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邂逅

 超高層ビル群はもはや建物ではなく他の何かである。地球は青と緑ではなくグレー色の塊になっていた。他の太陽系惑星もテラフォーミングしたあとに同じく作られ、いつからか【グレーシスターズ】と呼ばれるようになった。地球は【マザーグレー】と。


 ある一室、銃を構えた長髪の男はこういった。

「これで最後だ。【オルタ・マーダス】!」

 と。

「ま、待ってくれ! 知らなかったんだ!」

「関係ない!」

 オルタ・マーダスという男はメタボなオッサンだ。しかし、銃を向けられ尻を床につけて、後退りしながら訴えた。が、男は聞かなかった。

「私達ソラリス人は十年に一度水を飲むことで飢えなかったのではない。【聖杯】の水を飲

む事でソラリスの空気中に漂う、過去の異物、ナノマシンを浄化していたのだ。それが……」


 ここより回想。


 ソラリスは恒久的平和を手に入れていた。だが、虫型宇宙船に乗ってお前らはやってきた。ソラリスの大人達が対抗したが(【ソラリス戦争】)、数が余りにも多く負けた。

 お前は祭殿を見るや破壊し、建物を作った。グレーシスターズのような。そのせいで、【誰もが、十年以上生きられなくなった】。それを知ったお前は一人でマザーグレーへ帰り、浄化の研究に明け暮れた。


「そ、そうだ! お前達ソラリスを救うため……」

 ダン! 銃が火を吹いた。一室の壁に穴が空いた。

「話しは途中だ。最後まで聞け。おかしなマネしたら次は頭を貫く」

 その時、偶然にも【スプラッシュガン】が長髪の男の死角にあるのにマーダスは気づく。

「わ、わかった」ニヤリ。


続ける……。

 そして、お前は遂に特効薬を完成させることはできなかった。お前がソラリスに来て何年だ?そろそろ十年じゃないのか?焦ったお前はソラリスに戻ってきて聖杯を探した。聖杯

はどこにいったのか?それは私も知らない。とんぼ返りしたお前は気づかなかった。その宇

宙船に一人のソラリス人が隠れ潜んでいたことを。

 そのソラリス人の子供は、最初は遊びに行くつもりだった。しかし、ここで見た人体実験の数々で心は腐り、お前を殺す為だけに日々生きて来た。


「それが私だ!」チャキっ! 銃を撃とうとしたが!

「やったー! おーい!」

 マーダスは助けが来たかのような演技をした! 手を大きく振り、取り繕う。

「!」くるっ、つい、ふと、振り返ってしまったソラリス人。

「死ぬのはお前だ!」ドォーン! とても、片手銃とは思えないスプラッシュガンの轟音が轟く!

「なにっ!」

 なんと、マーダスが撃った弾は空中で止まっている!

「……。【気功と波動】。ソラリス人の武術だ。お前なら不意討ちをやってくると思った。気功を波動に乗せ、止めておいた。その銃は強力だったみたいだな。私の気功を破りそうだった」

 カランカラン。弾が床に落ちる。一歩一歩、マーダスに近づく男。後退りするマーダス。

「ぐっ! こんな時に!」

 顔をしかめ、胸を押さえるソラリス人。どうしたのか?

「そうか! お前も聖杯で水を飲んでなかったな! ハハハ、よし、いいぞ。そのまま死ね!」

 喜び、飛び上がるマーダス。

「く、くそっ! ソラリスに栄光を!」

「バカめ! 栄光なんてあるわけ……」

 マーダスが目にしたのは、自分の身体。ソラリスに舞う死のナノマシンの作用はソラリス人と地球人では違ったみたいだ。マーダスの身体は石化し、首が転がって、やがてそれも石化した。


 後日、警察がここへ来たが、ここには石化したマーダスの死体しかなかった。ソラリス人はどうなったのか?それは誰も知らない。

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