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分岐点の果てに  作者: のほほん
堀田瑞樹と近藤要
19/37

第19話:未来の先にあるもの

瑞樹は新たな決意を胸に歩き出した。目の前の道は暗闇に包まれているが、その先にかすかに光が見える。それは、彼女が選んだ未来の象徴のようだった。


キャリアを選び、要との未来を手放したことへの後悔は消えたわけではない。しかし、その後悔を抱えながらも、自分の選んだ道を進むことこそが、自分を強くするのだと感じていた。


「私は、この道を信じて進む。」


その言葉を心の中で繰り返しながら、瑞樹は次のステージへと向かう。



---


翌朝、オフィスに着いた瑞樹は、上司の中村に呼ばれた。彼はプロジェクトの進行状況を確認しながら、瑞樹に新たな提案を持ちかけた。


「堀田さん、君にとってキャリアアップのいい機会になる話がある。海外の支社で新しいプロジェクトを立ち上げるチャンスだ。」


瑞樹は驚きながらも、心が高鳴るのを感じた。海外での仕事――それは彼女が以前から憧れていた夢でもあった。


「私が……海外で?」


「そうだ。今の君なら十分にやれるはずだよ。ただし、長期の滞在になる。それに伴うリスクや犠牲もあることを理解しておいてほしい。」


中村の言葉には重みがあった。しかし、瑞樹の中には迷いよりも挑戦したい気持ちが勝っていた。


「やらせてください。私にできることを全力でやります。」


瑞樹の目に宿る強い意志を見た中村は、満足そうに頷いた。


「期待しているよ。」



---


仕事が終わり、帰り道を歩いていると、瑞樹のスマートフォンが鳴った。画面を見ると、要からのメッセージが届いていた。


「元気にしてるか?頑張りすぎてないか?」


その短い言葉に、瑞樹は思わず微笑んだ。


「頑張りすぎてるって、見透かされてるみたい。」


彼の存在は、もう彼女にとって過去のものだった。それでも、要の優しさや励ましの言葉は、今でも彼女の支えの一つになっている。


「ありがとう、要。」


そう呟きながら、瑞樹は返信を打った。


「大丈夫。ちょっと大きな挑戦が決まったところ。ありがとうね。」


要からの返信はすぐに届いた。


「君なら絶対にできる。応援してるよ。」


その言葉に胸が温かくなる。彼女はスマートフォンをそっとしまい、再び前を向いた。



---


海外プロジェクトの準備はすぐに始まった。新しい環境、新しいチームとの仕事に胸を躍らせる一方で、不安も大きかった。しかし、瑞樹は自分を奮い立たせた。


ある日、空港に向かう道中で、再び案内人の声が頭に響いた。


「堀田瑞樹、あなたはまた一つの分岐点を越えようとしている。」


瑞樹は驚いて辺りを見回したが、案内人の姿はどこにもなかった。ただ、その声だけが静かに続いた。


「選び続けることに迷いを感じることもあるでしょう。しかし、それこそがあなたの人生を形作る大切な要素です。」


「……分かってる。私はこの道を信じて進むよ。」


瑞樹の言葉に、案内人の声は静かに消えた。



---


飛行機が滑走路を離れ、瑞樹を乗せた翼は青い空へと吸い込まれていった。窓の外に広がる景色を見ながら、瑞樹は静かに決意を新たにした。


「ここからが本当のスタートだ。」


キャリアの道を選び続けた先に、どんな未来が待っているのかは分からない。それでも、自分の選択を信じ、進み続ける。それが彼女の生き方だ。


そして、どこかで要との再会があるかもしれない未来も、心の奥でほんの少しだけ想像した。


「人生は選択の連続だって、案内人が言ってたっけ。」


瑞樹は微笑みながら、自分自身の未来に希望を抱いていた。



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