クリスマスの夕暮れ
クリスマスの日の夕方。
雪が降り積もり、空気が冷え込むこの時期は僕には少しつらい。
何枚も厚着して膨れ上がり、まるで僕は雪だるまのようだ。
それに比べて、白沢先輩はマフラーと厚手のコート1枚で十分な様子だ。
「章一、こんな時期に厚着したらどうなるんだよ」
「膨れ上がります」
「着膨れにしてはひでぇよ…ほら、手を出せ」
僕は言われた通りに手を差し出した。
すると、白沢先輩はピエロのように目を丸くした。
「つめてぇ」
「冷え症なんですよ。顔だけは熱いんですが」
「え、照れてるのか?」
「違いますよ。勘違いしないでください」
年齢が2つ違うだけで、こんなにも差があるのだろうか。
からからと笑って、愛くるしい子猫のような表情を浮かべている。
それと反比例するように、夕日が住宅街の奥へ沈んでいった。
「寒くないんですか?」
「…俺はこのぐらいでちょうどいい」
「風邪引かないでくださいね」
「その時は看病してくれ」