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序章:アーチャー VS ニンジャ

短編で書いてたんですが、某所で長編で読みたいとの感想が有ったので、ネタが続くか不明ですが、見切り発車します。

アイデアを思い付いた切っ掛けは、ヒンドゥー教や仏教由来じゃない輪廻転生思想は、実は世界各国に結構有って、中でも「1人の人間が複数の人間に生まれ変わる」と云う考えが有る地域・民族がそこそこ多い、と云う話をその手の本で読んだ事です。

 通学中にトラック(最後の記憶からすると、多分、居眠り運転だ)に轢き殺され、この世界に転生して一〇日ほど。

 何とか、この世界にも慣れ、転生した時に得た「能力」で何が出来て、何が出来ないかが概ね判りかけた頃、俺は、そいつに襲われた。

 体中を切り刻まれ……血を失ない……休む時間のないまま、夜の町を、そいつから逃げ続けた。

 元の世界とは違って、この世界の夜は、町中であっても暗い。でも、俺を狙っているヤツは、その夜の闇の中でも、ちゃんと目が見えているようだ。

 そして、足音1つ立てず、物陰からいきなり襲って来る。

 元の世界で言うなら、中世ヨーロッパを連想する町。

 道は細く、いくつもの路地が有り……つまり、ヤツが身を隠す場所は、山程有る。

「どうす………る?」

 だが……。

「罠か? わざと、ここに誘導したのか? それとも……?」

 俺は、偶然、目に映った、町を囲む城壁に開いている門の1つに向って走り出した。


 肌寒い。

 あたりに広がっているのは、とっくの昔に収穫を終えたらしい初冬の畑。

「まだか……」

 明くはなっているが、東の空には、まだ日は上っていない。

 町の方から、ヤツがやって来た。

「ば……馬鹿な……」

 俺は、この世界に転生した時に「射手(アーチャー)」としての「能力」を得てから、遠目が効くようになっていた。

 そのお蔭で、かなり離れているヤツの顔が見えた。

「よう、『俺』」

「なんだと……?」

「悪いが、俺もまた別の『俺』に狙われててなぁ……。自分の身を守る為に……あんたの能力をもらうぞ……。あんたを殺してな」

 姿を現わした、俺を狙っていたヤツ。別の「俺」は、まるで忍者のコスプレみたいな姿だった……。なるほど、「夜目」「足音を立てずに高速移動」「物陰に隠れる」が、ヤツの能力か……。

「どうした……? 何がおかしい?」

「何故、俺が何人も居るかまでは判らんが……おまえ、俺にしてはマヌケだな」

「あっ?」

 ギリギリで日が上っていた。

 1日1回、日の出の時に矢が補充される「魔法の矢筒」。俺は、それから矢を取り出し、身を屈める……狙うは、ヤツの足。まずは機動力を奪う。


 ニンジャ姿のもう1人の俺は……俺が撃った矢を何本も食らって、倒れた。

「おまえ……本当に俺か?」

「……な……なに……?」

「小学校高学年か中学の頃、親父が借りてきた時代劇のDVDを一緒に見た事有っただろ。忍者を倒すのに、何も無い野っ原に誘い込む、って話をさ……。そうすれば、忍者が得意な事の多くは出来なくなる。何で、俺の狙いに気付かなかった?」

「……そ……そうか……それが……俺が失なったモノ……」

「は?」

「死ぬ前に教えてくれ……。俺の親の名前は? 俺に兄弟は居たのか? どんな……家族だった?」

「おい……何を言ってる?」

「俺が……この世界に転生した時……理由は……判らんが……何人もの俺が生まれてしまった……らしい……。そして……俺を狙った……別の……『俺』は……俺達全員が……それぞれ……何かを欠いていると言っていた……」

「はぁ?」

「お前に……言われて……ようやく……気付いた……。俺が……転生した時に失なったものは……家族の……記憶だ……」

 やがて、もう1人の俺の体は……黒い煙と化して消えた。

 残ったのは、ヤツの衣服と装備……そして……ヤツの喉仏だった辺りに、1つの宝石が有った。

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