックピット席から操るなの』


「ソ、ソンナー! 幹部ノ夢ガー! ピー!」


 そして黒い煙が波佐見の全身を覆い隠す。そしてその煙の中にスクリが入って行く。



「完成でし! 名付けて強奪鳥人チェンジバード!」



 そして黒い煙の中から現れたのは、先程の波佐見の何倍もありそうな巨大なメタリックボディーと、燃える黒い炎の付いた巨大な尻尾。

 頭の上のコックピット席にスクリが乗った、ロボット化した波佐見の哀れな姿だった。


「さぁ、チェンジバード! 早速エネルギーを補給するでし!」


 スクリの操縦により、その口から紫色の煙が放たれる。

 放たれた先にあった木々が一瞬にして枯れ果てて、赤いエネルギーがチェンジバードの身体へと吸い込まれる。


「試運転はばっちりでし!

 じゃあ、街に行って、もっとエネルギーを集めるでし!」


 そしてスクリを乗せた悪魔の機械は街へと向かって行く。


「ぺ、ペロリン!?」


 そしてその下では、亜美が涙を流していた。

 アメダマペロリンの姿が消えかかっているからである。


「ど、どうして?! あなた達、怪人なんじゃ!?」


「……こ、コアのぬかれたかんぶモンスターはしょうめつするさだめ、なの。

 コアはあのくろいこうてつのからだのなかにある。もう、ダメ……」


「ま、待って! 私、まだあなたに謝らないと!

 あなたの事、いっぱい恨んでたから、もっとお菓子をあげないと気が済まないの!」


「……おかし」


 と、アメダマペロリンはお菓子と聞いて、ニッコリと笑う。



「……それは……ほしい、よね」



 そしてアメダマペロリンは、小さく爆発して消えた。

 その爆発は亜美の身体を傷つけなくらい小さな爆発だったが、今の亜美にはとっても痛い攻撃だった。

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