秘めた決意
杉本サイド
「ごめんなさい,ぶつかったのに謝らず,意味の分からないこと叫んでしまって。」
「いや,お前の言いたいことはわかる。世の男性ならだれもが運命を期待したはずだ。あと,この状況作ったの,俺が廊下で走ってたのが原因だから。お前は謝んなよ」
「藤沢君?フォローうれしいし,やばい奴だと思ってたけど意外と普通の人なんだね,」
「おおっ」(...なんだよ,俺がわりぃのに怒らないでしかもフォローまでしてくれるって結構いい奴じゃねえか。ちょっと気になることも言われてるけど,この歯に衣着せない漢字にいい笑顔。ドキッとしちまった)
「-藤沢君?聞こえているの?おーい」
「って,聞こえてるわ。何回も聞いてくるんじゃねえ。少し自分の世界に行ってただけだ。
お前トイレ行こうとしてたんじゃねえのかよ」
「あっ,そうだった。じゃあ,またね。
確か藤沢君って彼女いるんだよね。
いいなぁ愛する人と愛してくれる人がいて,僕も君みたいになれるといいな。彼女さんのこと大事にしてあげてね。」
そう言って,杉本は行ってしまった,トイレに。その時の顔は,陽キャにビビっていたが精一杯勇気を出して背伸びしている陰キャそのものだが,
中学のボッチ卒業のために,いろいろと努力し陽キャを勝ち取り,スクールカーストばかり考え,うまく立ち回ろうとしている俺よりも自由で,かっこよくて
綺麗で,見惚れてしまったトイレに行くために全力ダッシュしてたけど。
そんなことは関係なく,俺は決意するのだった。俺はリア充になることを。
陽キャかつリア充になることを。