第8話:決断の代償
美幸が静かに見つめる中、彰人は自分の心と向き合っていた。
彼女の言葉が頭の中で繰り返される。
「この未来を壊してでも私を追いかけたいの?」
彼の胸は張り裂けそうだった。目の前の美幸が自分の選択の結果、別の道を歩み、別の未来を掴もうとしている――それを尊重するべきなのか、それとも自分の気持ちを優先するべきなのか。
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案内人の声が響く。
「どちらを選んでも代償はある。だが、それが選択というものだ。」
「代償か……」彰人は静かに目を閉じた。
「俺は、美幸を追いかける。たとえこの未来が壊れるとしても、今ここにいる美幸に伝えたいことがあるんだ。」
彼は意を決し、美幸の手を握りしめた。
「俺は間違っていた。君と距離を置くことで、お互いにとって良い未来が訪れると思っていた。でも、そんな未来は俺には意味がないんだ。君と一緒にいられない未来なんて……。」
美幸の瞳が一瞬揺らぐ。そして、彼女はゆっくりと口を開いた。
「彰人……その気持ちは嬉しい。でも、この未来を壊すことで、他の誰かの未来も変わってしまうかもしれない。それでもいいの?」
「俺は覚悟している。」
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その瞬間、塔全体が激しく震え始めた。美幸の周囲を包む光が揺らめき、次第に崩れ始める。
「やっぱり……私がここにいることで、この世界が持たなくなっていくのね。」
美幸は穏やかな微笑みを浮かべた。
「あなたが選んだ未来を尊重するわ。でも、これが本当に正しかったのかどうか、私にも分からない。」
「正しいかどうかは、これから証明する。俺たちで未来を作っていくんだ。」
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塔が完全に崩壊する寸前、美幸の姿が光に包まれ、次第に消え始めた。
「待って! 美幸!」
彰人が叫ぶが、彼女は微笑んだまま消えていった。
「この選択の結果を受け入れて……ね。」
彼女の最後の言葉が響き渡り、塔が完全に崩壊する。その光景の中、彰人の意識も遠のいていった――。
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目を覚ますと、彰人は自分の部屋にいた。
「夢だったのか……?」
だが、手の中には美幸が愛用していた小さなブレスレットが握られていた。それは、彼女が本当にそこにいた証のように思えた。
その瞬間、スマートフォンにメッセージが届いた。送り主は、美幸だった。
「会って話したいことがあるの。」
彰人は息を呑んだ。そして、もう一度立ち上がる決意をした。
「これからは、俺が選んだ未来を生き抜いてみせる。」
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