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ノイズ・レゾナンス:感情雑音の調律師  作者: 坂元たつま


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システムノイズの核:巨大企業の静寂

1. ノイズの解析:都市の裏側に潜む支配

渋谷での激闘を終えた律、和音、響の三人は、一時的にコンダクターの追跡を逃れ、新宿の雑居ビルの一室に身を隠した。周囲の喧騒ノイズの中で、彼らのノイズだけが、**『連携』**という安定した和音を奏でていた。

響は、持ち前の**『変奏』**の才能を使い、渋谷で受信したノイズの波形、そしてそれが乗っていたデジタル信号の残滓を、必死に解析していた。

「律さん、解析が完了しました。あの**『無関心の波形』は、ただのノイズ装置から来たものではない。都市の『インフラシステム』、具体的には、交通情報、金融取引、そして大手情報企業の配信ネットワーク全て**に、音なき周波数として乗せられていた」

響のノイズは、『驚愕』に満ちていた。彼は、ノイズがここまでシステム化されていることに、戦慄を覚えていた。

「ノイズの震源地は、**『トウキョウ・エコー・テクノロジーズ』**という巨大IT企業です。彼らは、ニュース、SNSのトレンド、AIによる世論調査など、都市の感情そのものを管理する企業として知られています」

律は、響の解析結果を聞き、深く頷いた。

「やはり、ディストーションの上位組織『シンフォニー』は、『個人の心』ではなく、『社会の構造』そのものを支配しようとしている。彼らにとって、この企業はノイズの発電所であり、感情の変奏所なんだ」

和音は、青白い刃の具現化を確認しながら言った。「つまり、あそこにコンダクターがいる可能性が高いわね。あそこを叩けば、都市のノイズ統制は崩壊する」彼女のノイズは、**『戦闘準備』**という鋭い旋律を奏でていた。

2. コンダクターの正体:支配者の静寂

律は、渋谷で対峙したコンダクターのノイズを思い出した。彼のノイズは、**『完璧な計算』と『絶対的な自信』**だった。

「コンダクターのノイズは、タクトの『ゼロ』とは違う。タクトは**『自己否定』でノイズを消していたが、コンダクターは『ノイズを統制下に置くことへの歓喜』で、感情のノイズが鳴り止んでいる。彼は、『完璧な調和』こそが『正義』**だと心から信じている支配者だ」

和音が、情報端末で『トウキョウ・エコー・テクノロジーズ』の役員リストを検索した。

「見つけたわ。CEOは、神楽 泰斗かぐら・たいと。彼は、AI技術の権威として知られ、**『デジタル・ハーモニー』**という概念を提唱している。…ノイズは聞こえないけれど、彼の理念が、コンダクターのノイズそのものだわ」

律は、神楽泰斗こそがコンダクターであると確信した。

「彼の狙いは、ノイズを消すことではない。**『感情の多様性』を消し、『誰もが幸福で、誰もが従順な、単一の感情』**で世界を塗り替えることだ」

3. 三位一体の潜入作戦:役割の調和

『トウキョウ・エコー・テクノロジーズ』の本社ビルは、巨大なノイズの防壁で覆われていた。一般的な侵入は不可能だ。三人は、それぞれの才能を活かした**『システム潜入作戦』**を立てた。

律(調律師)の役割: 『共鳴』による『ノイズ誘導』。ビルの防壁ノイズと、内部のセキュリティノイズの波形を聴き取り、響の**『変奏』が入り込めるように『隙間』**を創り出す。

和音(切断師)の役割: 『切断』による『物理排除』。潜入ルート上の警備員や監視カメラの**『視覚ノイズ』**、および物理的な障害物を破壊し、律と響を守る。

響(変奏師)の役割: 『変奏』による『情報統制』。律が創った隙間から、セキュリティシステムに侵入し、監視カメラやデータログを**『偽の情報ノイズ』**に書き換え、潜入ルートを確保する。

「響、君の能力が鍵だ。君がシステムに入り込めれば、このビルは迷路になる」律は言った。

響のノイズは、**『緊張』と『責任感』**が強く、初めて実戦で自分の才能がシステム戦に求められていることに、武者震いを感じていた。

「任せてください、律さん。僕の変奏は、デジタルノイズなら世界一だ。神楽泰斗の**『偽の調和』を、僕の『真実の変奏』**で崩壊させてやる」

4. 潜入開始:ビルの静寂と律の違和感

深夜。三人は、トウキョウ・エコー・テクノロジーズ本社の裏口に到着した。

和音が、周囲の警備ノイズを視覚で捉え、**『切断』**の刃で、入り口に仕掛けられたノイズ感知センサーを瞬時に無力化する。

律は、ビル全体から発せられる**『無機質な静寂ノイズ』**に意識を集中させる。その静寂は、何十万ものサーバーと、統制された人々の無関心が生み出す、死のような調和だった。

「律くん、ノイズ防壁の波形は?」和音が問う。

律は、防壁ノイズの波形を聴き取り、**『共鳴』を放った。律の共鳴は、防壁の波形と微妙に『ずれ』を生み出し、響が入り込める『ノイズの穴』**を、わずか数秒間だけ創り出した。

「響!今だ!」

響は、その隙間を逃さず、指先から**『変奏』の波形を放ち、ビルのセキュリティネットワークへと侵入した。彼のノイズは、一瞬でビル内の監視カメラの映像を、『異常なし』**という偽りの映像へと書き換えた。

響は、律と和音に合図を送る。三人は、静まり返ったビルの廊下を進み始めた。

律は、ビルの静寂の中で、あることに気づいた。このビルの静寂は、あまりにも完璧すぎる。

(コンダクターは、俺たちがここに来ることを予期している…?この完璧な静寂は、罠だ。まるで、俺たちを待ち構えるための*『巨大なノイズの劇場』*のようだ)

律の**『共鳴』ノイズは、『予感』と『警戒』**の音を強く奏で始めた。彼らの旅は、ついに巨大なシステムノイズの核へと足を踏み入れたのだ。

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