婚約の儀と、動き始める闇
時間は流れ、ジーナとプログノスの婚約の儀が交わされる当日。
マティス国の自室で、ジーナはこの日の為に用意された衣装を、侍女達に着せられていた。侍女達は楽しげに、何時もよりも更にきついコルセットでウエストをこれ以上なく締め上げ、更にはパニエを重ね、伝統を重んじつつも流行のドレスで、ジーナに飾って行く。
淑やかな皇女を演じ、日向の様な笑みを浮かべながら、ジーナは、何時この侍女達を殴り飛ばしてやろうかと、腹の中で何度もシュミレーションを重ねていた。
「ジーナ様、お綺麗ですわ。新調をしたコルセットもパニエもドレスも、皆がジーナ様の為に生み出された様です」
そんなジーナの思惑を知りながら、フィアはにっこりと微笑み、主にしっかりと釘を刺す。
猫をしっかりと被っておけと・・・。
「ありがとう。何だか、照れてしまいますわ」
表面上では恥じらう演技をしながら、ジーナは腹の中でフィアを睨む。
一見、穏やかな光景だが、ジーナとフィアの闘いは、今日も水面下で密かに繰り広げられている。
「さあ、出来ましたわ」
「ジーナ様、本当にお綺麗です」
「ジーナ様程、コルセットとパニエがお似合いになるお方はおられませんわ。本当に、細くて素敵なウエスト」
ジーナの髪を結い上げ、最後に薄く化粧を施した後で、侍女達は嬉しそうに騒いでいる。
鏡の中に映ったジーナは、部屋で暴れている時とは、全くの別人だった。
白い陶器の様なきめ細やかな肌に、大きな黒い瞳。元々顔立ちは整っている為、等身大の人形の様だ。侍女達が褒め称える様に、ジーナのウエストはこれ以上なく細く、魔界一と言って良いほど、ドレスを着こなしたシルエットは美しい。強い意志を秘めたジーナは気品にも溢れており、彼女の姿を目にした者は、その気高い凛とした美しさに思わず目を奪われる。
そうして、勝手につけられたジーナの表の通り名は、漆黒の淑女だった。
勿論、ジーナはこの通り名を忌み嫌っている。
コルセットやパニエ同様に、いつかは粉々に粉砕してやろうと企んでいる位に・・・。
「「「ジーナお姉様」」」
そこに、ジーナの3人の妹達が顔をのぞかせる。
「お姉様、本当にお綺麗」
まん中の妹・シルエラが、ジーナのドレス姿に目を輝かす。
「いいなぁ。マリニも、そんな綺麗なドレスを着てみたいなぁ。でも、マリニはジーナお姉様みたいに細くないし・・・」
1番下の妹のマリニが、ジーナと自分のウエストを見比べて、可愛らしい唇を尖らしている。
「大丈夫ですよ、マリニ様。ウエストなど、コルセットをつければ、いくらでも細くなりますから。そうですよね、ジーナ様?」
マリニに微笑んだ後で、フィアはジーナに会話を振る。
「そうですよ。急がなくとも、マリニは今のままで良いのです。時が来れば、あなたも素敵な貴婦人になれますよ。私が、保障致します」
フィアを軽く睨みながら、ジーナはマリニに優しく微笑む。
ジーナは、家族の前でも自分をいつわってはいるが、心の底から、両親と3人の妹の事を愛している。
「でも、ジーナお姉様ったらズルいわ。あの白薔薇の貴公子のプログノス様と婚約をなさるなんて」
そう言い、1番上の妹・ダーリエは頬を膨らます。
この白薔薇の貴公子というのは、プログノスの通り名である。容姿端麗・物腰柔らか、その上、魔法の腕は魔界一と、何処にもけちのつけようがなく、いつの間にか彼はそう呼ばれる様になっていた。魔界の女性達は、マティス国・デルタ国の違いに関わらず、皆、プログノに恋い焦がれている。年頃を迎えたダーリエも、また然りだった。
「ダーリエ。この度の婚約は、遊びではないのですよ。我がマティス国と、プログノス様のおわすデルタ国の危機を救う為の、最善の手なのです。私達の婚姻により、両国には平穏が取り戻される筈です。あなたは、このマティス国の第2皇女。その事を、しっかりと理解しておかねばなりませんよ」
自分自身にも言い聞かす様に、ジーナはダーリエを静かに諭す。
「はい。でも、やっぱりお姉様は素敵❤ダーリエは、この世界でジーナお姉様を一番尊敬してますもの。ジーナお姉様、大好き❤」
ジーナに神妙に頷いた後で、ダーリエは頬を赤らませ、ジーナの胸に飛び込む。
「ああっ、ダーリエお姉様ったらずるいっ!」
頬を膨らませ、マニエもジーナに抱き付く。
「じゃあ、シルエラも。きっと、素敵な光景なんでしょうね。漆黒の淑女のジーナお姉様と、白薔薇の貴公子のプログノス様が並ばれた光景は・・・」
最後にジーナに飛び付き、シルエラはうっとりとした様につぶやく。
「・・・・・・」
その言葉には、ジーナは何も答えない。ただ、妹達の体を、力強くギュッと抱きしめる。
自分の思惑はともかく、プログノスとの婚約で不安定な魔力を抑え込む事が出来るのなら、ジーナにとっても望むべき事態には変わりはない。
大切な彼等を護りたい。
ジーナは一人、胸の中で決意を固める。
そんなジーナを、フィアは静かに見つめる。
普段のジーナは自由を好んでいるが、誰よりも国やそこに暮らす全ての者達を愛し、護りたいと考えている事を、側に何時も控えているフィアは良く知っている。
「ちょっといいかな?」
軽いノックの後で、一人の紳士が姿を現す。
彼の名は、ディオルス=ベルグ=ノーヴェン(通称ディールの為、以後はディール)。ジーナ達の母の実弟で叔父にあたる人物。家族は、妻と3人の子供達。その容姿は、肩までの柔らかな黒髪を左側で一つに束ね、同じく艶っぽい黒の瞳。年齢は36歳で、身長は181cmのすらりとした細見。容姿は整い、物腰は優雅で柔らか、見た目は実年齢よりもずっと若く見える。
「「「ディール叔父様」」」
妹達は、入ってきたディールに視線を移す。
「今日の婚約の儀の事について、ジーナと大切なお話があるんだ。ダーリエ・シルエラ・マリニ。申し訳ないけど、少し席を外しては貰えないかな?」
穏やかな微笑を浮かべ、ディールはダーリエ達に退出を促す。
「わかりました。では、ジーナお姉様、後ほど」
ディールに頷き、ジーナに挨拶を済ませ、ダーリエ達と侍女達は部屋を出て行く。そんな彼女達を、ディールは穏やかに見送る。
後に残ったのは、ジーナとフィア、そしてディールの3人のみ。
「それで、お話というのは?」
ジーナが、ディールに尋ねる。
パタン・・・。静かにドアが閉じられ、ディールはジーナに背を向けたまま、体を小刻みに震わせている。
「・・・してよ・・・」
「・・・は?」
ディールが小さな声で何かをつぶやいたが、良く聞こえなかった為、ジーナは問い返す。
「・・・だから、どうしてあんたなのよぉ!酷いじゃない!よりにもよって、プログノス様と婚約だなんてぇ!」
そう言い、振り返ったディールの様子は、先程とはうって変わっていた。男らしい普段の様子は一切消え、女の様に体をくねくねとさせている。
またか・・・。
ジーナとフィアは、言葉には出さず、深い溜息を吐き出す。
このディールという人物は、現・女王の実弟にして、格闘のスペシャリスト。その物腰は常に優雅で隙がなく、王宮での信望は非常に厚い。美しい妻と3人の子供達をこよなく愛し、良き夫であると同時に、良き父親でもある。
しかし、それはあくまで表の顔に過ぎない。
本来の彼(彼女?)は、男の体の中に、女の心を宿している。
簡単に言ってしまうと、乙女男とでも言おうか。
ともかく、普段の物わかりのいい男らしい彼は、ジーナ同様に、ディールの精一杯の演技なのだ。
その事を知っているのは、ジーナとフィアの2人だけである。
ちなみに、ジーナの格闘の才能を見抜き、腕っ節強く育て上げたのは、他ならぬこのディールである。よって、ディールもジーナの本性を知っている。
フィアは、本性を隠す為に完璧な演技をするこの2人を、似たもの同士の遺伝だと、勝手にひとまとめにしている。
「ずるいわぁ!あんまりよ!ジーナのバカバカァ!」
ジーナの体をポカポカと叩き、ディールは恨めしそうに姪を睨む。
「・・・あのね、叔父様。ずるいもなにも、仕方ないでしょ?これは、国同士が決めて、ドラグーンも承諾した事なんだから」
ディールを見上げ、ジーナは大人が子供に話しかける様に言い聞かす。
「知らないわよ、そんな事!いい、ジーナ。あんたが結婚するのは、抱かれたい男NO・1のプログノス様なのよぅ。ああ、あの涼しい目で見つめられたら、ゾクゾクしちゃう❤ギュッとして欲しいわ、ギュッと・・・」
自分の妄想の中にどっぷりと浸かり込み、ディールは何もない空中を抱きしめ、体をよじっている。
そんなディールの様に、ジーナとフィアは目配せをし合う。
「・・・叔父様。そんなんで、よく結婚できましたね・・・」
何時もの口調に戻り、ジーナは呆れた様にディールを見つめる。
「だって、仕方無いじゃない。体は男なんだから。お嫁には行かして貰えなくて、妻をとれって言われたんだから。でも、うちの奥さんだけは平気なのよね。奥さんの前だけでは、男になれちゃうんだから、自分でも不思議だわぁ。他の女じゃ駄目ね。この世界中で私が抱ける女は、奥さんただ一人よ。それに、私達の愛の結晶達も可愛いし。でもね、本当は、いい男に抱かれたいの❤私って、生まれてくる性別を間違えたのよぅ。ああ、これ以上ない悲劇だわぁ。なんて可愛そうな、あ・た・し・・・」
ジーナの問いに答え、ディールはがっくりと肩を落とし、出てもいない涙を拭う素振りをする。
「じゃあ、私と代わりますか?」
自分が着ているドレス一式を指差し、ジーナがディールに話し掛ける。
「いいのぉ❤」
ジーナの言葉を聞き、ディールは目を輝かせている。
「それは駄目です。ジーナ様も、ディール様もいい加減になさって下さい。いいですか、ディール様は男です。従って、プログノス様の花嫁にはなれません。それに、ドラグーンの能力もお持ちではないでしょう。ジーナ様も、ジーナ様です。この国の未来の女王陛下は、あなた様以外にはおられないんですから」
何時までも続きそうな不毛な会話を終わらせる為に、今まで口をつぐんでいたフィアが、ジーナとディールにこんこんと言い聞かすように説教をする。
「わかってるわよ。ちょっと、叔父様をからかっただけだから。それに、私だってこの婚約に未来をかけているんだから。1日も早い、この世界の平定。その為なら、私は何だってするわよ。私は、このマティス国の第1皇女・クラベジーナ=ベルジュア=ノーヴェンよ。その事に誇りを持っているし、自分の定められた運命からは逃げるつもりもない。それは、プログノス様だって同じだと思うの。だから、叔父様には悪いけど、代わってあげる事は出来ないわ」
強い決意の籠った瞳で、ジーナは自分意思をフィアに告げる。
「それでこそ、私がお仕えするジーナ様です。」
フィアは、満足そうににっこりと微笑む。
「あんたって、思ってたよりいい女ね。姪じゃなかったら、付き合ってあげられたかも。まだまだ子供だと思っていたけど、何時の間にか大人になっていたのね」
ディールは、少々危ない発言をしながら、ジーナを眩しそうに見つめている。
そこに、婚約の儀の時間が訪れた事が告げられ、ジーナは何時もの淑女に、ディールは紳士に戻り、フィアと共に大聖堂へと向い始める。
それでも道すがら、諦めきれないディールは、ジーナの耳元でプログノスを一晩だけでいいから貸して欲しいと囁いていたが、最後にはフィアが鞭をちらつかせ黙る様に圧力をかけて来た為、最後には悔しそうに引き下がっていた。
ジーナは信じていた。
自分達の結ぶ婚約が、二つの国の未来を救う事になると・・・。
先を見通す能力を持たないジーナは、この先に起こる不吉な予兆が、自分達の直ぐ側にまで忍び寄って来ている事に、全く気づいてはいなかった。
ジーナ達が大聖堂に辿り着くと、そこには、王候貴族達が正装し、左のマティス国、右にデルタ国と綺麗に別れ整列していた。
「フィア、久し振り」
人なっこい声が響き、フィアが声の主を辿ると、プログノスに付き添ったルクサリオが、引きちぎれそうな程手を振りながら歩いて来ていた。
「ルクサリオ、久し振りね。お元気そうでなにより」
久方振りの婚約者との再会に、フィアは微笑む。
「やっぱり、益々綺麗になって❤本当は、ここでギュッとしたいんだけど、皆が見てるから今は止めておくよ」
フィアの耳元でこっそりと小声でつぶやき、ルクサリオはお預けを食らわされた犬の様に、可愛らしい顔色を曇らせる。その頭には、しょげた犬の耳が似合いそうだと、フィアは苦笑する。
ルクサリオとは違い、フィアは特に自分の婚約者に愛着を抱いている訳ではない。だが、自分を幼い頃より変わらず慕ってくれるルクサリオは、フィアにとっては可愛い弟の様な存在だ。
「あら。こっちの坊やも美味しそう❤」
フィアに聞こえては、今度こそ鞭で縛りあげられそうなので、ディールは紳士の外面のまま、おねえ言葉で本当に小さな声でぼそりとつぶやく。
やがて、フィアとディールは黒いマティス国の群衆に、ルクサリオは白いデルタ国の群衆へと、本日の主役のジーナとプログノスに祝辞を述べ、それぞれ溶け込んで行く。
「クラベジーナ殿、本当にお美しい。私は、デルタ国の第1皇子のプログノス=バラウセア=インビエルノと申します。この善き日に縁を結び、末長く両国の安寧の為に手を携えて参りましょう」
世の女性達&ディールが見れば、気を失ってしまいそうな笑みを浮かべ、プログノスはジーナに話し掛ける。
「いえ、私など、プログノス様の美しさの前では霞んでしまいますわ。私は、マティス国の第1皇女・クラベジーナ=ベルジュア=ノーヴェンと申します。どうか、ジーナとお呼び下さい。私達の婚姻が、両国に安寧をもたらす事を、私も信じております。どうか、末長くお側にお置き下さいませ」
何時ものしおらしい淑女を演じ、ジーナは日向の様な笑みを浮かべ、恥ずかしそうに頬を赤らめて見せる。
この時の互いの印象は、まあ通り一遍のもの。
ジーナはプログノスに対し、確かに噂通りの男前で、責任感がありそう感じた。
プログノスは、コルセットとパニエの着こなしが美しい、深窓の皇女だと感じていた。
お互いが真に望んでの婚姻ではなかったので、当たり前と言えば当たり前の評価とも言えよう。
何はともあれ、婚約の儀式の開始を告げる音楽が響いた為、差し出されたプログノスの腕に戸惑いながら(勿論、演技)手を回し、ジーナは両国王・女王の元へとゆっくりと歩んで行く。
時刻はこれより半日ほど遡り、場所は暗い暗い光が差し込まない地の底。
その漆国の闇の中で、何者かが眠っている。大きな体をごつごつとした地面の上に投げ出し、熟睡してしまっているのか、その人物は微動だにしない。
そこに、気配もなく、一人の人物が姿を現す。
「・・・全く。相変わらず、緊張感のないだらしない奴じゃ。自分から誘っておいて、妾に出向かせるとは・・・」
溜息を洩らした人物は、声からして幼い少女の様に感じられる。
少女は、だらしなく地面に寝転がった人物の頭に、手にしていた杖の柄の部分を当て、ゴルフのスイングの様に力一杯振り切った。
ゴンッ!
これ以上なく鈍い音が地の底に響き、寝ていた人物は、ようやく重い瞼をゆるゆると持ち上げ、自分を叩いた人物を仰ぎ見る。
「・・・ああ、マムだったのか。何か用か・・・?」
まだ寝ぼけているのか、地面に横たわったまま、その人物は少女にめんどくさそうに話し掛ける。別に痛がる様子もなく、頭をゴルフボール代わりにされた事にも、怒りは感じてはいないらしい。低い声からして、こちらはおそらくは成人をした男性と思われる。
「何か用か、ではないぞ!この馬鹿息子。今日が何の日か忘れたのか?そちの頭には、わらが一杯詰まっておるのか?」
男の言葉を聞き、少女は呆れた様に溜息を吐き出し、今度は手にしていた杖の先で、男の額をこんこんとつつく。
「・・・?ああ、そう言えば・・・」
杖でつつかれるままにしながら、男はしばらく考えた後で、今日という日の大事な行事を思い出す。
「で、行くのか行かないのかどちらにするのじゃ?妾としては、どちらでも良いぞ」
杖で男をつつく事を止め、少女は両方の腰に軽く手をあて、男に決断を迫る。
「・・・めんどくさいが、何もしない訳にもいかないだろう・・・。・・・行く」
無気力に答えた後で、男はむくりと起き上がる。
「・・・そちは、本当に緊張感がないのう。そのような様で大丈夫なのか?相手は・・・」
「心配ない。マム、やると決めた以上、俺はやる男だ・・・。うん、多分・・・。それに、種はもう撒き終わっていると、あいつが言っていた」
少女にというよりは、むしろ自分に言い聞かす様に、男はつぶやく。
「では、髪を解かせ。出かける前に、その寝癖を何とかせよ。妾は、そちの様なだらしのない者とは、一緒に歩きたくはないぞ」
寝癖で髪の毛が乱れに乱れまくっている男に、少女はとてつもなくいかつい鉄の櫛を手渡す。
「・・・ああ、わかった」
男は素直に少女から櫛を受け取り、絡まっている髪をとかし始める。その髪はどんな材質で出来ているのか、櫛を動かす度に、ザリザリと不気味な音が地底に響く。
「まあ、その位で良い。さっさと、行くぞ」
男の身支度がある程度整ったところで、少女は納得した様に頷き、先に何処かへと姿をくらませて行く。
「・・・目が覚めた。では、俺も行くとするか。待っているがいい、ローグル、アルグド。あの時の礼は、きっちりと返させて貰おう。お前達の可愛い子供達にな。この時を待っていたのだ。・・・時は満ちた」
さっきまでのぼんやりとした表情から、ひやりとした冷気さえ感じさせる残忍な笑みを浮かべ、男は低く笑う。その瞳は、暗闇の中で金色に輝いていた。
そのまま、男も少女の後を追い、ある場所へと向かって行く。




