1/33
1日目
目が覚めると緑の髪の女神がいた。
「あれ、俺は確かトラックに轢かれたはずだが。もしやこれは異世界転生というやつか」
「ちょっと違います」
女神が言った。
「貴方はいま元の世界で重体となり生死の境をさ迷ってます。精神だけがこの世界に転移してきたわけです」
「ふうん。それで、俺はこれから何をすればいいんだ」
「30日以内に魔王を倒してください」
「いやだと言ったら?」
「いやなら元の世界に帰してあげますけど、ただ帰っても重体ですからたぶん死にますよ。内臓とかぐちゃぐちゃになってますし」
「ひえっ」
「魔王を倒せば願いが一つ叶います。つまり貴方は命を助けてもらえるわけです」
「選択の余地はないってことか。やれやれ」
「なにが『やれやれ』ですか。もっとやる気を出しなさい」
「異世界に来たら、みんなこう言うんだ」
こうして俺の冒険は始まった。