1.変化
6月
中学3年生になってはや2ヶ月が過ぎた。
いつのまにか桜が散り、またたくまにGWが終わっていた。
中学校に入学したてのころは、3年生は、なんて大人びてるんだと
思っていたけれど、いざ自分がなってみると、全然そんなことは
なく、まだまだ子供の域を抜けきれない。
2年生から3年生に進級して変わったことと言えば
2階だった教室が3階に移動したぐらいで
自分自身の内面的な変化はまるで実感できない。
「ツカサ、ちょっと背伸びたんじゃない」
後ろの席から、みずきが声を掛ける。
みずきは2年生からのクラスメートで、教室ではよく一緒にいる。
みずきの声は、同年代の女の子の中では少し低い。
混声合唱では、いつもアルトのパートを歌っている。
「そかな、自分じゃ全然分かんないや」
「ちょっと立ってみてよ」
私は、後ろ向きに座っていた椅子から腰をあげて
同時に立ちあがったみずきの横に並んだ。
「ほらやっぱり、ね!前は私と同じくらいだったもん」
私は自分の頭の上とみずきの頭の上を、手をへの字にして往復した。
確かに少し、みずきの方が小さい。
「ほんとだ...1cmぐらい高くなってるね。びっくらこいた」
「ひとりだけ、大きくなりやがってこの!」
いきなりみずきが、私の脇腹をくすぐりだした。
私は我慢できなくなって、身をよじる。
「この!このー」
「やめてよぉー」
5分ぐらいこの格闘が続いた。




