表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
分岐点の果てに  作者: のほほん
堀田瑞樹と近藤要
17/37

第17話:交わる想いと揺れる未来

瑞樹が送信ボタンを押すと、要からの返信はすぐに返ってきた。約束の場所は、二人がかつてよく訪れたカフェだった。瑞樹は胸の奥で緊張を覚えながらも、どこか懐かしさに心が揺れた。


「要に会って、何を話せばいいんだろう……。」



---


その日の夕方、カフェの扉を開けると、要が窓際の席で待っていた。彼は以前と変わらない落ち着いた雰囲気を纏いながらも、どこか大人びた表情をしていた。


「瑞樹、久しぶりだな。」


要が微笑むと、瑞樹は少し緊張しながら席に着いた。


「本当に久しぶりだね。」


ぎこちない沈黙がしばらく続いた。二人はかつての思い出を胸に抱えながら、どの言葉から始めるべきかを探していた。


「最近どうしてる?」


要が切り出すと、瑞樹は仕事の話を簡単に伝えた。新しいプロジェクトに挑戦していること、責任が増えたことで忙しい日々を過ごしていること。しかし、その声にはどこか力が入っていなかった。


「瑞樹、無理してないか?」


要の言葉に、瑞樹ははっとした。彼の優しい視線に触れた瞬間、心の奥に隠していた不安や孤独感が押し寄せてきた。


「正直、分からないの。私は、自分の選択が正しかったのかどうか……。」


彼女の声はかすかに震えていた。要は真剣な表情で彼女を見つめ、静かに言葉を紡いだ。


「選択が正しいかどうかなんて、誰にも分からない。俺も同じだよ。でも、大切なのはその選択をどう受け止めるかだと思う。」


瑞樹はその言葉に目を見開いた。要もまた、自分なりに選択の重さを抱えてきたのだと気づかされた。



---


カフェを出ると、二人は自然と夜の街を歩き始めた。冬の冷たい風が吹き抜ける中、要がふと話を切り出した。


「実は俺、結婚を考えているんだ。」


その言葉に瑞樹は足を止めた。心のどこかで薄々分かっていたことではあったが、改めて聞くと胸が締め付けられるような感覚に襲われた。


「そう……なんだ。」


彼女はなんとか笑顔を作ろうとしたが、上手くいかなかった。要は少し申し訳なさそうな顔をして言葉を続けた。


「俺にとって、お前との時間は本当に大切だった。だけど、あのとき俺たちは別々の道を選んだ。それはお互いのためだったんだと思う。」


瑞樹は俯きながら頷いた。


「うん、分かってる。でも、やっぱりどこかで後悔してる自分がいるんだ。要と過ごしていたら、違う未来があったんじゃないかって。」


二人は立ち止まり、夜空を見上げた。星が静かに輝いている。その中で要が口を開いた。


「瑞樹、俺はお前がこれからどう生きていくのかが気になる。自分を大事にして、幸せになってほしい。それが俺の願いだよ。」


その言葉に、瑞樹は涙を堪えきれなくなった。


「ありがとう、要。本当にありがとう。」


二人は再び歩き出し、駅で別れた。



---


その夜、瑞樹は再び案内人と対峙していた。


「彼と再会して、何かが変わると思った。でも、私の心はまだ迷ってる。」


案内人は静かに彼女を見つめ、こう言った。


「迷うことは悪いことではありません。それは、あなたが自分自身を見つめ直している証です。」


「でも、私はどうすればいいの?次に進むべき道がまだ見えない……。」


案内人は微笑みながら答えた。


「新しい選択肢は、いつも突然現れます。そして、その選択肢を掴むのはあなた自身の意志です。心を開き、目を凝らせば、必ず道は見えてきます。」


瑞樹はその言葉を胸に、目を閉じて深く息を吸い込んだ。そして、心の奥から湧き上がる新たな決意を感じ取った。


「私は……もう迷わない。自分の足で、新しい未来を探す。」


目を開けると、彼女の目の前にはまた新たなレールが輝き始めていた。その光景を前に、瑞樹は力強く一歩を踏み出した。



---


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ