とどまりし恋人
僕には恋人がいた。
自分で言うのもおかしいが割と熱々のカップルだったと思う。
幸せだった……この世で一番大切な時間だったかも知れない……。
しかしその幸せは突然崩れ去った。
彼女が行方不明になったのだ。
僕は当然彼女を探した。
ある日は猛暑の中、
またある日は豪雨の中。
ただただ、彼女を探し続けた、いや彼女を追い求めた。
何年も探し続けた。
再びあのかけがえのない時を得る為に……。
ある日を境に探すのを僕は辞め、彼女が帰って来るのを待つようになった。
数年、数十年、数百年、数千年、待ち続けた。
そしてとある日が来た、僕が散歩をしていると、足元に何かが有ったのだ。
気になり足元を見てみるとそこには人の頭の形をした白い何かがあった。
僕はこれを見たとき直感で分かった。
ああ、これは彼女だと――