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分岐点の果てに  作者: のほほん
宝条彰人と長谷川美幸
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第10話:新たな未来の扉

再会の後、彰人と美幸は少しずつ過去の距離を埋めるように、何気ない話を交わしていた。懐かしい思い出、別れてからの日々、そして夢に見た「選ばなかった未来」について――。


二人の間に漂っていたぎこちなさは徐々に消え、心が繋がっていく感覚があった。


「ねえ、彰人。」


美幸が立ち止まり、彼を見つめた。


「私、思うんだ。どんな未来も、選んだ瞬間から私たち次第で変えられるんじゃないかって。」


彼女の言葉に、彰人は静かに頷いた。


「その通りだよ。だからこそ、俺はもう迷わない。君と一緒に未来を創っていきたいんだ。」



---


二人は再び歩き出し、公園の出口に差し掛かったとき、不意に目の前に見覚えのある男が現れた。


案内人だった。


「案内人……!」


美幸は驚いた表情を浮かべ、彰人を見た。


「知ってるの?」


「詳しくは話せないけど、俺の選択を導いてくれた存在だ。」


案内人は冷静な目で二人を見つめる。


「やっとここまで来たか。だが、ここから先は本当の選択が待ち受けている。」


「本当の選択?」


「そうだ。お前たちが一緒に歩むことを決めたのなら、それに伴う代償を受け入れる覚悟が必要だ。」


その言葉に、彰人は身構えた。


「代償って何だ?」


案内人は少し間を置いてから答えた。


「二人で歩む未来を選ぶことで、他の未来が完全に閉ざされる。それは、選ばなかった可能性の断絶を意味する。」


美幸が不安げに彰人を見た。


「もしそれで何かを失うことになっても、後悔しない?」


彰人はしっかりと彼女の目を見つめた。


「大事なのは、君と一緒に未来を歩むことだ。他の可能性を失っても、俺は後悔しない。」


美幸はその言葉に目を潤ませながら、小さく頷いた。


「私も同じ気持ちよ、彰人。」



---


案内人は静かに手を広げた。すると、二人の前にまた一本のレールが現れた。


そのレールは光り輝き、これまでのどのレールとも違う美しさを持っていた。


「このレールを進むことで、お前たちの未来が決まる。進むか、進まないか――最後の選択だ。」


彰人と美幸はお互いに目を合わせ、手を握りしめた。


「進もう、美幸。」


「ええ、彰人。一緒に。」


二人は揃ってレールの上に足を踏み出した。


その瞬間、眩い光が二人を包み込み、風景が大きく変わり始めた。



---


光が消えたとき、二人の目の前には穏やかな風景が広がっていた。青い空、緑の大地、そして遠くに広がる海。


「ここが……俺たちが選んだ未来?」


美幸が小さく頷き、微笑んだ。


「きっとそうよ。私たちで一緒に創る未来。」


二人は手を繋ぎ、ゆっくりと新しい風景の中を歩き始めた。


案内人の姿はもう見えなかったが、彼の声だけが風に乗って響いた。


「選択の果てに得た未来を大切にしろ。それが、お前たちの選んだ証だ。」



---

新たな未来を歩み始めた彰人と美幸。選択の重みを受け入れながら、二人が築く未来にはどのような物語が待っているのか――物語はここでひとつの節目を迎える。

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