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ノイズ・レゾナンス:感情雑音の調律師  作者: 坂元たつま


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愛のレゾナンス:感情排除者との終焉

1. 最終決戦の舞台:ノイズ吸収フィールド

律、和音、響が足を踏み入れたサーバー室は、床から天井までサーバーの群れが並び、その中心に神楽泰斗コンダクターが立っていた。彼の周囲には、絶対的な『無』のノイズが広がり、律の**『共鳴』も、響の『変奏』も、和音の『切断』**すらも、全てこのフィールドに吸収され、無力化される感覚に陥った。

「無駄だ。このサーバー室は、私の精神と直結している。人類の愚かな**『感情のノイズ』は、全てこのシステムに吸収され、『管理された静寂』**へと変換される」コンダクターの声は、響きの少ない、冷たいデジタル音のようだった。

コンダクターのノイズが律に語りかける。それは、律の最も深い**『静寂への渇望』**を刺激する誘惑の音だった。

「調律師よ。お前の真の望みは、この完全な無音の世界にあるはずだ。感情は、人類を不幸にする最大の欠陥だ。私と共に、ノイズなき調和を迎え入れろ」

律は、その誘惑に一瞬引き込まれそうになるが、隣に立つ和音と響のノイズを感じ、自らを奮い立たせた。和音の**『揺るぎない愛情』と、響の『共鳴に加わる決意』が、律の『愛の共鳴』**を支える柱となっていた。

2. コンダクターの防御:システム化された絶望

律は、コンダクターのノイズに**『共鳴』を仕掛けた。律のノイズは、コンダクターの『無』に触れた瞬間、激しい反発音**を生み出した。

ギャリギャリギャリ…!

「無駄だ。私のノイズは、**『構造的な絶望』**に基づいている。個人の希望など、瞬時に吸収される」

コンダクターは、ノイズ吸収フィールドを一気に最大化した。サーバー群が激しく稼働し、律たちのノイズが、まるで真空に引き込まれるように吸い込まれ始めた。

和音は、『切断』の刃で、ノイズ吸収の発生源であるサーバーの一部を切断しようと試みた。しかし、サーバーはノイズの波形そのもので守られており、刃は弾き返される。

「切れないわ!ノイズが物理的な防御になっている!」

響が叫んだ。「律さん、僕の**『変奏』で、この吸収フィールドの周波数を乱します!一瞬だけ、律さんの共鳴**が通る隙間を作ります!」

響は、全身の力を振り絞り、ノイズ吸収フィールドの駆動システムに自身の**『変奏』を送り込んだ。響のノイズは、『無』**の周波数と激しく干渉し合い、一瞬だけフィールドの防御に亀裂を生じさせた。

3. 愛のレゾナンス:最大の賭け

律は、その一瞬の隙間を見逃さなかった。彼は、自身の**『静寂への渇望』という過去のノイズを『受け入れる』ことで、コンダクターの『無』**のノイズと完全に一致させた。

「和音、響!俺のノイズは、一瞬だけコンダクターの**『無』と同調する**!その瞬間に、**『愛のノイズ』**を全て俺に込めてくれ!」

律の**『調律』が、コンダクターの『無』のノイズと同調した瞬間、律とコンダクターの精神が直接的に接続**された。

律の精神には、コンダクターの心の奥底にあった**『世界への究極的な絶望と、愛の欠如』**というノイズが、痛いほど流れ込んできた。コンダクターは、愛を信じられなかったからこそ、感情を排除したのだ。

その瞬間、和音と響は、律の指示通り、自身のノイズの全てを律に集中させた。

和音のノイズ:『過去を乗り越えた愛情』

響のノイズ:『孤独を埋めた友情の歓喜』

二人のノイズは、律の**『共鳴』を介して、コンダクターの『無』**の精神へと叩きつけられた。

律の共鳴は、ノイズを破壊しなかった。

律の共鳴は、コンダクターの『無』の精神に、『愛の感情』を強制的に『再生』させた。

4. 調和の回復:静寂の終焉

コンダクターの**『無』のノイズが、律たちの『愛のノイズ』によって塗り替えられる。コンダクターは、強制的に流れ込んできた『温かい感情』**という、彼にとって最も恐ろしいノイズに、激しく苦しみ始めた。

「アアアアア…!これは…何だ!私は、感情を排除したはずだ!」

コンダクターの周囲にあったノイズ吸収フィールドが崩壊した。サーバーがオーバーヒートし、サーバー室全体に警告音が鳴り響く。

コンダクターは、膝から崩れ落ちた。彼の目から、感情を失って以来初めての涙が流れた。彼のノイズは、**『後悔』と『解放』**という、複雑な音色を奏でていた。彼は、感情を排除した静寂が、愛のない孤独だったことを知ったのだ。

律は、コンダクターのノイズを聴き取り、彼に優しく語りかけた。

「君の**『調和』**は、間違っていた。調和とは、感情を排除することじゃない。全ての感情を認め、受け入れることだ」

律の**『調律』が、コンダクターの『後悔』のノイズを、『再生への希望』**へと変えた。

コンダクターは、意識を失い、静かに倒れた。ノイズ統制のシステムは崩壊し、トウキョウ・エコー・テクノロジーズのビル全体から、**『偽りの静寂』**が消え去った。

律、和音、響の**『三位一体トリニティ』は、コンダクターを打ち破り、都市の『システムノイズ』**の支配を終わらせた。しかし、律の耳には、コンダクターが倒れる直前に発した、上位組織『シンフォニー』の真の支配者のノイズが残っていた。

それは、『マエストロ』。全てのノイズを統べる、**『原初の調和』**の創造者。

コンダクターのノイズは、律に最後の情報を残していた。

「マエストロは…**『音楽の殿堂ホール』**にいる…」

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