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分岐点の果てに  作者: のほほん
宝条彰人と長谷川美幸
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第5話:交差する想い

美幸と偶然再会したあの日から数日が過ぎた。あのとき彰人は、彼女に声をかけることなく、その場を立ち去る選択をしていた。胸に重くのしかかる後悔と、次に進むべき道への迷いが、彼の心を蝕んでいた。


ある夜、彰人が帰宅すると、リビングのテーブルに一枚のメモが置かれていた。


「再び選ぶ時が来た。準備はできているか?」


それは案内人からのメッセージだった。


「また選ばせるのかよ……」


彰人は苛立ちながらメモを握りしめた。だが、その苛立ちは結局、自分自身へのものだと気づいていた。


「どうせ、俺が決めなきゃならないんだろう。」


その瞬間、目の前に再びあの光るレールが現れた。


今回現れたレールは三本だった。


一本目は、明るく輝く金色のレール。美幸に再び向き合い、想いを伝える道。


二本目は、暗い影が差し込む銀色のレール。彼女との縁を完全に断ち切り、新たな人生を歩む道。


三本目は、霧に包まれたレール。その先は何も見えず、何が待つのかも分からない道。



「三本……どういうことだ?」


案内人がふと現れ、彼の隣に立った。


「お前の選択肢が広がったということだ。」


「広がった? それがいいことなのか?」


「それはお前次第だ。どれを選ぶかによって、お前の未来も変わる。だが、注意しろ。三本目のレールは未知数だ。その選択肢には、危険も潜んでいる。」


彰人は迷った。心の中で美幸への想いが渦巻く一方、新しい人生への興味も湧いていた。そして、見えない未来への誘惑が彼を揺さぶる。


「何を選べばいいんだ……」


「誰にも分からない。ただ、お前が信じる道を選べばいい。」


案内人はそれだけ言い残し、再び光の中に溶け込むように消えていった。


目の前のレールを見つめながら、彰人は深く息を吸った。


「俺は……」


彼はゆっくりと一歩を踏み出した。選んだのは、霧に包まれた三本目のレールだった。


その瞬間、世界が震えるように揺れ、周囲が眩い光に包まれた。


「お前の選択が、新たな未来を開く。」


案内人の声が遠くから響く。だが、次の瞬間には光が消え、彰人は見知らぬ場所に立っていた。


そこは、かつて彼が知っていたどの場所とも異なる、全く新しい世界だった――。

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