2.お昼
キーンコーンカーンコーン
「じゃあ、次の授業までに今日配布したプリントを提出してね。今日は以上」
先生が授業の終わりを告げる。その瞬間、教室から緊張の空気が解け、はーっという大勢のため息が漏れた。
授業が終わると、先生は課題を未提出の生徒を呼び出して
何か言っていた。怒っているというよりは、軽く注意している。
「やっとお昼だーおなか減った」
後ろから、みずきの気の抜けた声が聞こえてくる。
私は後ろを向いて、みずきに声をかける。
「だねー購買行く?」
「そーしよ、パンが食べたい!パンが。あとミルクティー飲む」
「はるちゃんも行くかなー」
はるちゃんとは、小森はるか。私のクラスでのもう一人の友達。
読書が大好きで、いつも寝不足になるまで本を読んでいるので
休み時間中は、自分の机で寝ていることが多い。
今日も授業が終わるとすぐに机に突っ伏していた。
「あっ!あいつまた寝てるぜぇ。きっと昨日も夜更かししやがったんだ、ケッケッケッ」
「ちょっと、やめなよ」
みずきが気味の悪い笑い方をしながら、教室の前の方に歩いて行った。
はるちゃんの席は、教壇から向かって左の席にある。
私もみずきのあとを付いて、寝ているはるちゃんの席に向かった。
「へへ、はるか。授業終わりに即効寝たことを後悔させてやる!!」
私がみずきの悪事を止めよう、肩に手を伸ばした時だった。
「ふっ、掛かったな。何度も同じ手をくらうもんか!」
はるちゃんの少し澄んだ声がすっと聞こえた。
みずきは、はるちゃんの脇腹に伸ばした手を一瞬止める。
その瞬間だった、はるちゃんが素早い動きで立ち上がり
みずきの後ろに回り込んだ。
「いつも、いつも、私の睡眠の邪魔をして...」
はるちゃんがみずきの脇腹をがっちりとつかむ。
「あ、あのはるかさん...何をするおつもりで...」
「とってもいいことだよ☆」
はるちゃんが、笑顔でみずきに語りかける。
これがかの有名な天使のような悪魔の笑顔。
「ツカサ助けてぇ!!」
みずきが必至で私に助けを求めてくる。
私は笑顔で返事をした。
「うん」
「うんじゃなくてさぁ!!」
「それじゃあ始めようか、ねぇ!!」
「やめてよぉ!!」
その後、少しの間みずきの叫び声が教室に響いていた。




