8. Amen
フリーホイール川の橋の下。
枯れ草の上、そこには一匹の猫の死骸が。
それを三匹の猫が悲しく見つめていた。
『こんな死に方、見たことねえ』
巨漢のゴツがそう言った。
『ヒョロ……。お前病気だったのか?』
いつも舌を出してるペロが、死んだヒョロの肩の毛をペロッと舐めた。
『そうじゃない。これは人間どもの仕業だ』
『え?!』
ゴツとペロは彼らのボス、カシラの方を見る。
彼は怒りを滲ませて言った。
『その脇に転がってる魚の頭を見ろ。目は潰れ、口はただれている。これは川の上流の建物(工場)から垂れ流された毒(廃液)のせいだ。その毒にヤラれた魚をヒョロは食った。だからこんなに苦しそうに身をよじって死んだんだ』
『まぁたあいつらか!』
『なんてこった!』
嘆くゴツとペロ。カシラはキツく戒めた。
『気をつけろ。こうやって人間どもは魚もおれたちも殺そうとしている。油断してると、明日は我が身だぞ。いいな?』
『はい!』
二匹は確と受け止めた。
カシラはヒョロの冷たい首筋をくわえ、橋のたもとの暗い藪の中に引きずっていった。
『アーメン』
カシラは辺りを見回した。
『……ところでゴツ。やはりここにも娘はいない。情報屋のネトを呼べ。ペロはおれと川下へマナを捜しに行くぞ』