表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

能力テスト



全校生徒がクラスごとに別日程で体育館に集められ、ある能力テストが行われた。


私は只今、学校で行われる健康診断のように、小さな壁の区切りによって区画化されている空間のそばで小さくなって丸椅子に座り、自分の番を待っているのだ。

次が私の番。



そして、名前を呼ばれて中に入る。



そこにいた白衣姿のスラリとしたコナンに出て来る蘭みたいな女の人に指示されてテレビ画面の前にある机の前の丸椅子に座り、真っ黒なテレビ画面を見つめた。大勢の人が私を見つめている。クラスメート以外の同級生の顔ぶれで、


知り合いから「頑張れー、頑張れー」との声援が聴こえる。

どうやら同級生たちのほとんどがこれを、

「人生のかかったテスト」

と思っていた。しかしその「頑張れ」の意味がよく分からない。

なぜならこれは適性検査なのであるから。





これからテレビ画面に文字が出てきて、1秒ほどで切り替わるのを覚えろというのである。

それが10回繰り返されるので、記憶して手前に用意された用紙に記入するのである。


(なんかめんどくさいよな~~)


と思いながら机の上にあった鉛筆を手に取り、テレビ画面に映る2~5文字のセンテンスを記憶する。


「う~ん」


すると、私は最初の文字を書こうとしたところそれを忘れ、二番目の文字しか記録できなかった。

何度も同じことをやらされたが、1つ2つ記憶するのが精いっぱい。運が良くて二つだった。



「それではカーテンを閉めます」


大衆の視線が塞がれ安堵する。だって人前って超苦手なんだもん。今高校生でだいぶましになったけど小学生の時なんか赤面症で深刻に悩んでたくらいだし。

嫌いな奴とかいると余計集中できないし。

あいつらが見えなくなって記憶力がアップした気がした。


「では始めます」


さっきと同じようにテレビ画面に文字が映り、それが切り替わっていく。

今度は良くて3つ記憶でき、それ以上は見込めなかった。



「先生がいなくなることってできます?」

「え?」

「なんか先生がいることによって先生の目が気になってだめなんですよね~」


すると、先生は

「あぁ、それも次のステップであるわよ」



私は密室に閉じ込められ、センテンス送りの操作を自分でやらされ、

3回目くらいでやっと5つ記憶できた。








「あーー!!もう全然だめだーー!!一応真面目なのを売りにして勉強してるから学業成績は悪くはないけど今回の結果で努力しか能のない馬鹿だとセンコーに思われたわサイアク」


私は大声でそんなことをクラスメートに言う。

この試験の結果はSランクからFランクまであって、私はDランクだった。

たぶんFランクのやつははったりかましてるだけで検査自体やりたくない不良集団の一味なのではないだろうか。



「やった、僕のDランクだよ」

「やった?」


そうこの男は、自分でランクを調節する天才なのである。ちなみに「忘れた」が口癖である。調節に成功したのは、これで3回目だった。



「あいつ、Sランクらしいぜ」

「きゃー超かっこいいー!!」


Sランクとおぼしき男子は、容姿端麗なのもあり、このクラスの全女子の眼差しをくぎ付けにするのであった。



そしてDランクから後の生徒だけが呼び出され、このくそ暑い中校内大掃除or雑草抜きをやらされる羽目になった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ