ほっとけないホットケーキ
1
「困った!小松の親分が困った、ではなくて。
もう管理人が、いなくなってしまう!
誰かが注意して世話しないと。
あちこちで不具合が起きてる!
このままでは歯車が狂って時計が壊れる!
私の責任になるのはイヤだ、誰かヘルプミートソース!」
夢の中。
半透明で白っぽい燕尾服の兎が騒いでいる。
本物のウサギではなく、ディズニーアニメのような造形。
場所は巨大宇宙船の航宙室。
銀河系らしき立体映像の前。
赤い点滅が異常個所らしい。
20箇所ほど。
私「何を困ってるんです?」
兎「え?」こちらを見る。
「ええええっ!幽霊、幽体離脱、星気体投射、覗き見能力者!
どれですか?」
「いや、夢でしょ、これ。よく奇妙な夢を見るので。
私でよければ相談に乗りますけど」
「跡継ぎが、いなくて、銀河系が壊れかけてるんです。
あなたはここにコンタクトレンズ、いや、コンタクトできたのは
波長が合った、つまり資格者ってことですね、
えーと、データ照合で身元を・・・。
よしOK、迎えを出しますので」
そこまでで夢は終わった。
2
エヌ氏は目を覚ました。
「迎えって。もはや命を惜しむ年でもない。
ボケる前に楽に死ねるなら、あの世からの迎えは歓迎だ。
ぜったい大きい病院は安楽死を許可すべきだよなあ。
働くか安楽死するかを選べるようにしてくれれば。
他人に嫌がらせ、イジメが日常化していて悪人が野放しの
こんな地獄が続くのなら死んだほうがマシだ、俺はマゾじゃねえ。
悪人削除法、全世界人格調査で悪人は全部あの世に追放すればいいのに」
買い物に行くと。上空に小型UFO。吸い上げられて。
「え・・・」青空から衛星軌道へ、宇宙空間に出てからワープ。
夢で見た巨大宇宙船へ接近、小型UFOは中へ。
体が浮く。案内用小型ロボットに誘導されて空中を移動。
管制室へ。重力が戻る。
目の前に白服の兎。
「で、困ってるのはですね」
夢の続きのように会話。
地球は太陽の周りを365日かけて回ってる。
太陽系は銀河中心部を軸にして膨大な時間をかけて、やはり回転運動。
同様に銀河系も宇宙の中心を軸にして、気の遠くなるほどの時間をかけて回ってる。
要するに銀河系は時計のようなもの。
メンテナンスが必要。あちこちの太陽が電池。加熱しすぎると不具合がある。
それを調整する。熱い、ホットな計器を修理する。ホットケイキ計画。
ロボットではダメで生き物が必要。
兎
「私は、もう寿命です。何百億年か、やってきたんですけど。
あなた、引き継いでくれませんか?」
私「不老不死になるんですか?「火の鳥未来編」の主人公みたいに」
兎
「えーと。データ参照中・・・いや、違いますよ。
アンドロイドの電子頭脳に、あなたの脳データをコピーします。
それでも寿命があるんですけど。数百億年レベルで。
あなたの意識体は、それに耐えられる性質です」
「コピーですか。めったにできない体験。OKしましょう!」
「では、さっそく」
体が宙に浮き、走査され、気が遠くなって・・・。
3
「あれ?」エヌ氏は公園のベンチに座っていた。
「夢だったか。円盤に誘拐されるって。
これは欲求不満だな、自分の自己重要度を認識したい、
実は目立ちたい、みたいな」
「ええと・・買い物に行く途中か。
恐ろしい。ボケてきてしまったのかも」
「しかし銀河時計の管理人か。その時計を誰が見るんだか。
超ばかでかい魚とか。ウオッチだけに・・・」
「今日も無茶苦茶に暑いな、地球温暖化・・・毎年気温が上昇してる。
二酸化炭素の量が増えてるからって本当だろうか?」
上空の太陽。横に消防士らしき巨人の幻影が出現。
ホースで太陽に水?を放射。
ギラギラと熱量を発していた真夏の太陽が、
冬の太陽にように弱々しくなる。
すると強い日差しが弱い光に変わった。
消防士は後ろを振り向く。
その時に顔が見えた。ディズニー兎の顔。
後ろのやはり消防士の男にホースを渡す。
太陽にホースの水?らしきものをかける。
ジューッと音。
兎
「ちょっとそのぐらいで。かけすぎですよ」
エヌ氏
「暑いのは苦手で。やや寒い方が」
「だったら北海道にでも引越しすればいいでしょう、
決断力、行動力は大人の条件、あなたは
ちゃんとした教育を受けていないんですね」
「日本の教育は、雑学暗記だけ。無能なんですよ、
実際の生活学を教えていない。
まともな教育をしてるのは、恐怖の侵略国家イスラエルぐらいで。
徹底した個別教育で個性、才能を伸ばし、
適材適所に配置して国家のために活用してる」
二人は雑談をしている。
仕事の引継ぎをしているらしい。
兎
「もちろんこれはイメージ映像ですよ、
あなたには知らせておこうと思って。
実際は宇宙船の管制室にいます。
やってることはこのとおりです。
この太陽は加熱しすぎだから、
ちょっと冷ましてるんです」
これは私に向けたメッセージ。
「それではごきげんよう。
ドバイ、ではなくて、グッドバイ!」
2人の姿が薄れて消えていく。
しかしやはりエヌ氏アンドロイドは
太陽を冷やし過ぎた。
赤道付近は20度ぐらいの温度になった。
その他は雪、氷の世界。
すべての人口は赤道周辺に移動し始めた。
地球は「東の地平、西の永遠」タイプの惑星に変わった。
手本は星新一「まぼろしの星」




