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最下層

 グレーシスターズは階層がそのままカースト制度となっていた。海はなく、全て【資源戦争】で使い切り、底は職もなく、金もない者達が。建物の中は非正規労働者。上に行くに連れ年収が上がって、雇用形態も正規、福利厚生も充実していき、最上階はセレブ達が自家用宇宙船で、グレーシスターズを好き勝手行き来していた。


 そんな中、ある惑星の最下層にはやはり、今日の食事を探し彷徨いている若者がいた。その若者の名は【イヴェル】。イヴェルは、布一枚を被りマントのようにして持ち歩き、寝るときはその上で。食料と引き換えに布を少し切って売った事もあった。

「ネズミでもいないものか……」

 生で食べるには些か不衛生だが、生きる為だ。腐る前に食べる。それが最下層の一つのルールであった。

 イヴェルはただ闇雲に移動しているわけではない。最下層に伝わる伝説。【食料支援便】と呼ばれる上層階の者たちの食べ残しや捨てた生ゴミを最下層で配るボランティア活動をしている団体があるとかないとか。


 イヴェルが歩いていると、少し明るくなった。街灯などないのに。

「食料を配ってまーす!」

 と、女性の声。もしや?

「おい!」「伝説のか!?」「くれー!」と、人々が集まって来る。イヴェルも吊られて、明

るくなっている方へ歩きだす。走りだす。


 ヒュー、ズドン!


「がはっ!!」

 イヴェルに何かが落ちてきた!

 上から?高度何百メートルとあるのだが。イヴェルは無事だろうか?

「いてて……」

 イヴェルは無事だった。よくもまぁ。

「うーん……」

「!!?」

 なんと、落ちてきたのは人だった!

 周りは食料をもらうため明るい方へ向かっていてそれどころではない。イヴェルだった。

早く行きたいのだ。

 地下を使われたらいけないため、特殊コーティングされた地面に蜘蛛の巣状にヒビが入った。食料を配っていた女性は押し寄せた人々に襲われ身ぐるみ剥がされていた。運んできた食料は全て無くなり、スカイカーも奪われた。

 そして、性欲の溜まった漢たちは……。

「キャー! 助けてーー!!」

「イケない!」

 ダッ! シュタタタ、ババッ! ット。

「これで大丈夫だな?」

「へ?」

 女性はまず自分の身体に布が巻かれているのに気付く、そして、顔を上げると、気絶している襲ってきた漢ども。何が起きたのか?知っているのはイヴェルだけ。

「あなた……。ロボットね?」

「どうして?」

 イヴェルが質問に質問する。

「私、聞いたことあるの。人間は成長する。しかし、欲の歪んた人々によって永遠の若さが【作られた】。と。」

「ちょっと違うんだけど……。まぁ、いいか。とりあえず俺には君を殺す事など動作もない事だけ覚えておいてくれれば」

 少し、脅し、いや、カッコつけただけだ。でも、ちょっと違うとは?

「ねぇ、あの子は?」

「へ?」

 落ちてきた人の事である。

「そうだ! 俺、ソイツのせいで腹減ったままなんだよな!」

 イヴェルは怒りが込み上げてきた。ロボットなのに感情はあるみたいだ。そして男でも女でもない全裸でその落ちてきた人に近づく。よく見ると手錠、と言っても、ちょっとやそっとじゃ壊れない、超硬度を誇る【マーダスコーポレーション】のものだ。両手と両足に枷られていた。

「どれ、外してやろう」

「えっ! 危なくない!?」

 確かに、女性の言うとおりだ。極悪非道な罪人かも知れない。

「いや、もう死んでいるだろ」

「そうよね……」

 そうである。何百メートル上からロボットに直撃したのだ。

「埋葬は……。無理か。まだ子供じゃないか」

「ダレガコノモダ!」

 ガバッ! サッ!

 子供は起きて身構えている。カタコトなのは違う星の出身なのだろう。

「落ち着け! 俺はお前に危害を加えようとしたわけじゃない!」

「???」

「言葉がわからないんじゃない?」

 女性が割り込んできた。

「いい?わたし、【タバサ】、あなたは?」

 女性はタバサと言うらしい。

「おれは、イヴェル、【イヴェル・マーダス】だ」

「マーダス!!」

 叫ぶと、子供は突進してきた! 両手で手錠のまま、振り下ろす! イヴェルはさらっとかわして、膝蹴りで子供の腹を蹴り上げる! 子供は吹き飛んで十数メートル飛んで行った。

「子供に何してんのよ!」

「アレぐらいで死ぬなら起きあがれなかったさ」

それもそうであるが、タバサは倫理的な事を言ったのだ。

「もうっ!」タタタッ。タバサが子供に駆け寄る。

「大丈夫?」

「ウー!」まるで獣だ。

「どうしたらいいのかしら?」こっちが聞きたい。

「わしが解決してやろう」

 何者かが現れた。どこから?接近に三人とも気づかなかった。その衣で質。異様。大昔、日本にいたとされる侍みたいだ。

「どれ?」

 シュ! 侍は手刀で子供を気絶させた。

「着いてきなさい」

 侍はそういうとてくてく歩いていく。「待ってよ」とタバサが追随、仕方なくイヴェルも歩く。


 数分後。

「この辺りでいいだろう」

 と、侍は言うと何やら巻物を取り出して、読む。すると、壁に扉が現れた。扉は開き、

しいまでの光を放つ。侍は子供を抱えて入っていく。

「ちょっと! 説明しなさーい!」

 長いブロンドの髪の毛をバサバサさせて後を追う。イヴェルも入る。そこには、空間を歪曲させて作られた青々と茂る木々の山。見果てぬ空と太陽と雲。

「紹介がまだだったな。わしはそなたら最下層の者を導く者。【清太】という。怪しくないから町にきなさい」

「(十分怪しい)」と、二人は思った。

 果たして、町で待ち受けているものとは?清太の正体とは?

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