3.帰り道(その2)
「こんちはわーす」
玄関でみずきが大きな挨拶をすると
一呼吸置いて奥の方から返事が聞こえた。
「はーい」
この聞き覚えのある声は、はるちゃんのおばあちゃんだ。
はるちゃんのおぼあちゃんは、通称:はるばあ(私が勝手に呼んでる)は
遊びにくると決まって、玄関までお出迎えに来てくれる。
しかし、今日はそれはなくて、声だけだった。
はるちゃんが、はるばあの声が聞こえた方に向かって呼びかける。
「たただいまー。ばあちゃん、私、はるか」
はるちゃんは声だけで自分の帰宅を告げる。
まだ、はるばあは奥から姿を見せない。
「おかえりなさーい、ごめんね。今ちょっと手が離せなくて」
家の中で手が離せない用事って...なんだろ
洗濯物でも干しているのかな。
「いいよ、いいよ。大丈夫」
はるちゃんが学校指定の革靴を脱ぎ、靴を揃えて家に上がる。
「先に2階に上がってて、ちょっと様子見てくるから」
私たちにそう告げると、はるちゃんは奥の方へ歩いていってしまった。
玄関に二人取り残された私たちは、少し遠慮気味に靴を脱ぎ
はるちゃんの家に上がった。
はるちゃんの部屋は2階にある。
私たちは玄関の右手前にある階段から2階へと上がっていった。
この階段は、少し急だから昇るのには注意が必要だ。
いつもは全然感じなかったけれど、友達の家に勝手に上がるのは
なんだか居心地が悪い。みずきはどうかなと思って、声を掛けた。
「いいのかな?部屋まで行っちゃって...」
「オーケー私が許す!」
私は一抹の不安が頭によぎって、みずきにもう一言尋ねた。
「みずき...変なこと考えてない..よね?」
「え?なんのこと?」
既に階段を上りきり、部屋の前まで来ていた。
ドアプレートには、綺麗な文字で「はるかのへや」と書かれている。
みずきが部屋のドアノブに手を掛け、勢いよく開けた。ガチャ
「よーし!カーニバルの始まりだ!あいつの弱みを見つけるぞ!!」
だめだこいつ早くなんとかしないと。
「だめだってばー!!」




