サイドストーリー「蜘蛛は成り上がる」(1)
悪の傭兵育成学校を破壊して卒業した俺、ラスラーは森の中をボロボロに傷だらけになりながらも彷徨っていたところを、ネームネーム界外支部β次元管理者である溶解使徒ホムラに拾われてから早数か月。
ホムラがメインの支部から2名の副官……戦闘主任と設備主任をβ次元に連れて来るためにこの支部から出払っているので、俺は少々退屈していた。
「はぁ~、ホムラ様が居ないからなぁ」
ホムラ様が居ないβ次元は俺はさして面白みがない。
悪の傭兵学園を卒業し、剣戟と超能力の2つの長所があるから戦闘員ではなく、行動隊長としてナイチチと呼ばれる戦闘員達を指揮している立場なのである。
そいつらは胸も小さくて、無表情で、ベッドで抱いて寝たけれども奴らは拒絶したり、受け入れたりしないからこちらも一緒に寝ていてつまんないのである。
それに戦闘教育に対しては特に秀でている教育方法でもないし、傭兵学校でやっていたのよりもひどいから特にやっていてもつまらないのである。
「――――――いつ帰ってくるのだろうかな? ホムラ様?」
そんな退屈な日々が3日過ぎた後、ホムラが戦闘主任と設備主任の2人を連れて帰って来ていた。今回はその2人のお披露目会であったはずなのだが……
「では、お披露目会とさせていただきましょう。
ここからはβ次元設備主任と選ばれました、皆様の健康情報を管理させてもらい、武器などの装備の面でもサポートさせていただく副官、観測使徒ウオッチです。
このウオッチ様からご紹介させていただきましょう」
そう言ってマイクを持ってノリノリで語るのは、設備主任として任された観測使徒ウオッチ。
金色のストレートヘアーで、可愛らしい顔立ちのLカップ美少女。赤染めの白衣で、左目に万能片眼鏡を着用している。
どちらかと言うと、クールな理系美少女という印象が強い彼女は、ノリノリでマイクパフォーマンスを続けていた。
「さあさあ! 早速参りましょう!
まずは我らが当主、溶解使徒ホムラ様からご紹介しましょう!」
そう言って現れたのは見慣れた我らが天使、溶解使徒ホムラ様!
真っ赤な炎のようなツインテール、赤い女王様風のローブを着た130cmと凄く小柄な子で胸も大きい奴らばかりに比べるとIカップとまぁま小さくて可愛らしいけれども、女王様らしい上から目線な眼つきと優雅さを強調する手に持った錫杖が印象的である。
(……あぁ、いつ見ても可愛らしすぎる!
愛らしすぎる! 守ってあげたくてしょうがない!)
俺があまりの可愛さに悶絶しまくっている中、ウオッチ様の紹介は続く。
「そして次こそが本命ですね。
あなた達にこれから戦闘のいろはを叩きこむ戦闘主任、居合抜きの天才児である居合使徒ムラマサ様のご登場です」
そう言ってホムラ様の後ろへと立った、右目に黒の眼帯を付けた刀を差した、Nカップの侍美少女である。
背中に『俺様』の二文字が書かれた黒の羽織を着ていて、そのたたずまいから凛とした、カッコいい生き様というオーラを持った美少女である。
(……なんかあいつ、苦手だな)
俺はそう直観した。
自分も剣を使っているから、刀を持っている彼女に敵意を持っているという感じか? いや、それ以上に彼女の凛々しい雰囲気が自分とは合わない感じがしているので苦手である。
そして一番むかつくのは……
「では、私の初心表明とかはどうでも良いので、ムラマサ様の初心表明を聞かせてくださいませ」
「うむ、分かったぞだな。
そうだな……お前らは俺様にとって捨て石だ。俺様とホムラ様を引き立てるためだけに存在しているのだが、そんな中でお前がやる事は――――おっ、と」
ムラマサは目の前に飛び出して来たクナイをそのまま刀で斬り、目の前に迫って来た俺をそのまま見つめていた。
「俺は隊長ラスラー!
お前の事はどうでも良いから、ホムラ様から離れろ!」
俺の我慢は限界だった。その圧倒的な俺様感はまずないなと思っているし、それよりも――――――ムラマサの、ホムラ様の隣に立っている感じが気に入らない!
俺の夢は、ホムラ様を正妻にし、地球上の女性達を超乳性奴隷に、男性を殺し合いという観賞用の家畜にして地球を蜘蛛の惑星にしようというものであった。
なのに、俺の代わりにホムラ様を自分のものにしてしまう感じがしているから、俺はむかついてムラマサへと向かっていた。
(俺は悪の傭兵学校を卒業、いやその学校を廃校に追い込んで超能力と剣戟で行って来たのだ。
このムラマサなんかよりも、俺がホムラ様に相応しい!
ここでムラマサをぶちのめして、俺がホムラ様の副官になって貰おう!)
そう言いながら俺は思いっきり、殺すつもりで相手へと斬りかかる。
6本の腕で6本の剣を持ち、相手に当てるために全力で行う。
「六刀流、あしゅ……っ!」
俺がそう言って攻撃しようとしたその瞬間、俺は彼女を見失っていた。
いや、いきなり目の前にあの理系美少女、ウオッチのLカップという巨大的な、圧倒的な存在感と柔らかさを兼ね備えた乳房が俺の目の前に現れていた。
(あぁ……触りたいし、揉みたい!
――――って言うか、そうじゃなくて! いつの間に俺の目の前にウオッチが出て来……って、それよりも重要なのはあのムラマサって奴はどこに!)
「虚刀の居合、龍の制圧!」
そして自分の背後からムラマサの言葉が聞こえて来ていると、俺はすぐさま後ろを振り返っていた。
そこには既に居合抜きの構えを取っているムラマサの姿が……。
けれども、いつの間にあそこに?
と言うか、結構距離があるから居合抜きと言えでも、届かないような……。
「なっ……!」
そう思っていた俺だったが、いきなり目の前にムラマサが居た――――――。
「く、くそう!」
無念にも、ムラマサの居合が俺の身体へと斬りかかり、俺はそのまま倒れるのであった。
(く、くそう! ホムラ様の笑顔を見るために、あの人を正妻へとするために、抱くためになっていたのに――――――こんな所で負けられるかぁ!)
しかし、俺の身体は動かず、そのまま倒れ伏した。
この後、観測使徒ウオッチに手当をされた俺は、すぐにはマサムネからホムラ様を取り返せない事が分かり、表向きはマサムネに従う振りをして戦闘教育を手に入れているんだけれども、
「アハハハハ!
マサムネ! お前をぶち殺して、俺の……いや、お前が言う『俺の領域』という言葉から俺の嫁……いや、俺嫁であるホムラ様を取り返して見せる! アハハハハ!」
2年後のネームネーム界外支部の全体統合。
それにより、メインとなる次元、α次元、γ次元……そして俺が居るβ次元を統合していく前に、戦闘主任の座をマサムネから取り返さないと、俺は置いてかれる。
だから、俺はやらないと!
そう思いながら、俺の修練は続いていた。
ユシーモンスターNo.6
〇伝猫使徒コヤンイ・チェジンカスム
所属区分;ネームネーム征服世界α次元戦闘主任、収着使徒ユウの副官。
使用メモリ;『T』(トリート)
所見;α次元で戦闘主任として戦っており、功績の高さから伝導猫娘コヤンイ・チェジンカスムというユウの副官となった。
ユシーモンスターNo.7
〇英国使徒ホログラム
所属区分;ネームネーム征服世界α次元設備主任、エージェント・ナッノの部下
使用メモリ;『N』(ノスタルジア)
外見;頭には英国紳士が被るようなシルクハット、黒の紳士服を着た、付け髭を付けたIカップ美少女。
所見;ホログラムを実体化させる能力を持つα次元の設備主任。
戦闘能力はさして高い訳ではないが、能力次第ではそれなりに戦える。何故か英国に強い憧れを持ち、アフタヌーンティーは必ず取っている変な奴。By;文化者エージェント・ナッノ
ユシーモンスターNo.8
〇居合使徒ムラマサ
所属区分;ネームネーム征服世界β次元戦闘主任、エージェント・パンクの部下
使用メモリ;『Z』(ゾーン)
外見;右目に黒の眼帯を付けたNカップ侍美少女。背中に『俺様』の二文字が書かれた黒の羽織を着ている。
所見;居合抜きを得意とした戦闘のプロ。その領域内ならばどんな相手であろうと居合抜きの餌食となってしまう。
非常にプライドが高い性格で、使用メモリもあいまって勝手に『俺様の領域』などと良く言う奴で、親衛隊長スパイダー・ラスラーとは良く争っていた。By;文化者エージェント・ナッノ
ユシーモンスターNo.9
〇観測使徒ウオッチ
所属区分;ネームネーム征服世界β次元設備主任、エージェント・ナッノの部下
使用メモリ;――改装中にて掲載を見送る――
外見;金色のストレートヘアーで、可愛らしい顔立ちのLカップ美少女。赤染めの白衣で、左目に万能片眼鏡を着用している。
所見;ノリが良い感じの、人に優しいを心掛けている美少女。見た目上はそうとは思わないが感情のふり幅が異常に少なく、どんな事も事務的に対処している。
観測や監視に長けており、ナッノのために居られる事だけが幸せと覚っている。By;文化者エージェント・パンク
補足事項;後に新しいギガレンジャーのため用の新型メモリとして使用する。
ユシーモンスターNo.10
〇天牛使徒モーウ・ボイーネ
所属区分;ネームネーム征服世界γ次元戦闘主任、混雑使徒マリネの副官
使用メモリ;『C』(カウ)
所見;γ次元で戦闘主任として戦っており、功績の高さから天牛女官モーウ・ボイーネというマリネの副官となった。
ユシーモンスターNo.11
〇研磨使徒ジェーン・スミス
所属区分;ネームネーム征服世界γ次元設備主任、エージェント・ナッノの部下
使用メモリ;『B』(ブラックスミス)
外見;白いセーラー服に、頭に黒いサンタ帽子を被っているKカップ美少女。背中には大量の薪を背負っており、腹には暖炉が取り付けられている。
所見;喜怒哀楽など感情表現が異様に情熱的な少女。「物事全てに干渉し、その全てをダメにしてしまう怪人」とナッノに言われている。
腹部の暖炉に入れた物を融解させて、形にするその能力は、性格と似ていると思われる。By;文明者エージェント・パンク
ユシーモンスターNo.12
〇復活使徒ホノカ・ロクジョウ
所属区分;ネームネーム界外支部戦闘主任補佐(過去)
使用メモリ;『U』(ユートピア)
外見;茶髪ロングストレートヘアーで、猫耳フードの付いたワンピースを着ている美少女。胸元には大きくスリットが入っていて、首には真珠のネックレスを付けている。
所見;人の感情をエネルギーにして力にする能力を持った怪人で、その分異常なまでに感情が弱い。変な所に執着したり、執着しなかったりするので何を考えているのか良く分からない一面が強いので、扱い辛くて苦労する事も多かった。By;文明者エージェント・パンク




