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迷宮日誌③ 〜死地に揺らめく子守唄〜  作者: ケット・C・ニャンガード
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揺れ動く戦局

巨人達が蔑んだ眼差しでへらへらと俺達を笑う中、スゥはまるで"静寂"に包まれたかのように静かに、そして深い祈りを捧げる。


その姿は"試す"と言うにはあまりにも自信に満ちており、これから起こす"奇跡"、起こってくれるであろう"奇跡"に対して全幅の信頼を寄せているようであった。




















もしかしたら、何かとんでもないことが起こるかもしれない。


















敵味方問わず心の中でそう感じはじめ、それぞれから笑みや不安の表情が消え行く中で、スゥから言葉が放たれた。













































「大地揺るがし山動く





 平原裂けて空輝そらひか




 

 千軍万馬が会する地にて





 は始まりを告げるもの





 其は終わりを告げるもの―――」



































その祈りに応えるように、俺の手の中にある槍の穂先にアルファベットを簡略化したような小さな記号が幾つか浮かび上がり、強い光を放ちながら槍全体を包み込んでいく。



















































「―――天地逆転の"揺動グングニル"ッ!!!」








































祈りというには余りにも力強い乙女の声が空間に轟いた。




その叫びに、槍を包む光は一層強まった。



彼女が賭けるからには、俺だってあとは賭けるだけなのだ。


奥に位置取る巨人のリーダーへと、思いっ切り槍を振り放した。



































俺は初めて、自分の手から"奇跡"が発現するのを感じた。





























俺の手から放たれたのは、いかづちだった。





刹那の間に上下左右へと大きく揺れ動いて、俺にも弾道が全く予想できない。


そしてその無数のまばゆい紫の軌道を描いた揺れは、恐らく俺とスゥにしか察知できないものであり、他者から見たら不規則に枝分かれした落雷のようなものにしか映らない。


大きな紫水晶アメジストを砕いたような激しい閃光とともに、何本もの直線が、複雑に結びつきながら珊瑚のような形を成し、そしてその中の、軒並み太い一筋が、巨人の胸を貫いている。


貫いたその先、激しい紫の軌道はまだ続いており、心変わりでもしたかのように向きを変え、隣で祈りを捧げていたはずの、スゥのかざしている右手にて終わっている。


俺の手から放たれたはずの槍は、スゥの右手に握られており、その横にある兜の羽根飾りがわずかに風に揺れたようだった。


先程まで笑っていた巨人から笑みは消え、胸を貫かれた巨人は目を大きく見開きながら膝をついた。



もはやその巨人が用いる治癒の"奇跡"などは微塵の意味も為さないと、彼自身も悟った様子だった。


ただ唖然としている。



俺にもその理由を感じ取ることができた。





































これは"即死"の"奇跡"だ。



第五位階に属する高位の"奇跡"を求める祈りに、迷宮の魔力が応えてみせた。




スゥの強く思い描いた、まるで神話の一幕のような"奇跡"を実現せんと力を貸したのだ。




閃光が止み、スゥが槍を手にしたまま立ち上がる。



開いた口の塞がらない巨人達の間を平然と進み、リーダー格の巨人の元へと歩み寄って行った。


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