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SPIRITUAL HOME 〜猫のトム・ジョード〜  作者: ホーリン・ホーク
9/30

9.gasping for breath

 トムとアルフレッド、二匹は買い物帰りだった。

 ビンセントのメモを店主か奥さんに渡し、今夜の食材を仕入れ、その籠を首に下げてアルフレッドが歩く。その後ろをトムがちょこちょこついて行く。

 それは彼らの日課であり楽しみの一つでもあった。



 ずっと静かだったアルフレッドがトムに言う。

『トム。このところビンセントさんはご機嫌斜めじゃ。何か知っておるか?』

『……うん。多分、この前来た男の人のせいだよ。店の前に乗りつけて長く話してた人。ビンセントさん……怒鳴ってたもん』

 心配げにトムは答えた。

『ほぉ。あの人を怒らせるとは、よほどの話をしておったんじゃな』

『感じの悪い人だった』

『ふむ……』



 そんなことを話しながら、二匹はてくてく通りを渡った。

 渡り終えた時、トムの耳に何かが聞こえた。

『……ぅ、うう……ぅぅ』

 それは声。誰かが苦しみ悶える声だった。

『え? どこ?』立ち止まるトム。

『待って、アルフレッドじいちゃん……見て、あの建物の影に誰か倒れてる!』

『何じゃと?!』『行ってみる!』

 トムは駆け出した。その後をアルフレッドも。



 花壇を越え、暗がりに目を凝らす。

『ハッ、こりゃいかん!』

『きみ! どうしたの? しっかりして!』


 トムは呼びかけた。

 そこにいたのは一匹の猫。

 猫は横たわり、気を失いかけていた。

 左足が変に曲がっている。骨が折れているようだ。

 その場所まで這っていった跡があり、通りで車に撥ねられたのを察した。

 それはちょうどトムと同い歳ほどの、艶やかな黒い毛の雌猫……。



挿絵(By みてみん)

■トム/初期稿

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